めくるめくサクラ色を訪ねて 弥彦山でみつける春の散策コース(前編)/弥彦村


2023年04月30日 10299ビュー
新潟県有数の観光スポットといえば弥彦村。コロナ禍以前は弥彦公園や彌彦神社、温泉街などに年間200万人以上が訪れ、人それぞれの楽しみ方で満喫してきたエリアです。観光客の多くは、弥彦村ならではの春夏秋冬の色彩がわかる風景と、懐かしさが残る街並みの数々をお目当てにしてきた人も多いはずです。
なかでも春の弥彦村は、穏やかな気候とポカポカ陽気に誘われて咲き始める桜や、新緑へのちいさな芽生えを肌で感じられるシーズン。今回、弥彦山でみつける春の散策コース前編としては、標高634mの弥彦山山頂までのトレッキングコースをお届けします。

スポット①御菓子処米納津屋

新潟では山や海、さらに川、雪、空をフィールドにしたアウトドアアクティビティが増えています。自然が好きな人はもちろん、休日のお出かけスポットとして家族や知人で楽しむ姿も見られます。
 
トレッキングは登山と同じく山で行いますが、山頂を目指すだけではなく山を歩くことが目的。だから、老若男女問わずに楽しめるアクティビティです。弥彦山のトレッキングでは、彌彦神社周辺の古きよき街並みをまず楽しみたい。はじめ、サクラ色に心惹かれて訪れたのが『御菓子処米納津屋』です。
御菓子処 米納津屋 弥彦神社通店では新潟銘菓の『雲がくれ』のテイクアウトはもちろん、店内に茶室(喫茶つれづれに)が併設され一息入れることもできます。茶室の一席に腰をかけると小さな園庭が目の前に広がり、風流なおもむきの中で注文したのが『抹茶と和菓子』。
※抹茶と和菓子:700円(税込)

見上げて歩くことが増える春に、目線を下ろした先に広がるサクラをモチーフにした和菓子。口に入れるともちもちの食感に中のあんこの程よい甘さ、上品な茶室の雰囲気にあいまっておいしさもひとしお。抹茶本来のほろ苦さを締めにいただくと、味のコントラストをより一層楽しめます。
御菓子処 米納津屋 弥彦神社通店

御菓子処 米納津屋 弥彦神社通店

住所:弥彦村弥彦2935-5
電話:0256-94-1823
営業時間:午前8時30分~午後5時

スポット②表参道コース

※弥彦山のトレッキングコースは登山アプリ『YAMAP』でもご紹介されています。

弥彦山をはじめとする山の桜は、街のサクラが咲き終える頃から花開きます。とくに4月下旬から5月初旬までが山桜のシーズンであり、初級者から上級者まで用意されている弥彦山トレッキングコースでの楽しみとしては一興。
 
今回は、4月中旬に弥彦山に訪れてメジャーコースと言われる表参道コースを散策しました。
表参道コースは、別名『彌彦神社をたずねるみち』とも呼ばれて彌彦神社周辺をぐるっと回りながら山頂を目指すルートです。
 
弥彦山のメジャーコースといっても約1時間半(往路3時間)をかけて、スカイツリーと同じ標高634メートルを登るため、持ち物として登山靴やレインコート、バックパックと水分補給できるものを入れておくと便利です。
表参道コースの弥彦神社登山口に到着。二合目までは空を覆い隠すほどの樹木に囲まれた登山道を進みます。
 
ゆっくりと歩きながら樹木から木漏れ日の中で大きく深呼吸――
 
街なかの喧騒を忘れてひと呼吸ごとに体も心も落ち着いていく感覚。遠くから聞こえるのは野鳥の声や川のせせらぎ。耳を澄ませながら、この時期から花開く野草が見つけることができます。
野草はシーズンによってさまざま。大雪の影響によって4月中旬まで咲いていた雪割草やキバナノアマナ。ピンク色を探した弥彦山でみつけた目にも鮮やかな春色が山道に散りばめられていました。花の香りに包まれながら散策できるのもトレッキングの醍醐味です。
三合目を超えると樹木で囲まれた視界はすこしずつ開けて、目の前に広がるのは多宝山や角田山。サクラ色をみつけて著者も一枚ぱちゃり。山登りの足取りもどんどん軽くなっていきます。
 
雪解けしたばかりの山でのサクラ色、そして新緑の初夏に向けてグリーン一色に染まる様子はゴールデンウィーク期間の前後まで。加えて、夏のシーズンに向けて虫たちも活発化してきますので虫刺されがないよう長袖長ズボンがおすすめです。
五合目には石の鳥居が構えていて一礼。山頂まであと半分、以前までは五合目でショートカットできるコースが分岐されていましたが、2022年現在は立ち入り禁止でした。
 
額には汗がうっすらと出てくる中でひと休憩したいと思っていたところ……七合目の先に湧き水の水場がありました。山頂から流れてくる雪解け水が石枠にポツポツとたまる、まさに弥彦山の恵み。ありがたみを感じながら湧き水で汗を一拭き。スッキリした気持ちとひと休憩できるスポットがあるのも表参道コースならではです。
山頂までの道が開けてきて視界良好。頂上にある弥彦山頂公園で待っているのは、広大な自然が残る弥彦村から名付けられた『ヤヒコザクラ』です。
 
ヤヒコザクラは『白山桜』の変種とされ、一代目の樹齢170年以上の大樹を中心にサクラが舞う姿は圧巻。二代目となる植樹プロジェクトを始め、後世にヤヒコザクラを残そうと取り組みが続けられているそう。景色の変化やシーズンによって出会う野草、そしてヤヒコザクラのような弥彦山にしかない貴重な樹木。五感で味わうトレッキングコースで「1時間半でこうも変わるのか!」と驚きの連続でした。
弥彦山・弥彦神社登山口

弥彦山・弥彦神社登山口

住所:新潟県西蒲原郡弥彦村弥彦
交通アクセス:
①JR弥彦線「弥彦駅」より徒歩で15分
②北陸自動車道「三条燕IC」より車で25分
駐車場:普通車:2000台

スポット③弥彦神社奥宮 御神廟

弥彦山の山頂には弥彦山頂公園の他に、彌彦神社をたずねるみちという名所の通りに『彌彦神社奥宮御神廟』があります。彌彦神社奥宮御神廟は弥彦山頂公園から徒歩15分ほどにあり、緩やかな坂道を登っていくため弥彦山頂公園でふうっと呼吸を整えておきましょう。

※弥彦山頂公園の名所スポットについては後編にお届けします。
※弥彦山ロープウェイや車でお越しの際は、山頂駅から徒歩20分程度。
 
彌彦神社奥宮御神廟では、彌彦神社の御祭神である「天香山命(あめのかごやまのみこと)と姫神「熟穂屋姫命(うましほやひめのみこと)」のご夫婦が祭られています。また、夫婦で祀られていることから縁結びのご利益があるとされ、パワースポットとしても人気です。
彌彦神社奥宮御神廟までのトレッキングコースは、天候によって樹木のすきまから弥彦村周辺や燕三条エリア、佐渡島が一望することができ「雲の上を歩いている」なんて気持ちになったりします。
 
そう遠くはない道のりでも、散策中にサクラ色も発見!
休日には、おでかけに来られた子ども連れのご家族の姿もちらほら。季節ごとによって咲く野草や樹木の育ちを観察したり解説したりとそれぞれの楽しみ方でトレッキングを行っていました。

他にも、新潟県内のテレビ局の電波塔が弥彦山山頂に立ち並ぶ姿に「弥彦山と日々の暮らしとがつながっているな」と考えているうちに彌彦神社奥宮 御神廟に到着しました。
御神廟ではまず『2礼4拍手1礼』で参拝。
 
彌彦神社御神廟周辺を見渡すと、これまでは眺められなかった山々(鳥海山、月山、二王子岳、五頭山、菅名岳、白山、守門岳、苗場山、妙高山、白馬岳)がそびえたっていました。取材当日は曇が多く見つけられなかったですが、遠くには佐渡島も眺められます。
御神廟では毎年の恒例行事である『春季神廟祭(5月10日)』と『秋季神廟祭(10月10日)』が開催されるため、その日に訪れても満喫できる弥彦山。春ならではのサクラ色が舞い散る弥彦山トレッキングコースをおでかけスポットとして楽しんでみてはどうでしょうか。
彌彦神社御神廟

彌彦神社御神廟

住所:新潟県西蒲原郡弥彦村弥彦3606-1/弥彦山山頂
交通アクセス:
①JR弥彦線「弥彦駅」より徒歩15分、山麓駅よりロープウェイで5分、下車後、山頂まで徒歩で15分
②北陸自動車道「三条燕IC」より山頂駐車場まで車で40分、下車後、徒歩で20分
駐車場:普通車:150台

弥彦山までのトレッキングコース

この記事を書いた人
水澤 陽介(みずさわ ようすけ)

新潟県生まれ、東京、沖縄を経て地元新潟にUターン。2021年2月、三条市の中央商店街に本屋「SANJO PUBLISHING」を立ち上げ、“まちを編集する本屋さん”をモットーにまちの魅力を集め、届けています。 まちを編集する本屋「SANJO PUBLISHING」(https://note.com/ncl_sanjo