良寛さんゆかりの地 分水を訪ねる/燕市
2024年12月27日
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「良寛さんゆかりの地 寺泊を訪ねる」からの続編です。
旅のスケジュールはこちらです。
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五合庵 → クレープショップ フランボワーズ → 燕市分水良寛史料館 → 道の駅SORAIRO国上
後半の分水編の始まりは、良寛が20年修行し暮らした五合庵(ごごうあん)です。ここから前回の和島の取材でもご一緒しました長岡観光コンベンション協会のお二人にも加わっていただきます。
国上寺(こくじょうじ)は越後最古の真言宗の名刹で、酒呑童子(しゅてんどうじ)や源義経・弁慶伝説も残っています。五合庵はこの寺の敷地の中にあります。
国上寺(こくじょうじ)は越後最古の真言宗の名刹で、酒呑童子(しゅてんどうじ)や源義経・弁慶伝説も残っています。五合庵はこの寺の敷地の中にあります。
五合庵
国上寺入口の大きな案内看板で五合庵の位置を確認して、さあスタート。
うっそうとした林の中、アップダウンの山道が続きます。
途中こんな坂道もありますが、整備や管理が行き届いており、心地よく歩くことができます。
おっ、五合庵の案内が見えました。矢印は右。
史跡 良寛修行之地「五合庵」に到着。
大木の根元に「五合庵」と刻まれた石柱がありました。
五合庵の解説。
五合庵は国上山(くがみやま)の山中に静かに佇んでいる簡素な草庵です。良寛は約20年をここで過ごしましたが、ここを拠点に多くの文人墨客と交流したそうです。現在の建物は大正時代に再建されたもので、県の文化財(史跡)に指定され「にいがた景勝百選」の一つにもなっています。
庵の裏のひょうたん池。
良寛の句碑もありました。「焚くほどは風がもてくる落ち葉かな」(私が庵で煮炊きするぐらいは風が運んでくれる落ち葉で十分です。私にとってここでの暮らしは物が乏しくても心は満ち足りています)
来た道と反対側に歩いてみると、何やら橋があるようです。
五合庵と朝日山(あさひやま)展望台を結ぶ千眼堂(せんがんどう)吊り橋です。ここも「にいがた景勝百選」の一つ。展望台からは大河津分水や新潟平野、遠くは越後三山を見渡すこともできます。五合庵を訪れた際には、是非この橋も渡ってみてください。
次はいよいよお待ちかねのスイーツです。
クレープショップ フランボワーズ
「クレープショップ フランボワーズ」。燕市分水大武にかわいらしいお店がありました。
お店の本田則夫(ほんだ・のりお)さんにお話をうかがいました。
分水にお店を構えて約40年。県内のクレープ専門店としては先駆け的な存在とのこと。口コミで広がり、その当時来てくれた子どもたちが親や次の世代になっても来てくれるそうです。お盆の帰省の際にわざわざ来店される方もおられるとのこと。世代を超えて老若男女に愛されているフランボワーズ、地元だけではなく県内外の常連さんも数多くいらっしゃるそうです。
分水にお店を構えて約40年。県内のクレープ専門店としては先駆け的な存在とのこと。口コミで広がり、その当時来てくれた子どもたちが親や次の世代になっても来てくれるそうです。お盆の帰省の際にわざわざ来店される方もおられるとのこと。世代を超えて老若男女に愛されているフランボワーズ、地元だけではなく県内外の常連さんも数多くいらっしゃるそうです。
店内にはイートインスペースもありますし、テイクアウトの場合は、電話で予約して来られる方が多いようです。ご家庭や職場へのお土産にと、まとめて注文されることも多いとか。
口コミだけではなく、ホームページやSNSなどの発信にも力を入れ、お店の評判は右肩上がり。店内には芸能人のサインも数多く飾られていました。「アイドルグループの聖地」とも呼ばれているそうで、全国はもとより海外からも多くのファンが訪れているそうです。
※取材のため、特別な許可をいただき店内の撮影を行いました。
※取材のため、特別な許可をいただき店内の撮影を行いました。
メニューを見ると、いずれも美味しそうで、どれにしようか迷ってしまいます。定番のほか季節の果物を使った時期限定のクレープなど、その数なんと180種類!4人悩んだ末、それぞれ違うものを頼みました。
いちじくのフロマージュ(770円)。じっくり煮込んだ自家製イチジクのコンポートにフロマージュ(クリームチーズ)を加えたクレープ。
りんごのお花クレープ(770円)。青森の農園から取り寄せたリンゴを使用し、パイ生地でできた花を飾ったクレープ。
和梨のコンポートクレープ(660円)。自家製和梨のコンポートを生クリームで包み込んだクレープ。
ピーカンナッツとクリームチーズの塩キャラメルがけ(715円)。脂肪分の多いピーカンナッツをトッピングしたクリームチーズに、塩で甘さが引き立つキャラメルをかけたクレープ。
全員集合。見た目も味もとても素敵です。フルーツの扱いが素晴らしいですね。様々なテクニックを駆使されているとのことですが、素人目にも丁寧に加工されていることがわかります。このお店の果物に対する愛情が感じられます。そしてクリームはくどくなく、泡立て具合がとても滑らかです。それらを包むクレープ、生地はもちもちです。果物、クリームや生地の材料などすべての素材と扱いにお店のこれまでのこだわりが感じられるとともに、これまでのご苦労が感じられます。
店内はとても華やかですね。ディスプレイは本田さんが担当し、女性スタッフが飾りつけをするそうですが、若いスタッフのアイディアが参考になるとのことでした。
ごちそうさまでした。
ごちそうさまでした。
クレープショップ フランボワーズ
住所:燕市分水大武2-1-11
TEL/FAX:0256-97-3156
フランボワーズさんから車を少し走らせると、踏切の手前に「燕市分水良寛史料館(つばめしぶんすいりょうかんしりょうかん)」があります。
燕市分水良寛史料館
分水は良寛の「定住の地」と言われていますが、昭和55年(1980年)に「分水町歴史民俗資料館」として開館したこの史料館には、長年暮らした五合庵、乙子神社草庵時代の遺墨や遺品をはじめ、様々な関連資料が展示されています。春・秋の特別展では、晩年親交の厚かった解良家や阿部家に伝わる名品が展示されているほか、良寛遺愛の飾り鞠も飾られています。
庭園は良寛歌碑や多くの良寛像を手掛けた茂木弘次(もぎ・ひろつぐ)氏作の良寛像も建てられています。
本日、案内していただく館長の松井淳(まつい・あつし)さんです。
JAペーパークラフトコンクール特選に輝いた「良寛さまと子どもたち」
史料館のロビーには良寛ゆかりの地のパネル写真が解説が添えられ展示されていました。時系列に並べられているので、良寛の一生がよくわかります。
国上山周辺を3000分の1のスケールにした模型展示。1984年4月製作とあります。良寛は国上山の五合庵に20年ほど、乙子神社草庵に10年ほど暮らしましたが、この間、良寛は庇護者であり、国上寺と深いつながりがあった解良家や阿部家を頻繁に訪れていました。松井さんから当時の行き来の道のりを模型で教えてもらい、改めて当時の苦労に思いを馳せました。
この日はちょうど、史料館の所蔵品以外のものも展示されている、秋の特別展「良寛墨宝展」。書物でしか見ることができないような貴重な品も数多く展示されていました。春秋の特別展には重要文化財の遺墨等が公開されるそうですが、通常の展示は異なりますので、ご留意願います。
入口の展示ケースには良寛が手本とした複製の本が飾られていました。良寛は、漢詩については狂草体とも言われる中国唐代の書家・僧であった懐素(かいそ)の「自叙帖(じじょじょう)」をお手本にし、和歌は小野道風(おののとうふう)が書いたと伝えられている秋萩帖(あきはぎじょう)をお手本にして練習したそうです。
入口の展示ケースには良寛が手本とした複製の本が飾られていました。良寛は、漢詩については狂草体とも言われる中国唐代の書家・僧であった懐素(かいそ)の「自叙帖(じじょじょう)」をお手本にし、和歌は小野道風(おののとうふう)が書いたと伝えられている秋萩帖(あきはぎじょう)をお手本にして練習したそうです。
良寛にまつわる年表と系図。年表は堂々たる筆字です。
個別の作品の写真は都合により掲載できませんが、館内は「良寛の遺墨」、「良寛の親族の遺墨」、「良寛の師の遺墨」、貞心尼などの「良寛の法弟の遺墨」、「良寛敬慕者の作品」、「その他(手毬や碁盤など)」といった形で、系統立てられた観覧しやすい展示になっています。
個別の作品の写真は都合により掲載できませんが、館内は「良寛の遺墨」、「良寛の親族の遺墨」、「良寛の師の遺墨」、貞心尼などの「良寛の法弟の遺墨」、「良寛敬慕者の作品」、「その他(手毬や碁盤など)」といった形で、系統立てられた観覧しやすい展示になっています。
しかし、良寛の親族はみな達筆!一族みな教養人揃いだったそうです。
仮名の作品も解説していただきました。初期の頃の秋萩帖を模したかのような作品と、後年秋萩帖を超越した作品を比較することで、良寛の仮名も変化を遂げていったことがわかりました。
仮名の作品も解説していただきました。初期の頃の秋萩帖を模したかのような作品と、後年秋萩帖を超越した作品を比較することで、良寛の仮名も変化を遂げていったことがわかりました。
特別展で展示されていた「頭髪蓬々」で始まる一幅は、昭和44年(1969年)、ヨーロッパ各国で開かれた「日本古美術展」に出陳された、いわば海外展出品の第一号だそうですが、日本の文字がわからないはずのヨーロッパの方々に大きな感動を与えたとのことです。絵画として見たのでしょうね。実物を改めて見て、墨色や文字の大小・強弱が変化しつつまとまっていくような印象を受けました。良寛の普遍性を感じる作品と言えるのではないでしょうか。
そうそう、かの有名な鍋蓋の「心月輪」もありました。「しんげつりん」ではなく、「しんがちりん。こころがちりんのごとし」と読むのだそうです。真言密教の「月輪観(がちりんかん)」によるとのこと。
「良寛打毬の図」は三森九木(みつもり・きゅうぼく)の画に、良寛が毬の詩を賛したものですが、今までの良寛のイメージとは違う感じの良寛が描かれていました。これは、昭和59年(1984年)春に新発見の作品として大きな話題となったそうです。もしかするとこっちの良寛が本物に近い?
そうそう、かの有名な鍋蓋の「心月輪」もありました。「しんげつりん」ではなく、「しんがちりん。こころがちりんのごとし」と読むのだそうです。真言密教の「月輪観(がちりんかん)」によるとのこと。
「良寛打毬の図」は三森九木(みつもり・きゅうぼく)の画に、良寛が毬の詩を賛したものですが、今までの良寛のイメージとは違う感じの良寛が描かれていました。これは、昭和59年(1984年)春に新発見の作品として大きな話題となったそうです。もしかするとこっちの良寛が本物に近い?
館内には土器や茶釜、「竹山日記」といった文化財なども展示されています。分水の歴史を学ぶことができますね。
松井さん、ご案内いただきどうもありがとうございました。
松井さん、ご案内いただきどうもありがとうございました。
燕市分水良寛史料館
住所:燕市上諏訪9-9
電話:0256-97-2428
開館:9:00~16:30
休館:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
*なお、事前予約があれば、松井館長に館内をご案内いただくことができるそうです。(15分程度)
道の駅SORAIRO国上
最後に、2022年のリニューアルオープン後、一層の賑わいをみせているという道の駅を訪ねました。
道の駅SORAIRO国上(みちのえき そらいろ くがみ)。
トレッキングやサイクリングの拠点として、またバーベキューやデイキャンプといったアウトドアや、癒しのスポットとして温泉施設を備えた新しいタイプの道の駅だそうです。
トレッキングやサイクリングの拠点として、またバーベキューやデイキャンプといったアウトドアや、癒しのスポットとして温泉施設を備えた新しいタイプの道の駅だそうです。
建物の中に入ってみました。店内には近隣の農家の皆さんが丹精込めて作った野菜や果物、また地元の特産品などが販売されていました。レイアウトやディスプレイも工夫されており、ポップで楽しいですね。
道の駅SORAIRO国上限定のワンカップなど魅力的なお土産が盛りだくさん。奥にはイートインスペースもあります。
おっ、アウトドアコーナー発見。燕市を代表するアウトドアブランドが揃っているそうですよ。
お楽しみのランチタイム。食堂入口にメニューがありましたが、蕎麦・うどん、燕背脂ラーメンにキャンプ飯、給食メニューなど盛りだくさんで選ぶのに困りました。
若手男子は、三元豚肉中華(1,210円)。ただでさえ食欲をそそる燕背脂ラーメンに、うまそうなチャーシューがこれでもかとばかり光り輝いています。
スタミナ満点。彼の午後の仕事にも期待を持たせます。
スタミナ満点。彼の午後の仕事にも期待を持たせます。
長岡コンベンション協会の女子二名は、かき揚げ・手延べうどん(600円)と王道中華(900円)を注文しました。
手延べうどんは冷やしぶっかけです。のど越しもよく、かき揚げも食べ応えのある大きさですね。
王道中華、迷ったらこれ、「王道」を冠しているだけあって燕背脂ラーメンのお手本とも言える一品です。加えてこの日は煮卵サービス。ありがたいですね。
手延べうどんは冷やしぶっかけです。のど越しもよく、かき揚げも食べ応えのある大きさですね。
王道中華、迷ったらこれ、「王道」を冠しているだけあって燕背脂ラーメンのお手本とも言える一品です。加えてこの日は煮卵サービス。ありがたいですね。
私はキャンプ飯の中からスパイシーカレーチキングリル飯(900円)を選びました。器も地元企業の製品を使っています。チキンにスパイスがよく染み込んでいますし、ご飯も地元の「飛燕舞(ひえんまい)」とのことで、カレー好きな私にはたまらない美味しさです。ごちそうさまでした。
このほかにも燕市内の小学校で大人気の給食メニューや、地元米のおにぎりもありますので、是非お試しあれ。
このほかにも燕市内の小学校で大人気の給食メニューや、地元米のおにぎりもありますので、是非お試しあれ。
建物の外に出てみました。「酒呑童子の湯」、天然温泉の足湯なんだそうです。酒呑童子は日本三大妖怪、最強の鬼とも言われ、燕市に生まれたとの伝説が残っているそうです。このエリアは緑の芝生に囲まれたテラススペースで、足湯のほかにいろいろな軽食を楽しむことができます。
デイキャンプ場。自然に囲まれたエリアで気軽に快適なデイキャンプや手ぶらでバーベキューを楽しむことができます。
山の上には「てまりの湯」があります。トレッキングやサイクリング、バーベキューなどの後、ひとっ風呂なんてたまらないですね。
リニューアル以来、「自然と遊ぶ、道の駅。」をコンセプトに、今までの道の駅にはない自由な発想により、ここを訪れること自体が「旅の目的になる」道の駅を目指している「SORAIRO国上」。皆さんも是非お越しください。
山の上には「てまりの湯」があります。トレッキングやサイクリング、バーベキューなどの後、ひとっ風呂なんてたまらないですね。
リニューアル以来、「自然と遊ぶ、道の駅。」をコンセプトに、今までの道の駅にはない自由な発想により、ここを訪れること自体が「旅の目的になる」道の駅を目指している「SORAIRO国上」。皆さんも是非お越しください。
道の駅SORAIRO国上
住所:燕市国上5866-1
電話:0256-98-0770
今回の旅はここまで。
旅の思い出に、恥ずかしながら自詠の歌・句を書いてみました。
「良寛と親族の書の並びをり連綿として才引き継がる」
旅の思い出に、恥ずかしながら自詠の歌・句を書いてみました。
「良寛と親族の書の並びをり連綿として才引き継がる」
「密蔵院銀杏紅葉に照らさるる」
(一社)長岡観光コンベンション協会のホームページ「長岡観光ナビ」でも良寛を詳しく紹介しています。是非ご覧ください!
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この記事を書いた人
地域で親しまれている隠れたスポットや住民ならではの贅沢な時間の過ごし方があります。
初めて訪れた方でもバスや電車でふらりと行けるプチ旅行や時間の過ごし方をレポートします。