揚げたての三角揚げが食べたい/阿賀野市


2022年02月01日 10718ビュー

新潟の油揚げは栃尾だけじゃない!

三角ですよ、三角。
いえ、マックの三角チョコパイの話じゃないです。油揚げの話。
栃尾の油揚げ? 違う、違う、あれも美味しいですけどね。おつまみにもメインディッシュにも大人気だし。だけど、新潟にはもうひとつ、美味しい油揚げがあるのです。それが阿賀野市で親しまれている「三角揚げ」。
阿賀野市だと「昔から油揚げといえば三角だと思っていた」と言う人も少なくないとか。
実は、私も父親の実家が旧水原だったんで、子どものころは結構食べてたんですよね。三角形の油揚げ。すっごく美味しかったんですけど、実家を出てからは久しく食べていなかった。それが地域の特産品だとも知らなかったんです。
そして20年以上経ち、三角揚げがメディアにも少しずつ取り上げられるようになった今、せっかくの機会なんで食べに行こうじゃないか、という感じで行ってきました、阿賀野市へ。

まずは安田の金子食品本舗へ

最初に向かったのは、阿賀野市の旧安田町、金子食品本舗さん。国道49号線からのアクセスも良好で、県内外から観光客の訪れるヤスダヨーグルトの直売店からも近く、阿賀野市観光の際にはぜひ立ち寄ってもらいたいお店です。
目印はこの三角の看板。分かりやすいでしょ?
店内には、三角揚げだけでなく豆腐もずらり。また、それらに合うおすすめの調味料なども取り扱っています。
豆腐も品ぞろえが豊富で、とくに気になったのが「押し豆腐」。水にさらさない木綿豆腐でいつも店頭に並ぶ商品ではないそう。量り売りだそうで、だいたい1枚300円前後のようです。普通の木綿豆腐より味が濃く、豆腐ステーキなどにぴったりだそう。これも美味しそうです。また湯葉なども取り扱っています。
そして、いよいよお待ちかねの「三角油揚げ」(税込172円)。丸大豆100%、そして安田の良質な水を使った自慢の一品。豆腐とは別に油揚げ専用の豆腐を使い揚げているそうで、お店の鈴木孝子さんによると「うちでは、『豆腐が美味しければ油揚げも美味しくなります』と言われています」とのこと。
それにしても見た目からしてボリュームがあります。
お店では、午前中は揚げたてが食べられるそうで、早速、1枚いただきました。こちらでは、三角油揚げにぴったりという地元のコトヨ醤油さんの自慢の出汁とワインを使った醤油「和院」をかけていただきます。
「和院」もこちらで購入できます。
表面のパリっとした食感のあとに生地の甘みがじんわりと広がります。とにかく豆の味が濃いんですよね。普通の油揚げとは違う感じ。そして厚揚げのようで厚揚げではない。油揚げって、ヘルシーだけどなんだかんだで揚げ物だし、そんなたくさん食べられるものじゃなさそうだけど、これなら何枚でもいけそうな気がする。
そうそう、私が子どものころ食べてたのはこれです、これ。
鈴木さん曰く、「やっぱり揚げたてをそのまま食べるのが一番」とのこと。
また、同時にいただいた油揚げ用の豆乳にもびっくり。昔から豆腐屋さんの豆乳は美味しい、とどこかで聞いたことがあったんですが、これが今まで飲んできた豆乳とは別物。クリーミーで甘さが全然違うんです。
また、金子食品さんの三角油揚げは県内のウオロクさん、原信さん、清水フードさんなどでも販売しているとのことなので、コロナ禍でなかなか阿賀野市まで行けない方は、まずは近所のスーパーで買ってみるのも良いかもしれません。

金子食品本舗

住所:阿賀野市保田895-4
営業時間:午前9時から午後5時30分まで。
定休日:毎週日曜
TEL:0120-68―2242

圓山豆腐店で製造見学

続いては、旧水原の老舗・圓山豆腐店さんで三角揚げの製造を見学させていただきました。こちらも国道49号線沿いにあります。
外観は懐かしい豆腐屋さんそのもの。店内では当代の圓山彰さん、ご子息の淳さんが2人で作業していました。後継者が不在で代替わりに苦労するお店が多い中、とても頼もしく見えました。
こちらが油揚げに使う豆腐だそうです。
三角に揚げるためにカットします。
そして、温度の異なる2つの油を使ってじっくり揚げていきます。
じっくり揚げるとだんだん浮いてくるんですが、膨らんでフライヤーにぴったりはまるんですね! この時点でめちゃくちゃ美味しそうじゃないですか。ええ。
そして、これが揚げる前の豆腐とできあがり。全然違いますね。こうして見ると。
それにしても、すべてが手作りなんですね。「原料も製法も先代から習ったことを忠実に守っていきたいですね」と彰さん。
こちらでも揚げたてを1枚いただきました。おすすめは醤油を少々と七味だそうです。
同じ三角の油揚げでもお店によって全然違うんですね。パリッとした表面の歯ごたえとふんわりとした生地のコントラストがとても心地よいです。
噛むとじゅわっと旨味が広がります。これもすごく美味しいです。これは煮物や味噌汁には勿体ないやつ。日本酒があれば尚良しですね。
なお、こちらのボリューム満点の「油揚げ」は1枚税込130円。もちろん豆腐やがんもどきなども販売しております。
また、こちらの商品も県内のウオロクさん、原信さんなどで取り扱っているそうなので気になる方は探してみてください。

圓山豆腐店

住所:阿賀野市山口町1丁目5-7
営業時間:午前6時から午後4時まで。
定休日:毎週日曜
TEL:0250-62―2180

厚揚げ、ではない

実は昔から気になっていたのは、この三角揚げというのは油揚げなのか厚揚げなのか。私の中では勝手に厚揚げ的なものだと思っていたのですが、久しぶりに食べてみると全然違うんですよ。長時間揚げて中までじっくり火を通しているのか、油揚げと厚揚げの中間のような……。まさにいいとこどりの味。
念のため両店でも軽く質問させていただいたのですが、やはり違うとのこと。というか、どちらも別に厚揚げは売っていますしね。
金子食品本舗さんは「三角油揚げ」、圓山豆腐店さんは「油揚げ」という名前なので、これこそ阿賀野市では油揚げのスタンダードなんでしょう。

せっかく阿賀野市に来たのだから瓢湖へ……

ちなみに取材当日は寒波襲来で外は真っ白。正直、美味しいものを食べたら即撤収したいところだったんですが、なんせ、観光協会のブログですからね。
県内屈指の白鳥飛来地として知られる瓢湖が近いので、それなら冬の使者に会ってこようと思いました。
ていうか寒っ!
絵的に、飛び立つ白鳥とか見たかったんですけど、この天気のせいか彼らはひっそりしておりました……。

オルタナティブな三角

阿賀野市では昔から親しまれている三角揚げ。昨今、メディアを通じて徐々に露出が高まってきた感がありますが、ここまで支えてきたのは今回取材さえていただいた両店のようなまちの豆腐屋さん。
ですが、そうしたお店も後継者の不在や中心市街地の空洞化、大型店との競争などで苦境に立たされ、廃業するところも少なくありません。金子食品本舗の鈴木さんも「以前はもっとお店がたくさんあったんですけどね」と残念がっていました。
実際に食べれば分かるのですが、味も独自性も申し分なしでどんどん流行ってほしいな、と思います。
「王道の四角」に対する「オルタナティブな三角」。ぜひ、食べてみてください。
この記事を書いた人
ヤマダ マコト

新潟市秋葉区在住。サラリーマンの傍らkindleストアで電子書籍にて地元・新潟を舞台にしたエンタメ小説を発表。インディーズながら一部で熱烈な人気を集め、どっちが本業か分からなくなりつつある中年男。

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