【にいつまるごと鉄道フェスタ 深掘り潜入レポート】日本一あつい!鉄道のまち・新津で鉄分(鉄道)補給しよう/新潟市


2023年12月10日 5432ビュー
10月14日は「鉄道の日」という事をご存知でしょうか?
明治5(1872)年、新橋駅〜横浜駅間に日本最初の鉄道が開通したことを記念して、制定されました。
新津(現・新潟市秋葉区)は、古くから交通の要所として栄えた「鉄道のまち」

新津の中心駅となる「新津駅」は、明治30(1897)年に北越鉄道(現在の信越本線)の駅として開業し、今年で開業126年を迎える、新潟県内でも歴史がある駅です。

その後、羽越本線・磐越西線も続いて開通し、3路線が交わる交通の要所となりました。日本海側の旅客・貨物輸送の重要な拠点として、鉄道関連施設も多く置かれ、「西の米原・東の新津」と呼ばれるほど全国的にもその名を知られ、街と駅が発展・繁栄しました。

最盛期の新津では4人に1人が鉄道関係者と言われ、新津の方は先代が鉄道に携わっていた方も多く、今も昔も鉄道との関わりが深いまちです。
現在も新津には、新津運輸区・(株)総合車両製作所 新津事業所・新津鉄道資料館などの鉄道関連施設が置かれ、鉄道との関わりが深い事が伺えます。
新潟市秋葉区内には駅が6つもあり、新津駅はターミナル駅として多くの乗降客で賑わい、信越本線・新津駅〜新潟駅間の列車運行本数・乗車率ともに、新潟県内ではトップクラスを誇ります。

新津駅は普通・快速列車のほか、特急列車・貨物列車なども発着し、ホームからは駅を発着する様々な列車が見れる、新潟県内でも一番の鉄道ビュースポットです。
土日祝日を中心に、磐越西線・新津駅〜会津若松駅間を運行する「SLばんえつ物語」も新津駅から発着します。

その姿から「貴婦人」とも呼ばれ、優美で人気が高い蒸気機関車「C57 180」と、木目調を多用した客車のデザインが特徴的であり、タイムスリップした雰囲気を味わえます。

磐越西線は「森と水とロマンの鉄道」とも呼ばれ、新潟・福島県境の山間部と阿賀野川沿いの美しい景色が楽しめ、のってたのしい列車として愛され、今年で運行開始24周年を迎えました。
新津駅構内には、SLばんえつ物語のキャラクター「オコジロウ&オコミ」のベンチや、階段アートなどの撮影スポットもあるので楽しさ満点ですよ。

SLばんえつ物語

⚫︎運行区間 磐越西線・新津駅〜会津若松駅
⚫︎運行日  4月〜11月 週末を中心に運行
⚫︎きっぷ購入方法 みどりの窓口・指定席券売機などで1ヶ月前から発売
(詳しくはJR東日本のホームページをご覧下さい)

JR新津駅

⚫︎場所 新潟市秋葉区新津本町

新津駅東口に広がる「にいつ鉄道商店街」は【鉄道】をキーワードに活性化に取り組んでいて、店頭に列車のヘッドマークや関連品が展示されていたり、街中には踏切警報機・鉄道シャッターアート・SLの動輪があったりと楽しめます。
新たな新津のシンボルとして、新津駅周辺や新津郵便局にSLと列車をデザインしたラッピングポストが4基設置されました。鉄道旅や新津散策の思い出に、手紙を投函してみるのも楽しそうです!
(※2023年開催時のポスター)

「鉄道のまち・新津」では10月14日の鉄道の日に合わせ、毎年10月中旬頃に「にいつまるごと鉄道フェスタ」が開催されます(予定)。今回は大人気鉄道イベントに潜入し、徹底的に取材しましたのでレポートします!

にいつ鉄道まつり(新津運輸区 C57 180 SLばんえつ物語公開)

まずは、新津駅に隣接をする「新津運輸区」へ移動します。

新津運輸区は、大正時代に新津機関庫として始まった、歴史がある鉄道関連施設。
現在は信越本線・羽越本線・磐越西線を走る列車の車両基地として、多くの運転士と車掌がこちらに所属し、日々の列車の安全運行を担っている場所でもあります。

信越本線・新津駅〜さつき野駅間の車窓から、新津運輸区にとまる車両を見る事は出来ますが、もちろん普段は入れない場所の特別公開という事でワクワクします!
新津運輸区でのメインイベントは、SLばんえつ物語で使用される蒸気機関車が「転車台」に乗って回転する姿を間近で見れること。

転車台とは方向を変える設備で、蒸気機関車には欠かせない設備。蒸気機関車が走っていた時代は、全国に転車台が存在しましたが、現役で活躍している一つが新津運輸区の転車台です。

汽笛を鳴らし、黒い煙と白い蒸気を放す蒸気機関車が回転する姿は圧巻でした!
ヘッドマークの「喜寿」は、SLばんえつ物語で使用される蒸気機関車「C57 180号機」が今年で製造から77年目を迎え、掲示されています。

回転中は実際にSLばんえつ物語に乗車をする機関士さんが、蒸気機関車について詳しい説明を同時に行うので、乗車したくなること、間違いなし!目の前で動画や写真に収める事ができるので、滅多にない機会を多くの方が楽しんでいました。
SLの制服着用体験やぬり絵コーナーも設けられ、普段は入れない運輸区の中に親しみを感じ、新潟を走る列車の安全運転を日々担っている皆様に感謝し、列車に乗りたいと感じました。

にいつ鉄道まつり(新津駅ぷらっとホームBAR)

次は、新津駅周辺で行われる「にいつ鉄道まつり(ぷらっとホームBAR)」へ!1番線ホームには、SLばんえつ物語で使用される客車が停車中です。
ホームには物販・飲食コーナーが設けられ、購入した商品をSLの客車内に持ち込んで飲食を楽しむことができ、なんとも贅沢です!(改札内の為、入場券の購入が必要)
ホームでは地元商店街の皆様が、おつまみやお菓子・アルコール類を販売。
鉄道のまち・新津らしいネーミングや工夫をした「石炭コロコロからあげ」などのおつまみ、お菓子、駅弁も販売され、多くの方が客車内で飲食を楽しんでいました。

出店の飲食物は、にいつ鉄道商店街の各店舗で販売されていますので、新津の散策記念にお立ち寄り下さい。
昔走っていた車両や、今は使われなくなった鉄道関連品の各種部品などを販売する「鉄道小物販売」

乗車口案内札や駅名標、列車の方向幕までさまざまな古物が揃い、イベント開始前から多くの方が列に並び、賑わっていました。
JR東日本オリジナルグッズの販売や、2024年度末に越後線・新潟駅〜白山駅間に開業予定の新駅「上所駅」のPRコーナーも構えられていました。
新津駅東口広場では、ミニSLが運行!暖かい陽気のもと、多くの方が楽しんでいました。
「新潟大学鉄道研究部」の鉄道模型・トイトレインのジオラマ展示は力作が勢揃い!

皆さんが作った素晴らしい作品が観れるのも、にいつまるごと鉄道フェスタの見どころです。作成担当者の今回のイベントにかけた想いや苦労したことを聞きました(一部 写真提供 新潟大学鉄道研究部)
① 一ノ戸川橋梁(磐越西線)制作担当
苦労&工夫した事は、どこまでリアルに魅せられるかという部分。「この部分は細かく汚しておきたい」「この部分は死角になるから少し省略出来そう」など効率良く作業に取り組みました。橋脚のウェザリングと鉄橋の色合いの組み合わせが見て欲しいポイント。単調な黄色に対して、影で支える部分の汚しがマッチし、一番の見所です。
② 青海川駅(信越本線)制作担当
進学で新潟に来て、圧倒され感動した日本海×鉄道の風景。そのときの迫力や感動を模型サイズに込めてみました!スペースの都合上、青海川駅周辺の地形を忠実に再現できず、どの部分を省略するかの吟味に苦労しました。
③ 第一只見川橋梁(只見線)制作担当
来観者をもてなすためのもので、今まで経験してきた賞レースと異なり、純粋に楽しみながら制作できました。橋や地形などの制作には慣れていましたが、一人での制作で想定より時間がかかり苦労しました。
④ 北の無人駅(宗谷本線勇知駅)制作担当
北海道でよく見る無人駅をイメージして制作。駅周辺には十勝の畑、富良野のラベンダー畑を配置、さらに道路上には路肩を表す矢羽根付きポールを再現し、北海道特有の景色を詰め込みました。
⑤ トイトレインレイアウト制作担当
苦労した点は、いかに省スペースでお客様に楽しんでいただけるレイアウトを組めるかです。その結果、メインとなるタワーを2つ作成、間を橋渡したり縫うような線路を組み、電車を走らせた際に視覚的に楽しめるレイアウト作成を目指しました。お子様をはじめ、見に来てくださる方を楽しませるという一番の目的を達成でき、感謝です。
<当日の来場者様の感想>
作品を見て、皆様が発する「すごい!」という言葉が印象的でした。お子様や学生・大人の方、また新津駅長をはじめ、JRの方々にも展示を絶賛して頂いていました。特にトイトレイン展示では、御家庭で保有されてる以上の規模を部で所有して展示しており、展示規模にも驚かれている方もいました。

<新潟大学鉄道研究部>
現在62名が在籍し、部会として週1回集まり鉄道の雑談や定期的に旅行や展示会を実施している、新潟大学の鉄道サークル。新歓旅行や県外への宿泊旅行の他、今年9月には「びゅうコースター風っこ号」を「新大風っこ号」として、新津〜会津若松~小出間で列車の貸切運行を行い、話題になりました。

展示は毎年10月の新大祭(新潟大学の学祭)をはじめ、今回の新津駅の他に長岡駅での展示など不定期で実施しています。最新情報は、新潟大学鉄道研究部公式SNSをご確認下さい。展示依頼も受付中!(要相談)

【新津駅長とSLばんえつ物語のキャラクター「オコジロウ&オコミ」】

イベントを通じ、地元の皆様と参加者様が一丸となり、「鉄道のまち・新津」を盛り上げようという強い思いを感じました。

新津観光協会

⚫︎住所   新潟市秋葉区新津本町3丁目1番7号
⚫︎電話番号 0250ー24ー3777

(株)総合車両製作所 新津事業所「レールフェスタinにいつ」

新津駅周辺を離れ、次は「(株)総合車両製作所 新津事業所」へ向かいます。

(株)総合車両製作所 新津事業所は、昭和前期に車両の修繕などを行う国鉄の施設として開設し、現在はJR東日本グループの会社として、鉄道の設計から製造まで担う鉄道車両製造工場であり、JR東日本管内や大手私鉄の車両製造を行っています。
車両を造るだけあり、東京ドーム3個分の敷地が広がり、敷地内に架線があるのも鉄道車両製造工場らしいです。
【JR横須賀・総武快速線 E235系】

新潟県内を走る列車をはじめ、首都圏などを走るJR線や私鉄の車両が、こちらの工場で造られている事はご存知でしたでしょうか?

山手線を走る「E235系」や新潟県内を走る「E129系」などの車両が製造され、日々走っています。皆様が普段乗る車両も、新津で造られているかも?!「新津産まれ」の車両が活躍していると思うと誇らしいです!

今回のイベントでは、JR横須賀・総武快速線(神奈川県・東京都・千葉県)を走る「E235系」や、しなの鉄道(長野県)を走る「SR1系」が展示されていました。
【しなの鉄道 SR1系】

車体のクレーン移動実演・台車取り付け・電車製造工程の公開、完成車両の公開など、普段は見る事が出来ない光景に目が釘付け!

鉄道グッズ販売や鉄道模型の運転体験、ミニ電車運行も行われ、多くの方が楽しんでいました。
広い工場内、一つ一つのきめ細やかな製造工程があり、多くの方が協力し合い、私達が普段利用する車両が新津で造られている事が誇らしいと実感しました。

(株)総合車両製作所 新津事業所

⚫︎住所 新潟市秋葉区南町19番33号

新津鉄道資料館「新幹線実物車両見学会」

最後は「新潟市新津鉄道資料館」へ。

新潟市新津鉄道資料館は、​​鉄道のまち・新津にいきづく文化や歴史を発信しようと、昭和58(1983)年に開館し、今年開館40年を迎えた歴史ある施設です。

全国的にも、鉄道会社や自治体が運営する鉄道資料館や博物館は多くありますが、新津鉄道資料館は自治体が運営しているとは思えないほど、鉄道に関する資料や展示、体験コーナーが充実しています。
1階は常設展示、2階は企画展示やイベントスペースであり、鉄道好きやファミリーだけでなく、どなたも楽しめる施設です。新潟を走っていた車両の部品や資料、新潟や新津と鉄道の関わりを学べる展示品が揃います。
展示品の多くは、鉄道会社や地元・新津の住民や鉄道に携わった方からの譲渡であり、皆様の鉄道愛を感じます。
中でも「電車運転シミュレーターコーナー」は大人気!ゲームに比べると意外と難しい?ですが、鉄道好きはもちろん、大人から子供まで楽しめ、憧れの運転士気分を体験出来ます。ぜひ、トライしてみて下さい。
今回のにいつまるごと鉄道フェスタの、新潟市鉄道資料館でのメインイベントは「新幹線実物車両見学会」

オール2階建て新幹線「Max」として上越新幹線で活躍し、16両編成時は世界最大級の輸送人員を誇った「E4系」(2021年 定期運行終了)

緑色のボディライン、団子っ鼻と丸い目が印象的であり、上越新幹線の開業から約30年に渡り活躍した「200系」(2013年 定期運行終了)

2つの新幹線は定期運行終了後、新津鉄道資料館で実物が展示されています。今回のイベントでは、通常公開されていない運転席と客室が特別に公開されました。
Maxとの再会に感動!列車の中へ入り、1階と2階の客席や階段の雰囲気が懐かしすぎます!

私もMaxは思い出深く、18歳で新潟から東京へ上京する時もMaxであり、30歳を過ぎ新潟へUターンする時もMax。新潟から離れる時も戻る時も、そばで成長を見守ってくれました。

Maxが引退をして約2年ですが、懐かしい空間に涙が出そうになりました…。皆様も、何かしら思い出がよみがえるはずです。
<鉄道のまち・新津のお土産もたくさん販売!>

新潟市新津鉄道資料館では、鉄道に関するイベントが随時開催され「実物車両公開デー」も年に数回開催されます。新潟や新津の鉄道文化や歴史を学べ、懐かしい車両にも会える、新潟市新津鉄道資料館を訪れてみてはいかがでしょうか。

新潟市新津鉄道資料館

⚫︎住所   新潟市秋葉区新津東町2丁目5番6号(新津地域学園内)
⚫︎開館時間 9時30分〜17時(最終入館時間 16時30分)
⚫︎入館料  大人300円、高校・大学生200円、小・中学生100円
⚫︎休館日  毎週火曜日(祝日の場合、翌日休館)、年末年始
⚫︎電話番号 0250ー24ー5700

「にいつまるごと鉄道フェスタ」は鉄道を通じて地域の関わりを大切にし、鉄道のまち・新津を広めようと、多くの方に愛される熱いイベントである事を実感しました。地域一丸となった鉄道イベントは、珍しいと思います。

ここ数年の夏は、新潟市秋葉区(新津)が全国最高気温観測1位のニュースを耳にしますが、新津は日本一暑いまちであり、日本一鉄道が熱いまちです。

ぜひ、「鉄道のまち・新津」へ鉄分(鉄道)補給しに、お気軽に足をお運び下さい!
この記事を書いた人
GATA_TETSU

長岡市出身、新潟市在住。
首都圏の某ターミナル駅で駅係員として、10年間勤務をした経験を持つ、元鉄道マン。
新潟へUターン後は、趣味の鉄道と元鉄道マンの経歴を活かし、SNSなどで新潟&公共交通の魅力を発信中!
https://twitter.com/GATA_TETSU_0401