大聖堂のステンドグラスの美しい「カトリック新潟教会」/新潟市


2021年12月22日 10034ビュー
新潟市中央区には「異人池」と呼ばれるエリアがあります。
その名の通り、むかしは池があった場所なのですが、戦後の開発で埋め立てられてしまい、今では名前だけが残りました。
異人池」はなくなってしまいましたが、その頃から改修を重ねながらも残っているのが「カトリック新潟教会」です。

 
当時の写真を見ると、教会のすぐそばに異人池があったことがわかります。
ある池のものがたり」によると、教会の神父さんが井戸を掘ったところ、水が勢いよく噴き出して池ができたのだそうです。

 
カトリック新潟教会」の聖堂はチューリッヒ出身のマックス・ヒンデルという建築家によって設計されたもので「ロマネスク様式」を取り入れた和洋折衷の木造建築として、昭和2年に建てられたのだそうです。

 
左右対称に塔が並び立つ「双塔型」もロマネスク建築のスタイルのひとつらしいです。
その間に立っているイエス・キリストの像も美しいですね。

 
中に入ってみると、色鮮やかなステンドグラスに囲まれた聖堂が目の前に広がります。
カトリック新潟教会」は数多くの美しいステンドグラスが見られることでも有名なんです。
このステンドグラスはフィレンツェ製で、新潟地震で沈下した聖堂を修復した平成8年に、フランシスコ会から寄贈されたものなのだそうです。

 
中でも新潟教区らしいステンドグラスが2枚あって、ひとつが「佐渡、百人塚の無名殉教者」。

 
もうひとつが「ルイス甘糟右衛門ら53名の殉教者」です。
こちらはなんだかクリスマスにぴったりな絵柄ですね。

 
ステンドグラスには、神のシンボルである光を色とりどりのガラスを通して聖堂に取り込み、神への思いや賛美を表すためのものなのだとか。
 
時間によってはステンドグラスの光が床や壁に映り、たしかに荘厳なものを感じます。

 
祭壇に向かって右側には小聖堂もあります。
こちらは昭和56年の教皇ヨハネ・パウロ二世の訪日を記念して建てられたものなのだそうです。

 
小聖堂にも大きめのステンドグラスがあるのでお見逃しなく。

 
テレビや映画で見ることのある、懺悔室も並んでいます。

 
クリスマスシーズンには、聖堂内にキリストの誕生をお祝いする飾り付けがされています。

 
祭壇に向かって右側には、キリスト誕生のシーンを再現した飾り付け。
人間だけじゃなく、羊たちにまで祝福されているあたり、やはりただ者じゃありません。

 
対する向かって左側にはクリスマスツリー
その下には3人の男たちが見えます。

 
この人たちはキリストが誕生した際に、拝みにやってきたといわれる東方の三賢者。
 
これらの飾り付けはクリスマスシーズンだけにしか見られないので、お見逃しなく。

 
祭壇から入口の方を振り返ると、丸い大きな「薔薇窓」と、2階が見えます。
2階の左側にはパイプオルガンがあるのですが、日本国内で現在も使用されている最古のもののひとつで、昭和4年に設置されたドイツ製のものなんです。

 
聖堂を出ると庭のような場所に「ルルドの洞窟」があります。
フランス南部にある小さな町ルルドに住んでいた少女の元に、ある日聖母マリアが現れて洞窟の泉を示したそうです。
この泉の水で不治の病で苦しむ多くの人が癒されたのだとか。
その伝説をもとに、昭和29年に作られたものなのだそうです。

 

カトリック新潟教会

住所/新潟市中央区東大畑通一番町656
tel/025-222-5024
一般見学/9:00-18:00
※ミサが捧げられている間は建物の見学をご遠慮ください
(ミサの詳しい時間等は下記リンクより)
駐車場/あり

カトリック新潟教会」を後にして少し歩くと、「地獄極楽小路」という、とんでもない名前の小路があります。

 
道を挟んで高級料亭の「行形亭(いきなりや)」と「新潟刑務所」が向かい合っていたことから、地獄と極楽を分ける小路としてこの名がついたようです。

 
新潟刑務所」は移転し、現在は「西大畑公園」になって、やすらぎを求める人たちで賑わっています。

 
でも当時のレンガ塀は残っていて、通用門もレプリカで再現されているんです。

 

西大畑公園

新潟市中央区西大畑町5191
tel.025-226-2565
駐車場/なし

また異人池には「どっぺり坂」という坂もあります。
この坂の上には旧制新潟高校があって、この坂を降りて古町へ遊びにばかり行っていると落第してしまうことから、「ダブる」という意味のドイツ語「ドッペルン」がなまって「どっぺり坂」になったということです。

 
ちなみに、この階段の段数は及第点の60点に1点足りない59段なのも、なかなか洒落がきいていますね。

 

どっぺり坂

新潟市中央区西大畑町5220-18

地獄極楽小路」にしても「どっぺり坂」にしても、天国と地獄は紙一重ということかもしれません。

 
来年がみなさまにとって素晴らしい年になりますように。
カトリック新潟教会」で神様に祈りを捧げてきました。

 
この記事を書いた人
田中新之助(たなかしんのすけ)

新潟を愛する万年新米ライターです。持ち前の粘り強さで味わい深い記事を書いていきたいと思ってます。とくに観光ガイドには載っていないような、新潟の珍スポットや変スポットに力を入れて紹介していきたいです。