金山のほかにも訪ねたい伝統文化パワースポット!「度津神社」「梨の木地蔵」/佐渡市


2024年11月24日 573ビュー
世界文化遺産登録でにぎわっている佐渡ですが、金山関連以外にもすばらしい場所はたくさんあります!
ぜひこの機会に他の場所にも行っていただきたいと、今回は佐渡最古の砂金山、西三川砂金山の近くにある神社などを巡ってみました。

清涼な雰囲気に包まれた佐渡一ノ宮

佐渡一ノ宮である 「度津(わたつ)神社」は砂金とり体験のできる「佐渡西三川ゴールドパーク」から11キロほどの場所にあります。

バス路線もあるのですがバス停「一の宮前」の定期運行がなくなり、バス停「一の宮入口」から神社までは徒歩20分ほどと、散歩好きなら楽しめるぐらいの距離なので車移動の方がアクセスは便利かもしれません。
県道81号線が羽茂川を越えると、大きな鳥居が一の鳥居、二の鳥居と二つ待ち構えています。
山のふもとに建てられた社殿はたくさんの樹木に囲まれ清涼な雰囲気があります。
拝殿の前に小川が流れていたり格式の高い神社らしさを感じますね~。
有り難いなあと、自然に頭を下げたくなる気分になります。

「一ノ宮(いちのみや)」とはその地域で最も格式が高いとされた神社のことで、新潟県内には弥彦村の彌彦神社と上越市の居多神社、糸魚川市の天津神社などのほか、この度津神社があります。

度津神社は927年の「延喜式神名帳」に記載された歴史ある神社です。
ですが1470年の羽茂川の洪水により「社地・古文書等ことごとく流失した為その由緒縁起などつまびらかでありません」とご由緒看板にあり、過去の詳細は不明です。きっと1100年前よりもっと前からあった神社なのでしょうね。
神社の前の羽茂川はごく普通の川に見えました。
越後の歴史は「水害と治水の歴史」だなと博物館や大河津分水路などに行く度に思うのですが、「建物や書類もすべて流失するほどの洪水がここであった」という伝承こそが後世に伝えるべき由来なのかなと思いました。
主祭神は「五十猛命(いたけるのみこと)」とされ父神の「素戔嗚尊(すさのおのみこと)」の命により海を越え日本各地に木を植えて回った神様で「植林」や「航海」の神様とされるそうです。

個人的に興味深いと思ったのは、五十猛命は紀伊国一ノ宮(和歌山市)にも祀られている神様なんですが、越後国一ノ宮の彌彦神社の祭神「天香山命」も紀伊国熊野邑(新宮市)にご縁のある神様なんですよね~。
古代史の新潟と和歌山に何か関係があったのかな、と歴史ロマンにワクワクします!
境内にはかつて羽茂川の上流にあり五十猛命が腰かけ釣りをしたと伝わる「釣り岩」と、そのすぐ下の水中にあった「亀石」が県道の拡幅工事のため移設され置かれていました。
この大岩を工事で失われる前に川から運び出したとは、伝承を守るための情熱に心を打たれます!
社務所では御朱印の授与やお守りの販売をされています。
全国一ノ宮の御朱印を集めている方もいますし、「神様とご縁を結んだ証」に御朱印をいただくのもいいですね。
またお守りは各種ありますが、海を渡った航海の神様であるせいか交通安全のお守りが豊富です。
旅の安全祈願にぜひ欲しいお守りですね。
そしておみくじは佐渡らしい金色紙の運気上昇おみくじミニ小判付きのおみくじがあります。
実は御朱印やお守り、おみくじを扱う神社は佐渡にはあまり多くないので、そうしたものが好きな方にはおすすめの場所です!

佐渡は神社やお寺が多く、神主さんによれば「氏子さんが10人に満たない小さい神社も含めると、250以上の神社がある」とのことでした。お寺やお堂もたくさんありましたし、信心深い人が多い土地だったのだなと思いました。
度津神社

度津神社

住所:佐渡市羽茂飯岡550-4
電話:0259-88-2030
御朱印授与時間:9:00~17:00
駐車場:有

植物園付き温泉付き神社?

度津神社の敷地内といってもいい隣接した場所に「佐渡市立佐渡植物園」があります。
それもそのはずでこれは神社の敷地を提供されてできた植物園なのです。
佐渡市でも羽茂町でもない「羽茂村」だった頃の1948年に、地元の有志によって創設され、佐渡島の自生種の代表的な植物を植栽展示している植物園だそうです。
戦後間もない時代に村で植物園を作って青少年の学習に役立てようとした意気込みが熱いです!
明治神宮から分けていただいた花菖蒲園の見頃が6月下旬から7月上旬で、その頃はいろいろな花が咲いているのだろうと思いました。
もちろん花だけでなくその時々の新緑や紅葉を見ながら散策道を歩く楽しみもあります。
佐渡市立佐渡植物園

佐渡市立佐渡植物園

住所:佐渡市羽茂飯岡550番地6
電話:0259-52-2447(佐渡市教育委員会 社会教育課 佐渡学センター)
開館時間:8:30~17:00
休館日:年末年始(12月29日から1月3日まで)
※休園日・開館時間外でも屋外の植物を自由に見学することができます。
駐車場:有
入館料:無料

実は佐渡は各地に温泉がある温泉天国なのです。
度津神社の二の鳥居から150歩(独自調べ!)の場所にあるのが「クアテルメ佐渡」です。
アルカリ性単純温泉の源泉かけ流しでお湯が「ぬるんぬるん」なのです!
これはpH値が高くて肌の角質をとる「美肌の湯」の特徴みたいです。
15時からの営業ということで、歩き回った疲れを癒したり、冷えた体を温めたりするのにいいかもしれませんね!
今は土日に「アヒル風呂」や「ヒノキ玉風呂」もされているようです。
「クアテルメ佐渡」さんについてはこちらも参考にしてください。
羽茂温泉 クアテルメ佐渡

羽茂温泉 クアテルメ佐渡

住所:佐渡市羽茂飯岡170-1
電話:0259-88-3566
営業時間:15:00~21:00
定休日:毎週月曜日(祝日の場合は翌日休)
駐車場:20台
入館料:大人550円、小人300円

数えきれないほどの石地蔵がたたずむ峠のお堂

西三川ゴールドパークから17キロほど、真野から赤泊へ抜ける県道65号に梨ノ木峠と呼ばれてる峠があり、そこにあるのが「梨の木地蔵」です。
バス路線もあるのですが極めて少なく、車の方がアクセスが便利かもしれません。
ただし車では入り口に気付きにくいので通りすぎに注意です!
訪ねてみると地蔵堂は鳥と虫と風の音しかせず、静寂に包まれています。
この地蔵堂のご本尊は地元の漁師が海中から引き上げたという言い伝えがあり、はじめは海の近くに置かれていたものが、いつの頃からかこの峠の地蔵堂に置かれるようになったとのことでした。興味のある方は「寄り神信仰」で検索してみてください!
このご本尊は子どもの病気平癒を叶えてくれるという言い伝えがあり、その心願成就のお礼に収める小さな「身がわり地蔵」が所狭しと並べられています。
「何千何万ともいわれる石地蔵」とどの案内にも書かれていて正確な数は不明です。百体までを一面とすると同じ面積が百面以上はあったので(独自調べ!)万体以上は間違いなくありそうでしたよ~。
とにかく無造作に並べられた石地蔵が圧巻で、いろいろなお地蔵さまや石仏を旅先で見てきましたがこういう場所は唯一無二です!
昔は医学も発達していなかったため峠道を歩いて重たいお地蔵様を運ぶだけの価値があったのだろうなと思います。
その一つ一つに収めた人の願いが込められていると思うと、時間の流れと数の多さに感じ入るものがあります。

離れて見るとお地蔵様の一つ一つが点となって、まるで枯山水の川かイラストで見る天の川のようです。
ということは「荒海や 佐渡に横たふ 天の河」ではなく「地蔵堂 佐渡に埋もれる 天の河」
なんてどうですか芭蕉先生!判定は「才能あり」ですか「才能なし」ですか?
ちなみに石仏巡りのあるあるネタで知人や芸能人に似た「誰かのそっくりさん」の石仏や地蔵に巡り合うことが多々あります。
こちらに並べてあるものはほとんどが真野地区椿尾の石工が作ったもののようです。
佐渡は真野椿尾と羽茂小泊の石工が昔から有名で、どちらも西三川砂金山の近くにあります。金山の鉱石を砕く石臼などを作ってきた技術が活かされてきたのではないかな?と思いました。

ですが今はその職人さんも減り、地蔵堂のお世話をしている方のお話では「最後の職人さんも高齢でもう身代わり地蔵を作らなくなり、今は作り置きの在庫があるだけ」なのだそうです。伝統を守り続けていくということは難しいものだと感じました。
次は「椿尾の石工」を世界文化遺産に推薦するというのはどうでしょうか?
梨の木地蔵

梨の木地蔵

住所:佐渡市豊田1932
電話:0259-27-5000(佐渡観光交流機構 佐渡観光案内所)
駐車場:有

巡ってみて、小さなお地蔵様、神社の片隅に置かれた岩、村が作った植物園、見過ごしてしまいそうな派手さのないものにも長い歴史と込められた思いを感じました。
佐渡は佐渡金山だけではなく美味しい食べ物も絶景も温泉もたくさんありますが、神社やお寺もたくさんあります。世界文化遺産認定を機にぜひ他の場所も訪ねてみてください!

今回訪れた場所

この記事を書いた人
まきたろう

若い頃は自転車日本縦断や四国八十八ヶ所の歩き遍路など旅を住み家とし、新潟に戻っても漂泊の思いやまず仕事の傍ら県内外をさ迷っている人生まだまだ旅の途中の人。 昭和とか縄文とか古いものが好き♪五泉市在住。