かまどで炊くご飯が主役。ご飯をおいしく食べるための料理たち「竃-kamado-」/新潟市


2021年12月24日 29036ビュー
突然ですが、「新潟のおいしいもの」と聞いて何を初めに連想しますか?
「お米」と答える方、結構多いのでは???
 
今回はご飯にこだわる料理店、新潟県庁の近くにある「(かまど)」さんをご紹介します。
 
某アニメの影響で、「竃」という字を読める人は、ここ数年で爆発的に増えているようです。
お話をお聞きしたのは、竃-kamado-の店主であり料理人の石田善一さん。
もしかして「ぜんいつ」さんですか・・・いえ、「ぜんいち」さんでした。おしい!(笑)

いきなりの余談でしたが・・・竃はその名の通り、かまどで炊くこだわりのご飯と炭火を使った料理を基本とするお店。
カウンター席の天板など、古民家の部材をふんだんに使った店内は、料理のイメージにぴったり。
大きな丸座布団が心地いいフローリングの座敷もあります。

主役はかまどで炊くご飯

竃の料理はご飯が中心にあり、肉や魚、野菜などは、ご飯をおいしく食べるためのものといっても過言ではありません。
 
それだけご飯に対する想いが強い石田さん。
竃で提供する米は、全て新潟市西蒲区岩室で育った特別栽培米のコシヒカリで、信頼のおける生産者に長年栽培を依頼しています。
おいしいお米はいろいろありますが、これは作り手の想いが感じられるお米なんです」と語る石田さん。「毎年どんどんおいしくなっていくんですよ!」と喜びを感じつつも、その価値を食べる人に届けるという責任感があるそう。
また、食べたお客さんの反応など、生産者へのフィードバックも欠かしません。
 
丹精込めて作ったお米を最高の状態で届けるための手段が「かまど炊き」です。
そして、米を炊く水にもこだわっています。
竃で使うのは、店主自らが汲みに行くという五泉市の名水。
大蔵山の麓に湧き出る「吉清水」です。足りなそうなときはランチとディナーの合間に汲みに行くこともあるというほど、水はご飯の味を左右する大切な存在。
さらに、米を炊くための薪も自ら集めに行くというのだから、頭が下がります。
どんなところでこの米が作られているのか、どんなところに湧いている水なのか、できるだけお客さんにお伝えしています」と石田さん。そうした食材にまつわるストーリーも食べ物をさらにおいしく感じる大切なスパイスになります。

炊き上がりまで目が離せない

炊飯の様子を見せていただきました。
米と水が入った羽釜をかまどに乗せ、ワラに火をつけて火種を作り、薪に火を移していきます。
炊飯時間は約20分。「7分で沸点まで持っていき、7分で弱くしていきます」と語る石田さん。羽釜の中の状態をイメージしながら、火吹き棒で空気を送ったり、こまめに薪を動かしたり足したりしながら、かまどに付きっきりで火力を調整していきます。
「夏はめちゃめちゃ暑いですよ!」と笑う石田さんですが、日々のこの時間は真剣勝負。
 
糖度が一番高い状態で止めるのが理想。そこまでは目が離せません。
最初の頃はおこげばかり作ってましたね」と石田さん。
おこげは羽釜ならではのお楽しみと思っていたのですが、そうではないらしく、おこげの手前の「おねば」(茶色い膜が貼る程度)が最高の状態とのこと。
釜と蓋のすき間から出る湯気の香りなどもチェックしながらいい頃合いを見極めます。
 
炊き終わったら、15分ほど蒸らして完成です。
店内には甘く香ばしい香りが漂います。
 
炊き立てのお米。
一粒一粒がしっかりと立っています。
炊きたてを一口いただきましたが、適度な硬さがあり、そして甘く香ばしい!
石田さんとしては100点満点ではないようですが、私的には200点です!!

ご飯に負けない料理の数々

竃では、料理はご飯をおいしく食べるための名脇役ではありますが、炭火を使って調理される肉や魚、野菜など、手間暇をかけた料理の数々は、ご飯に負けない主役級ばかり。
添加物は使わず、素材の味を活かしながら「家庭ではなかなかできないものをお出しする」というのが竃のモットー。
今回は県産素材を使った夜のおすすめメニューをご紹介いただきました。
(竃はランチ営業もやっています)
地鶏の炭火焼き御膳(南蛮醤油糀漬け焼き)1,650円(税込)
 
皮はパリッと、中はジューシーな地鶏は炭火焼ならではの食感。上質な鶏肉のうま味を醤油こうじでさらに引き出しています。
かぐらなんばんの辛みが絶妙で、ご飯が進むことまちがいなし!
この日はかきのもと(食用菊)のからし醤油和えや、大学芋などが添えられていました
昆布とカツオでだしを取ったみそ汁はきのこがたっぷりの具だくさん。
これは・・・ご飯のお代わり必至です。
(夜は大盛り・おかわりはプラス200円)
 
地鶏の炭火焼き御膳」は醤油糀漬け焼き以外に、塩糀漬け焼き(1,550円/税込)もあります。
御膳は他にも「手ごねハンバーグ炭火焼」や脂ののった「キングサーモンの味噌漬け焼き」「お刺身盛り」などがあり、これらも人気。
う~ん・・・どれにしようか迷ってしまいそうですね。
 
しかも、ハンバーグは「炙りにんにく醤油のタレ」(1,450円/税込)や「梅醤油のタレ」(1,500円/税込)など、味が4種類もあるというのだから・・・悩ましい!
 
ちなみに、地鶏や手ごねハンバーグなど御膳のメイン料理はいずれも単品メニューとしても提供しています。
 
牛肉のメニューもあります。
竃では雪室熟成牛の炭火焼きを提供しています。
牛タンの塩糀漬け焼き(1,150円/税込)
やわらかく、かみしめるほどに口中に甘さが広がる牛タン炭火焼き。
雪国の生活の知恵であった「雪室(ゆきむろ)」によって肉質がやわらかく、うま味が増した熟成牛をさらに塩糀に漬けることにより、至福の味わいに…。

もちろん旬の魚料理も

ヤナギガレイの一夜干し(時価)

ヤナギガレイ(ヤナギムシガレイ)は、カレイの中でも特に美味といわれています。
にいがたフード・ブランド」の一つですね。
炭火でふっくらと焼き上げた白身、ちょうどいい塩加減。
塩焼きにせず一夜干しにしているせいか、ヤナギガレイ本来の上品な味わいが堪能できます。
これはご飯もいいですが、地酒も合いますね!
 
地酒もいろいろなものがそろっています。
写真の他にも、県内の有名どころなども押さえています。

地酒に合いそうなおすすめをもう一品。
甘海老の沖漬(650円/税込)
 
新潟では「南蛮エビ」ともいわれている、こちらもにいがたフード・ブランドの一つ。
大きくて立派な甘エビです。エビの濃厚な甘さとコクのある醤油味が相まって、お酒が進むこと間違いなし!です。
 
他にも、シャモだしと糀の「だし巻き玉子」、「地物野菜のせいろ蒸し」、手作りの塩辛や漬物などこだわりのメニューがまだまだあります。
 
取材の冒頭に石田さんがおっしゃっていた言葉「おいしい物は人を笑顔にするんですよ」ーーーそんなシンプルな目的が出発点。
米・水にこだわり、かまどで炊く自慢のご飯と、そのご飯をおいしくいただくための炭火焼き料理。
米も料理も妥協せず、お互いのうまさを高め合う、食の相乗効果を堪能できるお店でした。
竃-kamado-

竃-kamado-

住所/新潟県新潟市中央区出来島2-7-18
TEL/025-278-3777
営業時間/ランチ 11:00~14:00(L.O.13:30)
     ディナー17:30~22:00(L.O.21:00)
定休日/月曜、第3日曜

この記事を書いた人
ケバブー

長岡生まれ新潟育ち。 ​
郷土料理からラーメン、地酒やスイーツまで新潟の食を広く愛するフォトライター。