日常があるからものづくりは楽しい 「燕三条 工場の祭典 2022」がいま、アツい/燕市・三条市


2022年10月04日 5235ビュー
工場って、なんか高揚感がたまらない。
 
鉄の匂い、均等に鳴りひびく音、目新しい機械や職人の手仕事も。普段入ることができない空間に一歩踏み込んだら見えてくる、職人たちの姿と熱気に心躍ります。
 
2013年から続くものづくりのまち、燕三条及びその周辺地域で開催される大型イベント「燕三条 工場の祭典」が3年ぶりに実際にKOUBAを開放します。ことしは燕三条地域に点在するKOUBA82拠点(工場:62拠点、耕場:7拠点、購場:13拠点)それぞれが会場となって一般開放され、他にもオフィシャルコンテンツが盛りだくさん。
※2021年に開催された、展覧会「燕三条 ファクトリーミュージアム」の様子(著者撮影)
 
2019年には来訪延べ5万6000人を記録した「燕三条 工場の祭典」、新型コロナウイルスの感染症防止の一環として2年間ライブ配信や展覧会を開催。ただ2022年は、パワーアップして「Beyond KOUBA! 祭典から聖地へ脱皮する3日間」を掲げて復活。著者の水澤が暮らす新潟県三条市でも、日を追うごとにまちの熱気が高まっていると感じます。

地域での居心地の良さや人の温かみ、多角的にものづくりのまちを知って、ふれて、体験できる「燕三条 工場の祭典」。開催まであと3日、今回実行委員長である齋藤和也(さいとう かずや)さんに進化する過程だという「燕三条 工場の祭典 2022」について伺います。
※燕三条 工場の祭典 2022は事前登録制となります。
※2022年度の「燕三条 工場の祭典」実行委員長を務める齋藤和也さん(著者撮影)

ものづくりの聖地にむけて走り始める、第一歩

© 「燕三条 工場の祭典」実行委員会
© 「燕三条 工場の祭典」実行委員会
© 「燕三条 工場の祭典」実行委員会
© 「燕三条 工場の祭典」実行委員会

「燕三条 工場の祭典」とは燕三条地域全域及び周辺地域にて、金属加工、鍛冶木工、印刷、農業をはじめとするものづくりの現場を見学と体験できる大型イベントです。新潟県内外はじめ、海外から訪れる観光客も多く、近頃三条市でも滞在する人たちに出会うことも。

「燕三条 工場の祭典」の始まりといえば、前身となる越後三条鍛冶まつりまでさかのぼります。

ものづくりに対する職人たちのあくなき探究心と技術進歩のさまを、その場で感じてもらいたい。そう考え、現場で働く職人たちが主体となって、企画してきました。齋藤和也さん自身も、プレス加工を主軸に金属加工を行うメーカー工場「有限会社ストカ」の三代目であり、「燕三条 工場の祭典」の楽しみかたを笑いながらこう話します。

「「燕三条 工場の祭典」では、燕三条地域に実際に訪れていただき、KOUBAを自分の目でみてもらうところから始まります。そして、ことしはものづくりの日常を見つけてもらおうと考えています。

例えば、職人たちが汗を流して取り組む姿を見て感銘を受けてもいいですし。ものづくりを体験し気に入ったモノを買うことだっていい。まちを巡ってもらい、どんな境遇で働いているのかを知ってもらうのだって、もちろん映像からだっていいんです。私たちが過ごす日常といっしょだと気づくし、それぞれが過ごすひとときから楽しさを導いてほしい」(齋藤さん)


見どころは?という著者の問いに対して、「人によって楽しさは千差万別ですよね。私たちからこれだと言うものではないですし、「燕三条 工場の祭典」ならきっと楽しいが見つかると思います」と自信をのぞかせます。
※燕三条ファクトリーミュージアムでは、日常で使われる道具たちを展示。2022年は実際の工場で見学できる(著者撮影)

「ことしで開催10周年を迎えるにあたって、これまでと同様にお祭りで終わらないよう、ものづくりの聖地を目指そうと実行委員会では第1回から掲げている五箇条をあらためて確認しました。そういう意味では大切な機会だと捉えていますし、私たちにとっても大事な一歩目です」 (齋藤さん)

では、ものづくりの聖地とは何ですかと齋藤さんに聞くと「お祭りから日常へと進化することです。そのため、(「燕三条 工場の祭典」を)燕三条地域で365日補填できるような仕組みをつくっていきたいんです」真剣な眼差しでこう語ります。

新たに脱皮する、あたらしいコンテンツとはなんだろう。

※燕三条地域の工場では人でつなげていることから、実行委員会では五箇条を掲げる
1、KOUBAでは、誇りを持って何事にも全力で取り組む事
2、KOUBAで、ものづくりの本質を人々に体感してもらう事
3、KOUBAが活性化することで、地元地域の雇用に貢献する事
4、KOUBAでの仕事が、子供たちにとっての憧れや夢となる事
5、燕三条のKOUBAを、ものづくりの聖地にする事

「燕三条 工場の祭典 2022」オフィシャルコンテンツの全貌

© 「燕三条 工場の祭典」実行委員会

「燕三条 工場の祭典 2022」ではオフィシャルコンテンツとして予定しています。齋藤さんは内容について補足してくれました。

1、オフィシャルツアー
一般開放される82拠点に含まれないKOUBA6拠点を巡るツアー。JALふるさと応援隊 新潟とのコラボレーション企画であり、客室乗務員とともにものづくりの最深部を案内します。
※満員御礼、一般受付を終了

「JALふるさと応援隊さんとのコラボレーションとして、普段ガイドを務める方たちが現場に同席し、解説してくれます。若手職人探訪ツアーではとくに、私と同様に後継者の観点で親と子、二人三脚で行なう姿を肌で感じることができます」(齋藤さん)

2、地元に精通したタクシードライバーによるお得なKOUBAツアー
※KOUBAツアーのモデルコースとして挙げられる庖丁工房タダフサ(著者撮影)

三条市に本社がある「日の丸観光タクシー」のドライバーがお届けする、定番からマニアックな観光スポットまでをご案内するKOUBAツアー。

日程:2022年10月7日(金)〜9日(日)9時〜16時30分 ※コースにより異なる
料金:コースにより異なる
※モデルコース例
①燕市内「伝統産業の数々」
②三条市内「三条王道コース」
③燕市内「鎚起銅器と包丁工場めぐり」
④三条市内「歴史ある工場」
⑤加茂市内 「繊維産業と果樹園味覚堪能」
⑥三条市内「木工産業の数々」

定員:1~8名(1台)
出発場所:JR燕三条駅
申込み / 問合せ:日の丸観光タクシーにご確認ください。

3、特別展示in 燕三条駅
2023年2月に開業する新しい拠点施設の開設予定地の一部を活用して、イベントのオフィシャル案内所を設置する他、 参加KOUBAの一部を製品と映像で紹介する特別展示を実施します。
会期:10月7日(金)〜9日(日)
時間:9時〜17時
場所:JR燕三条駅2階 ビュープラザ跡地(待合室隣り)

4、オフィシャルレセプション
日時:10月7日(金)18時30分〜20時30分
場所:まちやま(三条市図書館等複合施設)
内容:まちやまの建物へのプロジェクション、参加KOUBAによる体験・販売ブース、鍛冶ミュージアム特別ギャラリーツアー、飲食ブース
参加方法:予約不要

「オフィシャルレセプションでは、コロナ禍だからこそしっかりと対策を講じた上で“人が集まる”ことを大切にしています。工場見学は関係上、どうしても相手に伺うかたちとなってしまうため、集まる行為に意味があるんです」(齋藤さん)
5、KOUBAのレセプション
10月7日(金)、8日(土)、9日(日)燕市産業史料館
10月8日(土)フジノス
10月8日(土)G.F.G.S
10月9日(日)諏訪田製作所

燕三条地域は進化して強くなってきたまち 「燕三条 工場の祭典」も進化する

©️「燕三条 工場の祭典」実行委員会
©️「燕三条 工場の祭典」実行委員会
©️「燕三条 工場の祭典」実行委員会

それぞれのコンテンツを考え始めたのが、2021年の燕三条ファクトリーミュージアムが終了時点から。2022年4月からは方向性が定まり、現在も準備を行なっているそう。

一見、別々のコンテンツに見えてもその根っこには、燕三条地域が試行錯誤しながら進化するプロセスをのぞいてもらいたいという想いがあると斎藤さんは加えて言います。

「私は燕三条地域に何度も訪れたい。住みたい、職人に会いたい。そう思ってもらえるまちにしたいと考えています。だから、「燕三条 工場の祭典」をきっかけに訪れた方たちが自慢できるまちであり続けたい。『燕三条地域に行ってきたよ、いいでしょ!』とね。

正直、コロナ禍となってからいまに至るまで、苦しいときがいっぱいありました。この3年間で何度も何度も。でも、この地域って強いんですよね。

燕三条地域は過去、多発した水害を機に農業から和釘の製造へと進化してきました。いま、地域が成長してさまざまな製品へと波及していったわけです。10周年目の節目となる年に、立ち上がり続けてきたこの地域の次なる進化の過程を見てほしいですね。製品や部品、材料ひとつとっても進化していますし。まず、燕三条地域を回って、見て楽しんでいただけたらと思います」(齋藤さん)
燕三条 工場の祭典 2022

燕三条 工場の祭典 2022

開催期間 2022年10月7日(金曜日)~10月9日(日曜日)
住所 新潟県三条市・燕市全域及び周辺地域
交通アクセス 会場によって異なる
駐車場 会場によって異なる

【問い合わせ先】
「燕三条 工場の祭典」実行委員会
電話番号 0256-35-7811
https://kouba-fes.jp/2022top/

総合案内所3か所

この記事を書いた人
水澤 陽介(みずさわ ようすけ)

新潟県生まれ、東京、沖縄を経て地元新潟にUターン。2021年2月、三条市の中央商店街に本屋「SANJO PUBLISHING」を立ち上げ、“まちを編集する本屋さん”をモットーにまちの魅力を集め、届けています。 まちを編集する本屋「SANJO PUBLISHING」(https://note.com/ncl_sanjo

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