見て、触れて、安田瓦の秘密を大解剖。新スポット「かわらティエ」へ/阿賀野市
2023年09月15日
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こんにちは!ライターの竹内ありすです。
今回訪れたのは阿賀野市!
冬になるとたくさんの白鳥が飛来する瓢湖があり、新潟県の酪農発祥の地として「ヤスダヨーグルト」をはじめとした乳製品の生産が盛んなエリアです。
そんな阿賀野市をドライブしているとこんな看板が…
今回訪れたのは阿賀野市!
冬になるとたくさんの白鳥が飛来する瓢湖があり、新潟県の酪農発祥の地として「ヤスダヨーグルト」をはじめとした乳製品の生産が盛んなエリアです。
そんな阿賀野市をドライブしているとこんな看板が…
「瓦ロード」
古くから瓦の産業も続いているそうで「安田瓦」は阿賀野市の特産品なのですが、詳しくは知らなかった私。
古くから瓦の産業も続いているそうで「安田瓦」は阿賀野市の特産品なのですが、詳しくは知らなかった私。
“瓦エリア”が以前から気になっていました。
そんななか、耳に入ってきたのは瓦にまつわる新スポットがオープンしたという情報です。その名も「かわらティエ」!夏休み中の母を誘って、訪れてみることにしました。
あらためて見つめ直したくなる瓦の魅力を知り、無心になって楽しめるアクティビティを体験してきたのでリポートします!
そんななか、耳に入ってきたのは瓦にまつわる新スポットがオープンしたという情報です。その名も「かわらティエ」!夏休み中の母を誘って、訪れてみることにしました。
あらためて見つめ直したくなる瓦の魅力を知り、無心になって楽しめるアクティビティを体験してきたのでリポートします!
瓦を身近に感じる「かわらティエ」
新潟市を出発して40分ほど。国道49号線をドライブし、一本曲がったところに「かわらティエ」が!看板はないものの(2023年8月時点)、立派な瓦屋根が目印です。
駐車場が広く、ゆったりと停められるのもありがたい。お向かいは地域の産品を販売するショップとレストランが併設された施設「瓦テラス」です!
「かわらティエ」に入ってみると、このような空間が広がっていました。
この壁!なんだかすごい!!こんなに瓦が密集しているのを見るのって初めてかも。
実は、ここ「かわらティエ」は安田瓦体験型産業施設として新しくできたスポットなんです。瓦だらけの壁の中で流れている映像も気になるし、奥のほうにもまだ部屋があるみたいだし、いろいろ教えてほしい!
ということで、安田瓦協同組合の加茂豊和(かも・とよかず)さんに案内していただきました。
実は、ここ「かわらティエ」は安田瓦体験型産業施設として新しくできたスポットなんです。瓦だらけの壁の中で流れている映像も気になるし、奥のほうにもまだ部屋があるみたいだし、いろいろ教えてほしい!
ということで、安田瓦協同組合の加茂豊和(かも・とよかず)さんに案内していただきました。
よろしくお願いします!
瓦をじっくり見てみよう
「かわらティエ」の建物に入ってまず目に飛び込んでくるのが、この壁!
遠くから見るだけでも「瓦が密集しているなあ」と圧倒されますが、近づいてみるとその精巧さに心を打たれます。
遠くから見るだけでも「瓦が密集しているなあ」と圧倒されますが、近づいてみるとその精巧さに心を打たれます。
幾重にも瓦を積み重ねて模様のようになっているんです!一緒に訪れた母は私の横でパシャパシャと写真を撮っていました。
しかも、横から見るとこの分厚さ!!
さらに、「足元も瓦なんですよ」と、加茂さん。玄関先から続くやわらかな色合いの床パネルも瓦でできていたのか!
そういえば、あんなに外は暑かったのに「かわらティエ」に入って瓦を見ているとスーッと汗がひいていく…… 涼しい。
「この入口ロビーでは、冷房をつけていないんですよ」と、加茂さん。
そういえば、あんなに外は暑かったのに「かわらティエ」に入って瓦を見ているとスーッと汗がひいていく…… 涼しい。
「この入口ロビーでは、冷房をつけていないんですよ」と、加茂さん。
日本家屋の屋根でおなじみの瓦ですが、瓦材の特徴のひとつとして断熱性能の良さが挙げられます。外気の熱量を通さずに夏はひんやり、冬はあたたかい生活空間を守ってくれるといいます。
でも、今、瓦づくりは日本全国のどこででも行われているというわけではないんです。
「ここ新潟県は、瓦づくりをしている北限の地なんですよ。強い瓦を作っていて、職人さんが揃っているから残ってこられたんです」と加茂さんが教えてくれました。
瓦でできた壁の中では、その瓦の強さの秘密を紐解き、瓦づくりの工程を説明する映像が上映されていますよ。
でも、今、瓦づくりは日本全国のどこででも行われているというわけではないんです。
「ここ新潟県は、瓦づくりをしている北限の地なんですよ。強い瓦を作っていて、職人さんが揃っているから残ってこられたんです」と加茂さんが教えてくれました。
瓦でできた壁の中では、その瓦の強さの秘密を紐解き、瓦づくりの工程を説明する映像が上映されていますよ。
無心になれる鬼瓦づくり体験!
さて、入口ロビーから奥に進むと、教室のような空間が。
「かわらティエでは、実際に瓦に触れることができる体験をご用意しています」と、加茂さん。この日は「鬼瓦づくり体験」ができるということで、私たちもやってみることにしました!
鬼瓦とはその名の通り鬼をかたどった瓦のことで、厄災を払って魔除けをし、家の繁栄を願うもの。
「沖縄でいうとシーサーみたいな存在か〜」と、母も興味津々です。
ちなみに、鬼瓦を作る職人さんのことを「鬼師」と呼ぶのだそう。なんだかかっこいい響きですよね!そんな鬼師さんたちは家屋に載せる鬼瓦だけでなく、お寺や城郭などの鬼瓦も手がけます。なかには一点ものも多く、その芸術性の高さが全国で評価されているのだとか。
でも、見るからに鬼瓦の造形は複雑で、難しそう。私たちに作れるのかな?
「スタッフがしっかりサポートしますから、安心してください!型もありますし!」と、加茂さん。心強いです。
「沖縄でいうとシーサーみたいな存在か〜」と、母も興味津々です。
ちなみに、鬼瓦を作る職人さんのことを「鬼師」と呼ぶのだそう。なんだかかっこいい響きですよね!そんな鬼師さんたちは家屋に載せる鬼瓦だけでなく、お寺や城郭などの鬼瓦も手がけます。なかには一点ものも多く、その芸術性の高さが全国で評価されているのだとか。
でも、見るからに鬼瓦の造形は複雑で、難しそう。私たちに作れるのかな?
「スタッフがしっかりサポートしますから、安心してください!型もありますし!」と、加茂さん。心強いです。
そう、今回体験できるのは粘土を使ったミニ鬼瓦の型押しと模様付けなのです。
ミニ鬼瓦のつくり方は簡単!
粘土を鬼の顔をかたどった型に入れ、箸や竹串で模様を描くというもの。私たちの作業はここまで!その後、施設内で乾燥させ、近くの瓦工場で焼いたあと、自宅に郵送していただけるのです。
ミニ鬼瓦のつくり方は簡単!
粘土を鬼の顔をかたどった型に入れ、箸や竹串で模様を描くというもの。私たちの作業はここまで!その後、施設内で乾燥させ、近くの瓦工場で焼いたあと、自宅に郵送していただけるのです。
ミニ鬼瓦づくりをサポートしてくれたのは、「かわらティエ」のアルバイトスタッフ田中翔梧(たなか・しょうご)さん。
体験用に丸められている粘土を手にし、捏ねるところからスタート。母が先に鬼瓦づくりに挑戦しました。
田中さんのお手本を見ながら、粘土に向き合う母。
焼いたときにひび割れてしまわないよう、表面をなめらかに保ちたい。
鬼の模様が立体的に描かれた型へ、こねた粘土を押し込みます。
想像以上に力が要る!!
「しっかり押さないと、角がなくなって情けない感じの鬼になっちゃいます」と、田中さん。
「しっかり押さないと、角がなくなって情けない感じの鬼になっちゃいます」と、田中さん。
型からはみ出した粘土は粘土でコロコロして取り除きます。
型を横からハンマーで叩き、粘土を型から浮かせて
パカッ!
かっこいい鬼が現れました。田中先生、さすがです。
母もなんとか鬼を型から出すことができました!……あれ?なんか顔がひび割れていますね。
「水をつけて指で伸ばせば大丈夫ですよ」と、田中さん。
強そうな鬼になるよう、何度も指でなぞって表面を整えます。
「指でなぞっていると、たまに小石みたいなのがありますね」と、母。
近隣の瓦工場で瓦づくりに使われる粘土はもちろん、「かわらティエ」での体験で触れる粘土にはこのあたりで採れた土を使っているのです。ここで安田瓦の強さの秘密を聞きました!
この土を使った粘土を1,200℃とかなりの高温で焼いたあと、空気を遮断した「還元焼成」という方法でじっくりと焼いて作る安田瓦。「還元焼成」を行う際、窯の中に酸素がないために粘土の中に含まれる酸素も抜けるので、しっかりと焼き締められるのだそう。
こうしてできた安田瓦は防水性に長けるため、雨や雪にも強いのです。地域で採れた資源を使ってその地域の生活に役立ててきたんですね。
こうして瓦づくりの産業が残っているのも、安田地域の土が良質だったことが大きな理由のひとつだなと感じました。
「指でなぞっていると、たまに小石みたいなのがありますね」と、母。
近隣の瓦工場で瓦づくりに使われる粘土はもちろん、「かわらティエ」での体験で触れる粘土にはこのあたりで採れた土を使っているのです。ここで安田瓦の強さの秘密を聞きました!
この土を使った粘土を1,200℃とかなりの高温で焼いたあと、空気を遮断した「還元焼成」という方法でじっくりと焼いて作る安田瓦。「還元焼成」を行う際、窯の中に酸素がないために粘土の中に含まれる酸素も抜けるので、しっかりと焼き締められるのだそう。
こうしてできた安田瓦は防水性に長けるため、雨や雪にも強いのです。地域で採れた資源を使ってその地域の生活に役立ててきたんですね。
こうして瓦づくりの産業が残っているのも、安田地域の土が良質だったことが大きな理由のひとつだなと感じました。
さて、鬼瓦の表面をなめらかにしたあとは模様付け!
割り箸や竹串を使い、好みの装飾を施します。眉毛やあごひげに線を入れることで、グッと鬼らしい表情になりました。
もしも線を引くのに失敗してしまったら、水で濡らし表面をなめらかにしてリセットすれば良いのです。
気がつくと、いつもはおしゃべりな母も無言で集中していました。
もしも線を引くのに失敗してしまったら、水で濡らし表面をなめらかにしてリセットすれば良いのです。
気がつくと、いつもはおしゃべりな母も無言で集中していました。
ここでできる工程の完成はもうすぐそこです!
遅れて、私も体験。
曲線を引くのは難しかったので、直線と丸を中心にした装飾にしてみました。
装飾のできあがりを確認していた母が、「なんだかセラピーみたい」とぽつり。
両手で粘土にじっくり向き合い、無心になって作業をすることでとっても癒されたようです。確かに、普段はついついすぐにスマホを持ってSNSを開いてしまったり、何かをしながら別のことに取り組んだりと、せわしない日常を送っていたような。なかなかこうして感覚を全集中させる時間がなかったな〜と感じました。
「親子で体験に来られる方も多いのですが、お子さんよりも親御さんのほうが夢中になるケースも多いんですよ」と、加茂さん。
装飾のできあがりを確認していた母が、「なんだかセラピーみたい」とぽつり。
両手で粘土にじっくり向き合い、無心になって作業をすることでとっても癒されたようです。確かに、普段はついついすぐにスマホを持ってSNSを開いてしまったり、何かをしながら別のことに取り組んだりと、せわしない日常を送っていたような。なかなかこうして感覚を全集中させる時間がなかったな〜と感じました。
「親子で体験に来られる方も多いのですが、お子さんよりも親御さんのほうが夢中になるケースも多いんですよ」と、加茂さん。
乾燥して焼かれるのを待つ作品を見せてもらうと、芸術的な鬼たちがずらりと並んでいました。
ちなみに今回母と私が挑戦したのは、「あ・うん」セットのミニ鬼瓦。「あ」と口を大きく開けた鬼と「うん」と口を閉じている鬼で一対になっており、阿(あ)は物事の始まり、吽(うん)は終わりを表しているのだとか。
ちなみに今回母と私が挑戦したのは、「あ・うん」セットのミニ鬼瓦。「あ」と口を大きく開けた鬼と「うん」と口を閉じている鬼で一対になっており、阿(あ)は物事の始まり、吽(うん)は終わりを表しているのだとか。
こうしてじっくりと眺めていると、愛着がわいてきます。焼成の工程を経て再会できるのが待ちきれません!どこに飾ろうかな。
ミニ鬼瓦作り体験
「あ・うん」セット 3,000円
「あ」または「うん」単品 2,000円
※「かわらティエ」窓口にて、体験希望をお申し付けください。
まだまだ進化するかわらティエ
今回は「あ・うん」セットのミニ鬼瓦づくりを楽しみましたが、今後は瓦の模様のパターンが増えていくのだそうです。ほかにも定期的に陶芸教室が開かれるなど、体験の選択肢も広がっていきそうですよ。
また、「かわらティエ」には今後、安田瓦について紹介する展示ホールも設けられる予定です。
展示ホールについて、「安田瓦について学べるだけでなく、触って遊べるものにしたい」と、安田瓦協同組合の加茂さんは話します。今年度中には完成を目指しているということで、どのようなホールになるのか楽しみです。
にいがた瓦館 かわらティエ
住所:新潟県阿賀野市保田7372
TEL:0250-68-2112
営業時間:9:00-17:00
不定休
せっかくだから立ち寄りたい瓦ロード
「かわらティエ」で安田瓦を身近に感じたところで、どうしても寄りたい場所ができてしまいました。
そう、ドライブして気になっていた「やすだ瓦ロード」です!
「かわらティエ」で瓦ロードのマップをいただいたので、散策しにいくことに。
「かわらティエ」から歩いていける範囲はもちろん、少し遠い場所でも駐車場の用意があるポイントが多いので安心です。
「かわらティエ」から歩いていける範囲はもちろん、少し遠い場所でも駐車場の用意があるポイントが多いので安心です。
「やすだ瓦ロード」とは、瓦の生産工場が立ち並ぶ保田(やすだ)地区を訪れた人が、安田瓦を使った装飾を楽しめる観光スポットとして整備されたもの。
使われている瓦の数はなんと合計1万枚ほど!
小さな鬼瓦がたくさん。かわいらしいです。
たぬきの置物も安田瓦になっちゃった!
「サザエさん」オープニングにも登場して話題になったバス停。瓦だらけで壮観です。
こちらは、加茂さんにおすすめしていただいた「やきもの広場」。
大きな口を開けたビッグサイズの鬼瓦にびっくり!
思わず鬼瓦をまねて、写真を撮りたくなります。
さらに「やきもの広場」では……
屋根に乗ることもできちゃうんです!
普通の家屋なら高くて怖くて登れない屋根ですが、ここなら大丈夫。足の裏に瓦を感じ、不思議な気持ちになりました。
こちらも撮影に人気のスポット。私たちも、思わず童心に返ってしまいました。
今回訪れたスポット
この記事を書いた人
1995年新潟市生まれ。放送局での番組制作を経て、フリーランスのライター・ディレクターへ。 昭和歌謡と喫茶店、新潟の日本酒が大好き!もの・こと・人にまつわる、魅力あるストーリーをお伝えします。
Twitter→ https://twitter.com/atelier_aliswan