築150年のお屋敷でいただく里山の幸 「欅苑」/南魚沼市


2020年10月15日 9700ビュー
日本海美食旅(ガストロノミー)プレミアムレストランでは、新潟県と山形県庄内の食文化の発信をテーマに、メニューやコースとして料理提供をしている飲食店を紹介しています。日本海美食旅(ガストロノミー)を通じて、その土地の風土や歴史を感じてください!


今回は、季節の田舎料理が楽しめる南魚沼市の欅苑(けやきえん)さんです。
のどかな田園風景が広がる南魚沼市長森。
欅苑は名峰・八海山の手前にそびえる小高い長森山の山すそにあります。
県道沿いの駐車場に車を停め、草木に挟まれた小径を奥に進むと、大きな茅葺き屋根のお屋敷が現れました。
 
店名の由来は、建物のすぐ裏手にある樹齢1500年以上といわれる大きなケヤキの木。
「地元では『大家の大ケヤキ』と呼ばれています」と教えてくれたのは店主の南雲直子さん。南雲家はかつてこの地域の庄屋で「大家」は屋号に由来するとのこと。
現在のお店としては30年ほど前の1986年から始めたそうです。

どこか懐かしい和の空間

玄関をくぐると広がる高い天井、そして囲炉裏がある板の間。太い梁や黒光りした柱、赤茶と黒枠の板戸など、まるでタイプスリップしたような雰囲気が漂う田舎屋造りの建物は150年ほど前の明治時代初期に建てられたもの。
大小の部屋があり、人数に応じて部屋を仕切ります。
そんなノスタルジックな和の空間でいただくのは、地元の野菜を中心とした田舎料理。
秋はキノコ類や菊、芋茎(ずいき)などが楽しめます。
「必要以上の魚介類は使いません」と語る南雲さん。
春の山菜料理もまた格別とのこと。
ざる一杯の立派なマイタケは、天然に近い形で栽培された地元の石坂きのこ組合のもの。
(これでもまだ小さいそうです)

会席スタイルでじっくりといただく里山の幸

「まずはお抹茶からお召し上がりいただきます」と南雲さん。
完全予約制の欅苑ではゆっくりとした時間が流れます。
欅苑で振る舞われる料理は全て手作り。
「田舎料理」と聞くと味がしっかりとしていて豪快なイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、欅苑の料理は素材の味を大切にしたあっさり上品な味付けが特長。
ミシュランプレートとしての掲載は伊達ではありません。
 
<前菜の一例>
※その日によって内容は変わります
キノコと卵豆腐のお吸い物
マイタケと霜降ヒラタケの2種類が入った汁物。蓋を開けた瞬間に広がる香りが食欲をそそります。
 
かきのもと(食用菊)のおひたし
鮮やかな赤紫色を残した菊は、ほのかな苦みとシャキシャキの歯応えにうっとり。
 
なめことホタテの山かけ
マグロの代わりにホタテを使用。とろりとした食感とホタテの甘みが一体に。
 
焼きシイタケの練りウニ和え
酒に浸したシイタケを焼き、ウニのうま味を加えることで、シイタケの豊かな風味がより濃厚に楽しめる一品。
 
前菜だけでもかなり満足のいく内容です。
前菜以外では、自家製のがんもどきや自然薯の海苔巻きなどはお客さんから好評を得ている定番料理。
魚沼では珍しい「のっぺ(のっぺい汁)」も登場します。(秋はキノコたっぷりの温かいのっぺとのこと)
また、囲炉裏で焼くイワナやアユはこの地ならではのごちそうです。
そして、お米はもちろん南魚沼産コシヒカリですが、なんと自家製!
(米作りもやっていらっしゃいます)


どの部屋もとても良い雰囲気ですが、一番の特等席は池が見える奥の間。
細工が施された障子戸や野の花木を生けた室礼はとても心が豊かになる空間。
素朴で上品な料理のイメージとぴったりです。
 
 
欅苑では別棟での宿泊利用もできます。
「温泉や大きな風呂はありませんが、おいしい朝ご飯をお出しします」と南雲さん。

素朴さの中に上品さが光る欅苑。
郷愁を誘うお屋敷でゆったりと、南魚沼の季節の恵みを楽しんでみませんか?
 
<料金プラン>
料理のみ(コース) 7,000円+税、5,000円+税
宿泊(1泊2食) 14,000円+税、12,000円+税
※完全予約制(前日まで) ※2名様以上
欅苑

欅苑

​新潟県南魚沼市長森24
TEL. 025-775-2419
営業時間/11:30~15:00(入店は13:00まで)、
     17:00~21:30(入店は19:30まで)
     ※完全予約制(前日まで) ※2名様以上
定休日/不定休
http://www.keyakien.com/

この記事を書いた人
ケバブー

長岡生まれ新潟育ち。 ​
郷土料理からラーメン、地酒やスイーツまで新潟の食を広く愛するフォトライター。

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