受験にもご利益あり? 越後つばめの天神講/燕市


2023年02月21日 2441ビュー

天神講、知ってた?

天神講とは、平安時代に学者や歌人、あるいは政治家として活躍した菅原道真公の命日である2月25日を偲ぶ行事です。道真公と言えば、色々あって九州の大宰府に島流しにされて非業の死を遂げたことや、あるいは学問の神様として覚えている人も多いはず。
かつては県内各地で見られた行事だそうですが、根強く残る燕市では10年ほど前から市の観光資源に活用。受験シーズンと重なることから、まさに合格祈願にぴったりということで市外にアピールしているそうです。

天神講の主役は「お菓子」

そもそも天神講って何をする行事なのか、って思う人も多いはず。
一般的には
・道真公の掛け軸を飾る
・道真公をかたどった菓子を供える

が多いようで、一昔前は、さらに「醤油ご飯を食べる」とか「線香花火をやる」などの風習もあったとか。
なんだか厳かで静かで不思議な行事ですが、主役は「お菓子」。
 
ちなみに天神講は福井県や富山県でも見られ、どちらも1月25日に行うそうです。そして風習もバラバラ。福井では焼いたカレイを道真公の掛け軸に供えるそうで、富山ではお餅などを供えるところが多いそう。どこか小正月行事に似ているなあ、と思いました。

お菓子を買うなら越後つばめ天神講菓子展が便利

というわけで、今回は、JR燕三条駅内、燕三条Wingで開催している天神講のお菓子を展示・販売している越後つばめ天神講菓子展を覗いてきました。
こちらでは、燕市内の各お菓子屋さんで製造・販売している天神講菓子を集めて展示販売するとてもありがたい企画。学力向上や合格祈願など、お子さんのお土産にもぴったり。
それにしても、色とりどりのお菓子がきれいです。なんか春めいていますよね。
天神講のお菓子は、主に中に餡の入った粉菓子と砂糖を溶かして木型で流し固めた金花糖がポピュラー。それ以外に生菓子などもあるそう。
印象的だったのは分水地区や吉田地区で盛んな金花糖菓子。まるで人形のようで飾っておきたいですね。

     
こちらでは、金花糖の木型も飾られていました。天神講のお菓子は、金花糖も粉菓子も各店で代々使われている木型を使うことで、その個性が出て来るそうです。その昔、燕のお菓子屋さんは火事になると木型を持って逃げた、なんてお話しもあるとか。
手ぬぐいやタペストリーなどの関連グッズも販売しておりました。商売上手だなあ。
 
燕三条Wingは駅利用者に向けた地域の情報発信や地場産品の販売で人気の施設ですが、燕三条地域といえば、「ものづくりのまち燕三条」。越後の鍛冶職人が作った包丁や鎚起銅器、洋食器やキッチン用品など展示販売。また、燕三条銘菓なども販売しています。その上で、こうした華やかな企画展があると楽しいですよね。
 
なお、菓子展はこちらだけでなく、燕市内外の各観光施設でも開催しております。以下参照。

越後つばめ天神講菓子展

■SORAIRO国上(道の駅国上)
TEL:0256-98-0770
会期:2月26日(日)まで

■燕三条Wing
TEL:0256-34-7310
会期:2月26日(日)まで

■岩室観光施設いわむろや
TEL:0256-82-1066
会期:2月24日(金)まで

■道の駅庭園の郷保内
TEL:0256-38-7276
会期:2月25日(土)まで
※開館時間や休館日など詳しくは各施設に問い合わせを

お菓子の製造を見学してみた

せっかくだから、燕市のお菓子屋さんにも足を伸ばそうということで、燕市宮町の飴屋本舗さんを訪問。天神講のお菓子作りを見学させていただきました。
創業150年を超える老舗のお菓子屋さんで、洋菓子も和菓子も両方取り扱っているのですが、天神講のお菓子は2月の主役。代表の遠藤重樹さん曰く「正直、バレンタインどころの話じゃないです」とのこと。こちらのお店の主役は粉菓子で、ピーク時には1日200個作るそうです。
もち米から作った粉に砂糖などを混ぜた生地を木型に押し込み、中に白あんを入れます。遠藤さんがこの作業をするようになって10年ほど。シンプルな製造法だからこそ微妙な粉の具合や押しの強さで出来栄えが違ってくるので、最初の頃はなかなか苦労していたそうです。
こちらが木型から出てきたばかりの道真公。
この木型は各お店がそれぞれ守り継いでいるもので、お店の数だけ個性的な道真公がいます。色々回って比べてみるのも楽しいかもしれない。
ここから1日乾燥させてから着色。先代の遠藤重治さんが手作業で色を付けていました。「同じものはひとつとしてないんですよ」と重治さん。
そして、包装して店頭へ。
道真公は大小2種類あり大は税別800円、小は税別600円。小でも一人で食べ切るにはちょっと大きめ。大は供えた後で、家族で切り分けるくらいがちょうど良さそう。
それ以外にも、松・竹・梅、鶴・亀などの縁起物や、なぜかバナナなどの粉菓子がずらり。カラフルで本当にきれい。
また、粉菓子が「甘すぎて苦手」という方には天神講サブレ(税別200円)がおすすめ。ビタミンB1を多く含み「頭が良くなる」とされる小麦粉「頭脳粉」を使用。今風のご利益が期待できそうなお菓子で、受験生にはこちらの方が食べやすいかも。

飴屋本舗

住所:新潟県燕市宮町5番2号(サンロード宮町)
定休日:毎週月曜日
営業時間:午前9時から午後6時30分まで
TEL:0256-62-2051

春の訪れを祝うささやかな風習

天神様、すなわち菅原道真公は学問の神様で、全国的にも天神講といえば学業成就を願うお祭りです。それはお菓子のない地域も同じ。カレイを焼く福井県でもそのようです。
けれど、新潟の場合、命日の2月25日はちょうど雪の季節の終わりなんですよね。この行事が江戸時代から続くものなのか、あるいは明治時代からなのかは分かりませんが学業成就や受験の合格祈願より前に、もっと素朴な「春が来たよ」という喜びがある気がします。
色とりどりのお菓子を見ていると、そう思えてならないのです。
なので、もちろん受験生の合格祈願も良いのですけど、純粋にお菓子や、あるいは風習そのものに興味を持ってもらえたらいいな、と思いました。
この記事を書いた人
ヤマダ マコト

新潟市秋葉区在住。サラリーマンの傍らkindleストアで電子書籍にて地元・新潟を舞台にしたエンタメ小説を発表。インディーズながら一部で熱烈な人気を集め、どっちが本業か分からなくなりつつある中年男。

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