サーフィンや海の楽しさを、一生かけて遊びながら伝えたい/聖籠町


2023年04月20日 5754ビュー
城下町として知られる新発田市に、絶好のサーフポイントがあることをご存知ですか? それは藤塚浜海水浴場。海岸でひときわ目を引くおしゃれなカフェ「パラディソ」を訪ねて、店長でありベテランサーファーの阿部一也さんにインタビュー。「海の楽しさをたくさんの人に伝えたい」と話す阿部さんには、さらなるビッグドリームがありました。
阿部 一也
1967年村上市生まれ。20歳で上京し、内装の仕事で腕を磨く。やがてサーフィンに出会い、虜に。30歳前後で新潟に戻り、サーフィンの大会開催やカフェ運営など藤塚浜での活動を始める。2012年頃にカフェ「パラディソ」をオープン。地元の小学生に海の楽しさを教える出張授業やビーチクリーン活動にも力を注ぐ。春から秋は新潟で暮らし、冬はサーフィンをしながら県外や海外を旅することも。

藤塚浜で楽しむプチリゾート

―恥ずかしながら、藤塚浜でサーフィンが盛んに行われているとは知りませんでした。

私も東京から地元に戻るまで知りませんでした。そもそも地元を出たくて上京して、サーフィンを始めたのは内装の仕事をしていた20代の頃。「こんなに面白いものがあるのか!」と人生観が変わるほどでした。個人事業主だったので、時間をやりくりして午前は仕事、午後はサーフィンということもよくしていましたよ。


―人生を謳歌していますね。

当時はバブルもあって天狗になっていました。でもバブルがはじけて、天狗の鼻もポキンと折られちゃって(笑)。そんな時に「藤塚浜はサーフィンに良い波が立つ」と聞いて、地元に戻ろうと思いました。いつかビーチサイドで何かやりたいという夢があったので、大人のままごとみたいなものですが、藤塚浜でワンシーズンだけ仲間とカフェをしたんです。それが楽しくて本格的にカフェをやりたいと思うようになり、2012年頃にパラディソをオープンしました。
海外のビーチリゾートに来たような気分にさせてくれる「パラディソ」

―店内は気分が上がるおしゃれさです。内装はもちろん阿部さんが手がけたんですか?

そうですね。「サーフ・トリップ」と言って、これまで国内外を旅しながらいろいろな海でサーフィンをしてきました。ハワイはもちろん、インドネシア、バリ、モルディブなどアジアにもよく行きました。サーフィンが盛んなビーチには、必ずおしゃれなカフェがあるんです。そういう憧れのお店を参考に作り上げました。
パラディソ一番人気のクアトロ・フォルマッジ1,500円。盛りだくさんのチーズとメープルシロップが相性抜群。ドリンクはイタリアンソーダ・ピンクグレープフルーツ500円、コロナビール600円

勉強は苦手、遊びは大の得意だった

―サーフィンの大会も主催しているそうですね。

1999年に、聖籠町の網代浜で仲間内だけの大会を始めたのが最初でした。いつか行政に認めてもらえるような大会に成長させることを目標に、毎年開催してきました。
阿部さんは網代浜や藤塚浜でサーフィンの大会に携わる(写真は網代浜)

―その目標は達成したのですか?

海で長い時間過ごしていると「自分たちの海」という感覚になって、ポイ捨てされたペットボトルやゴミが気になってくるんです。それで始めたのがビーチクリーン活動。国土交通省に表彰されたこともありました。そういった実績も認めていただき、聖籠町から「町をPRする手段としてサーフィンの大会を開催してほしい」と正式に依頼をいただきました。2022年春に実行委員を立ち上げて9月に「聖籠町長杯サーフィン大会」を予定したのですが、台風が直撃してしまい、やむなく中止に。今年のリベンジ開催を目指して準備しています。


―サーフィンを通じて町を活性化したい、という聖籠町のオファーだったのですね。

それに加えて、少子化や外で遊ばない子どもが多いという課題もありました。そこで海の楽しさを子どもたちに伝えるために、聖籠町の亀代小学校で出張授業をしています。教えるのは楽しさだけでなく、海の危険性や注意点も。さらに実際に海で遊んでもらえるように、サーフィンの体験会や宝探し形式のビーチクリーン活動も実施しています。


―子どもたちは海が好きになるでしょうね。

地元で楽しい思い出ができたら、進学や就職で故郷を離れても、心のどこかに残るはず。「こんなにいい地元から離れたくない」、離れても「いつか戻ってきたい」と思えるような町づくりにつながればと思います。


―すばらしい活動です。

私は学校の勉強は苦手でした。でも遊ぶのは大の得意。それが今こんな形で生かされるとは、自分でも驚いています。なにしろ学生の頃は「一生遊んで、遊び尽くして人生を終えたい」と思ってましたから。ある意味そこはブレてませんね。
サーフィン大会は子ども部門も。将来の有望株が少しずつ育っている

―ちなみに海の他に好きな場所はありますか?

新発田市の諏訪神社です。妻がパワースポットめぐりが好きで、あちこちついていくうちに「いいな」と思うようになりました。海で心が洗われるように、諏訪神社に行くと心がきれいになるような気がします。
ここぞという時に阿部さんが足を運ぶという諏訪神社

世界に羽ばたくサーファーを藤塚浜から

―これから藤塚浜のサーフィン文化をどのように盛り上げたいですか?

いつかこのビーチから、日本を代表するようなサーファーを輩出するのが夢。でもサーフィンをやるなら日本海よりも太平洋、さらに海外にはもっといい海があります。そのハンデをなくすために、サーフィンに適した波を人工的に起こす「ウェーブプール」の施設を作れたらと思っています。日本海から世界に羽ばたくような選手を育てる近道ですし、近隣の県からも間違いなく人が来て経済効果が生まれるはずです。私は一生涯、サーフィンに携わっていたい。ウェーブプールができておじいさんになっても、杖をついて管理人のようなことをやって。「阿部じい」なんて呼ばれたりして(笑)。
「子どもたちに少しでもいい背中を見せたい」と阿部さん

―なんだか目に浮かぶようです。逆に、課題はありますか?

海はかけがえのない地域資源。海から学べることはたくさんあります。分かりやすいのは先ほども言ったゴミ問題で、もう少し目を向けてほしいなと思います。もし砂浜を散歩していてペットボトルが落ちていたら、拾ってゴミ箱に捨てられる人は意外と少ないのではないでしょうか。なんとなく恥ずかしかったり、かっこ悪いんじゃないかと思ったり。でもそういうことが当たり前にできるようになったら最高ですよね。
サンセットタイムも最高の眺め

―最後に、改めて藤塚浜の魅力を教えてください。

子どもから大人まで誰もが安心して楽しめる。それが藤塚浜のいいところです。夏はサーファーたちがライフセーバーとして常駐する安全な海水浴場でもあります。サーフィンをやってみたい初心者の人も、ぜひ一度遊びに来てください。私、教えるのすごく上手ですから。

パラディソ

新発田市藤塚浜石山海岸3585-427藤塚浜海水浴場
0254-28-8337
11:00〜17:00 夕暮れまで
不定休

諏訪神社

新発田市諏訪町1-8-9
0254-22-2339

この記事を書いた人
新発田地域振興局 魅力見つけ隊

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