とうもろこしやさつまいも収穫も!泊まれる学校「だいすきさんが旧三箇小学校」/津南町


2021年06月17日 817ビュー
旅行を計画するとき、真っ先に考えるのは「どこに泊まるか」。

旅館にする?ホテルにする? 最近は特色のあるゲストハウスや農家民宿なども人気ですよね。 そんな泊まる場所の選択肢の一つに「小学校」を加えてみませんか。 ご紹介するのは津南町にある「だいすきさんが旧三箇小学校」。

2010年に閉校した三箇小学校は、2020年に簡易宿所として新たなスタートを切りました。

「小学校に泊まるってどんな感じ?」
「どんな体験ができるの?」
「なぜ小学校が簡易宿所に?」

そんな疑問にお答えします。

懐かしさに心が躍る、ワクワクする校舎

こちらが「だいすきさんが旧三箇小学校」

「え?これが小学校?」 と驚いた方も多いのではないでしょうか。

存在感のあるこの校舎は、毎年2、3メートルの雪が積もる豪雪地・津南町ならでは。 大きな屋根は積もった雪が自然に落ちてくるように作られています。
玄関を入ると、長い廊下が。 このツルツルの床、歩くとキュキュッと鳴る音、懐かしいですよね。

宿泊できるのは学校の1階部分。
順番に紹介していきますね。
こちらが宿泊室。 畳敷きの広いお部屋です。 真ん中にあるパーテーションで2つの部屋に分けることもでき、最大で22名が宿泊可能。基本的には5名〜予約可能となっているので、家族連れやグループでの利用がおすすめ。少人数での利用は要相談となっています。

布団は自分で敷くスタイル。なんだか宿泊学習を思い出しますね。

小学校なので窓も大きくて開放的。窓の外に見える木の板は「雪囲い」。降り積もる雪から窓を守ってくれるものです。冬はこの窓が埋もれてしまうほど雪が積もるということでもあります。5〜11月はこちらの雪囲いは外されているので、開放的です。
さらに廊下を進むと、こんなものが!
これ、なつかしいですよね。 調理の先生とこの窓からよくおしゃべりしたな〜と思い出します。
その内部がこちら。 さすがに小学校だけあって、広くて設備も十分。
宿泊の際はこちらで自炊も可能なので、食材を買ってきてみんなで調理するのも楽しそう。 調理実習みたいですね。
作った食事はこちらのスペースで食べることができます。 食堂やミーティング室としてなど、自由に使用可能です。 こちらは元々職員室だったようです。
廊下の奥にはトイレがあります。 「懐かしい小学校のトイレ」という見た目ですが、交流のために改修しウォシュレット付き洋式トイレも設置されています。
お風呂はないですが、シャワー室を完備。男女別で各2ユニットあります。
こちらも改修したばかりでとてもきれいでした。
洗面スペースも広く洗濯機も置いてあるので、長期滞在でも使いやすそうですね。

地域と出会う体験プログラム

施設内も懐かしさいっぱいでワクワクしますが、「だいすきさんが旧三箇小学校」の魅力はそれだけではありません。  
旧三箇小学校の校区だった、三箇地区住民が案内するさまざまな体験メニューがあるのです。 いくつかおすすめの体験メニューを紹介します。


■津南の夏の定番!甘いとうもろこし収穫体験(7月〜8月頃)
津南町のとうもろこしと言えば、近隣市町村からもわざわざ買いにくる人がいるくらいの人気。三箇地区内でとうもろこしを作っている農家さんの畑で収穫体験ができます。
体験ができるのは7月〜9月はじめまで。
現在の畑はこんな感じ。ちょうど間引き作業をしているところにお邪魔しました。

体験をさせてくれるのは、だいすきさんが旧三箇小学校の運営を担う三箇地区都会との交流を進める会の事務局長でもある恩田輝次さん。

 
とうもろこしは朝が一番水分量が多く、みずみずしいんだとか。
体験では、採れたてのとうもろこしを味わうことができますよ。


■まるで宝探し!ジャガイモ掘り(7月頃)・さつまいも掘り(10月頃)
(三箇地区都会との交流を進める会提供)

育てやすいジャガイモやさつまいもは小学生の頃に学校で育てた思い出がある方も多いのではないでしょうか?そんな子ども時代を思い出しながら、宝探しのように楽しみませんか?

ジャガイモは1つの株から数本出てきた芽を2,3本に減らす「芽かき」という作業をするのが一般的ですが、津南町では芽かきをせずに育てます。

その理由は「しょう煮いも」という郷土料理を作るため。一口サイズのイモを使うので、芽かきせず小さいイモをたくさん実らせるのだそうです。
小さいジャガイモをそのまま甘辛いタレで煮た料理は、お客さんにも大人気。体験の際はぜひレシピを聞いてみてくださいね。​


■雪国の仕事を体験!除雪ボランティア(1月〜3月頃)
(三箇地区都会との交流を進める会提供)

雪国ならではの体験といえば雪。 その中でもただの雪遊びやスキーではなく、雪国の暮らしの一部を体験できるのがこちらのプログラムです。

津南町では必須アイテムの「スノーダンプ」を使って、効率よく雪かきする方法を地域の人から教えてもらいます。 雪の上でも体を動かすと、汗が吹き出てくるほど。 除雪の後は、温泉に浸かっておいしいお酒をいただくのが雪国の醍醐味です。

来てくれる人も地域の一員として迎える

豊富な体験プログラムを用意している「だいすきさんが旧三箇小学校」
そもそも、なぜ小学校を泊まれる施設にしたのでしょうか。

運営を担う「三箇地区都会との交流を進める会」会長の恩田稔さんにお話を聞きました。 小学校が閉校した翌年に発足した同会は、それから約10年の間小学校を拠点に都会との交流事業を続けてきたそう。

 

「この先も地域を維持していくためには人手が必要だと考えていた頃、小学校が閉校になりました。ちょうどそのタイミングで知人から小学校を拠点に農村との交流学習をしたいと相談があったことをきっかけに交流事業を始めたんです。」
(三箇地区都会との交流を進める会提供)

はじめの交流では、なんと120名もの小学生がこの地域へ来ました。 このとき多くの地域住民に農業体験を手伝ってもらったそう。

「子どもの声が聞こえるのって、やっぱりいいね」
「孫のようで楽しかった。また来ないのかい?」

地域の方々からもそんな声が上がり、徐々に受け入れ体制が整っていったといいます。
(三箇地区都会との交流を進める会提供)

年々交流先が増えていくとともにネックになったのが、宿泊先の問題。 地域の方の家に民泊したり、町内の宿泊施設を使ったりしてきましたが、どちらにも課題がありました。

10年経てば地域の方も高齢になり、受け入れが難しくなりました。また、ご自宅に泊まるというのはお互いに気も遣います。 町内の宿泊施設までは距離もあり、できれば地域内で宿泊し体験できるのが理想。

そう考えたときに、この三箇小学校を泊まれるようにできないかと話が進んだのです。 しかし実際は宿泊施設にするためのハードルが高く、何度も諦めかけながらやっとの思いで2020年のはじめに簡易宿所としてオープンすることができました。
ところが今度は新型コロナウイルスにより、交流自体難しい状況に立たされます。 そんな中で恩田さんは小さくても、今できることを着々とされていました。

「今まで交流してきた約150人に三箇のお米を送ったんです。本当にちょっとずつなんですけど。それに対して、手紙をくれたり、メールやSNSで連絡をくれたりする子がいて。何かできることがあれば手伝いたいですって書いてくれる子もいて、うれしかったですね。今までやってきたことは間違っていなかったんだと思いました。コロナが終息したらぜひ遊びに来てほしい。久しぶりに三箇に来て、どんなことを感じるんだろうというのが楽しみですね。」
(三箇地区都会との交流を進める会提供)

連絡をもらってうれしかったと話す恩田さんを前に、10年前に行ったきりの三箇からお米が届いた皆さんのほうがきっとうれしかっただろうなと想像しました。

「例えば、もし都会が食糧難になったら三箇においでって言える。その子たちにとっても、そういう場所があるってことは決してマイナスではないと思うんです。」
(三箇地区都会との交流を進める会提供)

「地域にとっても、そうやって関わってくれる人たちがいることはありがたいこと。交流している人やボランティアも含めた地域づくりを考えていかないといけないと思っています。関係人口や交流人口を増やすことによって、定住までいかなくても移住や二拠点で生活できる地域にしていきたい。外から来る人が入りやすい風土を作っていきたいんです。」

都会から来る人に、地域が教える。
都会から来る人が、地域を助ける。

恩田さんの話からは一方向の関わりではなく、双方向の関わりを大事にしていることが伺えました。そして単に「お客様」として迎えているのではなく、「地域の一員」として迎えていることも。 だからこそ、遊びにきておしまいではなく、相手のことを思いつながりを大事にしているのだと感じました。

より地域と関わりたい方には移住体験ツアーがおすすめ

三箇地区都会との交流を進める会では定期的に移住体験ツアーも開催しています。

実は「だいすきさんが旧三箇小学校」には、同地区の地域おこし協力隊事務所も併設されていて、現在活動中のお二人もこの移住体験ツアーの参加者だったそう。
▲左:森瑞絵さん、右:川村章子さん

現在お二人は恩田さんと一緒に「だいすきさんが旧三箇小学校」の運営に協力。外からの視点を生かして活動しています。
そんなお二人に移住体験ツアーの感想を聞いてみました。
秋、冬、春と連続でツアーに参加した川村章子さん。初めてツアーに参加してから1年後の2019年11月に津南町へ移住しました。

「季節を感じる暮らしの体験ができて楽しかったです。地域の方のお宅でお茶のみをしながら、郷土料理の話をしたり、くるみ割りを体験したり、ここの暮らしを垣間見れたことが印象に残っています」
2020年6月に津南町に移住した森瑞絵(もりみずえ)さんは春の山菜採りツアーに参加。新鮮な山菜とおいしいお酒で地域の方との交流会は大盛り上がりだったよう。

「地域の人と話ができる機会があったことがよかったです。こういう人が住んでいるんだということがわかったので。」

  2人の感想に共通するのは、地域の人とのつながりができたこと。 これは交流している人たちとも共通する部分でしょう。 顔の見えるあの人がいるから、また行ってみたいと思う。きっと三箇はそういう場所なのだと感じました。

今後の移住体験ツアー開催については未定。
興味のある方はぜひ公式サイトをチェックしてくださいね。

学校はつながりをつくる「もう一つの居場所」

皆さんにとって、学校とはどんな場所でしたか? 人それぞれいろんな思い出がある場所でしょう。

学校に行けば、今まで出会う機会のなかった仲間や先生とつながり、新しい価値観とも出会います。

家や地域に居場所がなかったときには、学校や仲間が「もう一つの居場所」になることもあったかもしれません。大人になって仕事でうまく行かないとき、人生に迷ったとき、ふと学校で出会った仲間や先生に話を聞いてもらったことはありませんか。
学校とは、一つの心の拠り所なのかもしれません。
「だいすきさんが旧三箇小学校」は、そういった居場所としての懐の深さを持っています。

学校の懐かしさに触れ、地域の人と関わる中で新しい価値観と出会う。
日常へ戻ってからも、そのつながりはきっと続いていくでしょう。
ぜひ、新しいつながりを作りに訪れてみてください。
だいすきさんが旧三箇小学校

だいすきさんが旧三箇小学校

住所:新潟県中魚沼郡津南町大字三箇甲2215-4
電話:025-763-2051
FAX:025-755-5191
料金:大人4000円 小学生3000円 小学生未満(布団利用) 3,000円(添い寝) 無料
その他詳細は公式HPをご覧ください。

この記事を書いた人
諸岡江美子

千葉県出身。津南町と妙高市の二拠点居住。一児の母。 築150年の古民家を民泊として開きながら、フリーで編集・執筆をしています。雪国の暮らしの知恵が大好きで、地域のじいちゃんばあちゃんから教わったことを日々研究中。