職人の技を体感!村上木彫堆朱体験/村上市


2023年07月31日 1842ビュー
村上市の伝統工芸、村上木彫堆朱(むらかみきぼりついしゅ)。
木を彫り、漆を塗り重ねて作られる漆器で、新潟県無形文化財・国の伝統的工芸品に指定されている、新潟県を代表する工芸品です。
村上の家庭には、昔から伝わる堆朱の茶托やお盆がある家も多く比較的身近な工芸品ですが、詳しい作り方や作られているところを見たことのある方は少ないはず。

そんな堆朱について、詳しく知って、体験もできる施設があります。
それがこちら、村上木彫堆朱会館です。外壁も朱色!
2階建ての建物の1階には事務所とギャラリーが、2階には職人の作業部屋があります。
ギャラリーには、村上市内の職人の作品が並びます。もちろん購入も可能!
匠の作品は間近で見るとうっとりとする美しさです。
手のひらにすっぽり収まる大きさに、これだけ細やかな彫りが施されています。
花の中央に見えるのは「地紋(じもん)」。
村上木彫堆朱の特徴のひとつである細やかな幾何学模様で多くの種類があります。
ずらりと並ぶ地紋の一覧。
約1センチ角の模様が繰り返されていて、繊細そのもの。
(ほそーく残された部分、手が滑って彫りすぎて模様が無くなったりしないのかな…)
不器用な筆者はそんな邪念を抱きつつ、思わず額に顔を近づけてまじまじと見つめてしまいました。
こちらは村上木彫堆朱の技法のひとつ、三彩彫(さんさいぼり)。
漆で絵を描いたわけではないのです。彫って絵柄を出しているのです。
色漆を朱色、黄色、緑色、黒色、の順に塗り重ねてからその漆を彫って模様を表現する技法で、出したい色に合わせて彫る深さや幅を変えているそう。少しでも彫り過ぎたら下に塗った色が出てきてしまう、こちらもまた繊細な技術が必要です。
奥が深い堆朱の世界、職人さんのようには出来なくとも、自分でも手を動かして味わってみたい!
というわけで、実際に体験させてもらってきました!
こちらは2階の彫師の作業場。

木地師(お盆や花瓶など、土台となる木工品を作る職人)・彫師(下絵を描き生地を彫る職人)・塗師(彫った上から漆を塗り上げる職人)の3つの部門の職人が手作業でひとつの作品を作ります。

今回体験させてもらったのはこちら。
箸に模様を彫る体験です。赤色の線が出来上がりの模様になる部分。
職人さんに一から教えていただきます。
使うのは裏白(ウラジロ)と呼ばれる彫刻刀。
お手本を彫っているところを見ていると、すーっと気持ちよく掘り進められそうに感じます。
けれど、簡単かもと思わせるほど軽やかなのは、もちろんプロだからこそ成せる技。
いざ自分で掘り始めようと思うと、やはり緊張します。
赤い線の脇を、V字になるように斜めに刃を入れて彫っていきます。どきどき…
くるりと上下を返して、赤い線の逆側を上から下に、こちらも斜めに刃を入れ裏白を動かします。
何とか赤い線の部分が取れました!刃を入れる角度や深さなどなど、細かなことを考えていたらかなり時間が経っていました。何より一度彫ったところは元に戻らない、と思うとどんどん慎重に…
箸の向きを変えつつ、一本一本の線を掘っていきます。
初めに外側の斜めの線、次に中央の短い線、慎重に(だんだん大胆に!)掘り進めていって…

完成!!

ここから下処理をして、漆を塗ってもらいます。完成品は遠方であれば後日発送してもらえるとのこと。
初めて使った裏白、職人さんは道具も自分で作るそう。少しの間の体験でしたが、奥の深さがよく分かりました。
体験できる部屋では職人さんたちが掘っている姿も。
少し覗かせてもらいました。
参考に、と見せてくださったのが、こちら。凄すぎる。

手前に浮き出るように彫られている柄、その一段奥にも波のような模様が。
そうです。これも先ほど出てきた「地紋」!モチーフにより立体感を感じます。

体験した箸の彫りが基本中の基本とはいえ、次元が違いすぎて…職人技に脱帽です。
彫りの部屋の隣には、塗りの部屋が。 こちらでは、塗り師の方の作業の様子を見ることができます。 彫りと同じく、塗りも奥が深いもの。細やかな彫りを埋めてしまわないように、慎重に漆を塗り重ねていきます。
先ほど掘ったものとは違う図案ですが、箸も塗られていました。
こんな感じに仕上がるのか〜!と期待が膨らみます。

職人さんの技と堆朱の美しさ・奥深さに触れる体験、ぜひ皆さんも味わってみてください!

村上木彫堆朱会館

住所:村上市松原町3丁目1番17号(村上堆朱事業協同組合内)
開館時間:平日/9時00分~16時00分
     土日祭日/9時30分~16時00分
休館日:年末年始、お盆期間、村上大祭(7月6日、7日)
     12月~4月の日曜日(その他営業日が変わることがあります。)
入館料:無料
体験料金:箸800円(塗りをお願いする場合は別途1,200円)※1週間前までに要予約

村上木彫堆朱会館の地図はこちら

この記事を書いた人
よはくや

新潟県の北の端、村上市の小さな宿「よはくや」のオーナーです。観光地からガイドブックに載らないふだんのまちの様子まで、地元ならではの視点でお届けします!

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