新潟は酒蔵だけじゃない!ここにしかないお酒を求めて!そうだ!酒屋に行こう④【地酒の都屋】/新潟市


2023年12月09日 1909ビュー
酒どころ新潟の蔵元の数は全国№1。個性豊かなお酒やお蔵が数多くあり、蔵を見学しながらお酒を買うのも楽しいのですが、それらのお酒を売る町の「酒屋さん」でお買い物するのも、とっても面白いんですよ!
「酒屋さん」にしかないお酒や飲み方など、新しい発見や出会いがあなたを待っています。
 
第四弾となる今回は、新潟市中央区にあります「地酒の都屋(みやこや)」です。

酒好きが通う住宅街にある酒屋さん

新潟市中央区親松の住宅街に、突如現る蔵造りのお店。

新潟駅からは公共交通機関で40分ほどかかるので、決してアクセスが良いとは言えないのですが、おそらく、新潟市内に住む(市内じゃなくても)お酒好きな人なら一度は訪れたことがある……または名前は知っている!というくらいレジェンドな酒屋さんなんじゃないかな?と私は思っています。
 
約20蔵の新潟の地酒と、クラフトビールや焼酎、食品や酒器などの雑貨があります。
創業は1972年で今年51年目
創業当初は酒・タバコ、肉魚、生鮮産品、日配品や生活雑貨なども販売する、町のよろず屋さんだったそうです。
 
そして今年の5月、店舗の隣に飲食を楽しむことができる“酒と食まわり「まみあな」”と、めだかの販売“めだかの森”が、お店を営むご夫婦を中心にオープンしました。

日本酒初心者さんにこそ入って欲しい!!

坂上重成さん

地酒の都屋2代目。
東京の大学を卒業した後、日本橋の問屋に勤めたのち、25年程前にUターンで新潟に戻る。事業継承をした20年前に今の地酒専門店に。また、趣味であっためだかの飼育から、めだかを販売する“めだかの森”をオープン。

坂上恵さん

子育てが一段落した5年前にスタッフとして働きはじめる。そこで改めて新潟のお酒の魅力に気付き、売るだけでなく、もっとそれを伝えられるような啓蒙活動をしたいという想いからコロナ禍を経て「まみあな」をオープン。

新しくオープンしためだかの販売が気になるところですが、せっかくですので店舗のお酒や新潟のお酒についてもお話を聞きたいと思います。
どれもおすすめとは思いますが……あえておすすめを重成さんに聞いてみましょう。
 
――おすすめしたいお酒や一緒に楽しみたいペアリングを教えてください。
 
重成さん:オススメしたいのはモダンなお酒とモダンなお料理。クラシックなお酒と丁寧な和食。私自身はお出汁のきいた椀物と、本醸造のお燗が好きです。
 
――お酒のことを「モダン」「クラシック」というふうに表現しているのは少ないような気がするのですが、具体的に言うとどのような日本酒のことを指すのでしょうか?
 
重成さん:日本酒の味わいを一言で「辛口」「甘口」って言うけれど、人によって辛い甘いって違うから難しいんですよね。
なので、果実感があって冷たくすると一層美味しくなるお酒を「モダン」、コクがあって常温から温めると美味しくなるお酒を「クラシック」。
でも、なかには冷やしても温めても美味しい、その真ん中にあるお酒というものがあるのでそれを「ニュートラル」という風に表現しています。
 
なるほど!確かに言われてみれば、辛口・甘口の度合いって人によって違いますよね!
それに今は昔より同じ辛口でもいろいろな味わいのお酒が増えてきて、ひとえに二つの表現だけでは追いつかないかも。
勉強になります。
 
――重成さんが思う新潟のお酒の魅力や伝えたいことなど教えてください。
 
重成さん:新潟のお酒の魅力は「新潟淡麗」一括りにできない味わいの多様性と、農業と人と地域が一体となった酒造りで、地に根差した循環する環境の中から生まれる産物であり、全国でも突出していると思います。
 

――では、新しく立ち上げためだかの販売について、なにかきっかけがあったのでしょうか?
 
重成さん:コロナ禍で売上が半減し、先が見えないとき、趣味ともいえぬレベルでやっていたのがメダカの飼育でした。
年齢も50も半ばなので人生の後半戦でやりたいことやってみたいなあと。
半ば本気で投資し、設備を整えたところでコロナが収束。本業が再興して、趣味に手が回らなくなっていて、1000尾以上いると思われるのですが販売は未だ中途半端で、実はもやもやしているんです(笑)
 
めだかの販売はまだまだこれからのお楽しみ♪というわけですね。
販売していためだかのアクアリウムは、とっても可愛くてお手頃価格でしたよ。
夏休みの自由研究で観察しても良さそう!!
 
 
――これからの展望などありましたら教えてください。
 
重成さん:これからは地方の時代。地方の魅力を掲げ、酒蔵を中心に、農林業・自然環境保護・伝統文化継承・観光業など、その町の魅力全体を売込む時代にしてゆきたいです。
 
新潟の大切な農、人、環境、そして伝統文化を継承しつつ、私たちが思い込んでいた「日本酒」というカテゴリーの枠を越えてチャレンジし続けている重成さん。
コロナ禍を通じ、今はまた初心に返りマーケットを見直し、20代の頃のようにがむしゃらに走っているといいます。
 
それにしても、インタビューの時もそうでしたが、多彩な知識に裏打ちされたお話は決して難しくないんです。
例え少しアクセスが悪くても、人が都屋に集うのはきっと重成さんのお話が聞きたいからなのではないでしょうか?
ですので、お酒に詳しくない、馴染みがないという方こそ都屋さんに飛び込むことをおすすめします!!

実際にまみあなで飲んでみた

まみあなについてお話を聞く前に、プライベートで飲みに行ってしまったので(笑)その時の様子を少し。
この日は、東区、西区、中央区から電車やバスを乗り継いで、皆さま集まりました。
 
まずは日本酒ではなくシュワシュワで乾杯。
ノンアルコールのドリンクメニューもありますので運転手さんもご安心です。

お料理……どれも美味しそうで迷いましたが、まずは酒菜三点盛と枝豆(頼まずにはいられない新潟県民)
 
酒屋さんなのでお酒のラインナップが豊富なのは分かるのですが(でも、凄いです)驚くべきはお料理のレベルの高さ!
もしかしたら「角打ち」にあるような「おつまみ」的なメニューを想像している方も多いかもしれません(私も最初はそうでした)
でも、実際に目で見て口に入れた瞬間、びっくり!!
これ……
住宅街の酒屋さんにある料理じゃない!!
高級割烹がひしめき合う古町にあるようなお店の味じゃん!!
ぶっちゃけ「これがここにあっていいのか?」と、ドキドキするくらい。
お店のこだわりというか、本気度というか、気合というかがひしひしと伝わってきて、いきなり打ちのめされた感。
これはいろいろ頼みたくなってしまいました♪
ズワイ蟹……美しい❤
 
そして新潟といえば!!
かきのもと。
食用菊です。
県外の方はあまり馴染みがないようですが、新潟ではよく食べられているんですよ!
 
なす王国新潟の、なすの田楽❤
かきのもとやなすは、子供の頃はあまり好きじゃなかったんだけど、こうして大人になって、特にお酒を飲むようになってからは好きになったんですよね。
 
お酒も、季節のものを中心に頂いたのですが、なすの田楽と一緒に飲んだ村祐が私の好みにドンピシャ(死語)
めちゃくちゃ美味しい!!!
お酒は50mlから注文できるので、お料理との組み合わせをいろいろ試すことができます。
だからその分だけ、新しい発見に出会えるような気がしました。

お酒は好きだけど、飲む量として下戸な私にはなお嬉しいサービスだし!!
おすすめの海老しんじょうは間違いなかったし、新潟はきのこ類も美味しくて、舞茸の天ぷらって私的に神だと思う(笑)
〆の、布海苔そばと一緒に食べれば最強(だよね)
つるんっと喉ごしのよい布海苔そばも新潟名物ですので、新潟にお越しの際はぜひともご賞味を!
こちらの布海苔そばもとっても美味しくて、店内でも販売していたので帰りに購入。

美味しいお酒と美味しいお料理。
楽しい友人たちとその感動を共有し、幸せを感じる時間を過ごすことができました。

まみあなについてお話を聞いてみた

では、幸せいっぱいだったまみあなについて、恵さんにお話をお伺いしましょう。
――まずはお店のコンセプトについて教えて下さい。
 
恵さん:「女性が一人でも日本酒を楽しめるお店」です。
もっと日本酒人口を幅広く増やして、日本酒を気軽なものにしたいと思っています。
 
――店内外ととても素敵な造りになっていますが、こちらはどちらのご意見で?
 
恵さん:建物や内装についてはほぼ私に任せてもらいました。施工は自邸でお世話になった工務店さんにお願いしたので、古材を取り入れたり壁にこだわったり……とにかくきめ細やかに思い描いていた通りに対応して頂きました。
うんうん。木の温もりがあってすごく居心地が良かったです。ただ座っているだけで癒されたし、女性一人でも全然過ごせます。
 
――オープンまでに大変だったことはありましたか?プレッシャーなどはなかったですか?
 
恵さん:飲食の経験者が誰も居なかったことです。都屋の業務を他のスタッフに任せてまみあなにつきっきりになったので、精神的にもハードでした。
 
――オープンから数か月。実際に営業してみての、率直な感想を教えてください。
 
恵さん:当初は、お店の立地もあり、ご近所さんがメインのお客様になるのかな?と思っていましたが、意外にもバスを乗り継いで遠方からでも来て下さるような……お店めがけて楽しみに来てくれる方が多くて嬉しく思っています。
温めたお酒の美味しさや、お料理との組み合わせなど、新たな発見をしたお客様の驚いた顔を見ると「やった!!」と思います。
 
(はい。私…まさにそれにハマった一人ですね)
 
――お酒もお料理もすごく美味しくてかなりのこだわりを感じたのですが……?!
 
恵さん:料理人は社長とご縁があり、昔からお世話になっている腕の良い職人さんです。彼の料理は派手さはなく決して前に出てこないのですが、日本酒がとても引き立つので信頼しています。
ホールのスタッフも日本酒を勉強したい子が集まっているので、少しずつ店を任されるようになった今後がとても楽しみです。
 
――では、今、おすすめしたいお酒や一緒に楽しみたいフードやペアリングがあれば教えてください。
 
恵さん:温かい焼き物や出し汁の引き立つお料理にはお燗酒をおすすめしています。体にも優しく滋味深いのです。
グラスで提供しているモダンタイプのお酒は、香りも良く心地よく喉を通るので最初の一杯にいかがでしょうか?
また、2種類以上のお酒を飲み比べると、自分の好みがよく分かりますので試してみて欲しいです。

一瞬の一本に出会える場所

お酒って、その時一緒に食べたものや体調…気温や天気、また一人で飲むのか大勢で飲むのかでも味が変わると思いませんか?
同じお酒でも「その一瞬の一本」っていうのがあると思うんですよね。
まみあなさんは、その一瞬の日本酒に出会える場所。
今まで苦手と思っていた味が好きになったり、知らなかった自分の好みを発見したり、お席が近かった人と仲良くなって新しいお酒友達ができたり……。
 
ここで過ごした時間はあっという間でした。
だから何度でも、少々苦労をしてでもまた来たくなる、そんなお店。
今度は恵さんと日本酒好き女子同士、ママ&主婦トークなんかもしながら、カウンター越しでじっくりお話しをしながら飲んでみたいな♡

地酒の都屋/酒と食まわり「まみあな」

〒950-0952 新潟県新潟市中央区親松2番地3
電話番号:025-288-5210
営業時間:都屋  9時から19時(日祝10時から17時) 
     まみあな 平日13時から19時(L.O18時30)
     土日祝日12時から19時(L.O18時30)
定休日:都屋 無休(1月1~3日、8月17日18日除く)
    まみあな 水曜日(他不定休 インスタにてご確認ください)
席数:14席
駐車場:6台(共通)

この記事を書いた人
おくちゃん

WEBライター/日本酒ナビゲーター/スイーツコンシェルジュ 新潟市南区出身。
美味しいもの大好き!
油ものとお腹周りがキツくなってきたアラフォー・2児の母。

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