「地すべり資料館」と「人柱供養堂」を訪ね、自然災害について考える/上越市


2022年09月27日 6530ビュー
異常気象の増加に伴って、毎年のように日本各地で自然災害が起こっていますよね。
今年の夏も豪雨による甚大な被害が村上市にもたらされ、ひと月経った現在も復旧作業が続いています。

上越市の板倉区でも、古くから地すべりに苦しめられてきました。
そのため、地すべりにまつわる様々な伝説まで残されているのです。

今回は「地すべり資料館」と「人柱供養堂」におじゃまして、地すべりに対して学んできました。

 

ここは全国初の本格的な「地すべり資料館」なんです。

入場無料ですので気軽に訪れることができ、バリアフリーな作りになっていますので車椅子の方も安心して入館できます。

 

入館してすぐ左側には「いたくら遊雪館」が併設されています。
展示されている民具や民家のジオラマを見ることで、県内有数の豪雪地帯・上越市板倉区の冬の生活を知ることができます。

災害とまではいかないかもしれませんが、豪雪も厳しい自然の姿のひとつですね。

 
開館30周年を迎える「地すべり資料館」のマスコットキャラクター「地すべりくん」がお出迎えしてくれます。
アブない名前のわりにかわいいキャラクターで、ほっこりさせてくれます。

 
まずは「DVDシアター」で地震や津波、土砂災害から命を守る方法についての映像を見ます。
ドキュメンタリー映像は見ていて怖くなるほど。

 

その後は実際に起こった、地すべりをはじめとした様々な自然災害についてパネルで学びます。
生々しい写真に、自然災害の恐ろしさを実感しますね。

 

わからないことがあったら管理人さんに声をかけてみましょう。
わかりやすく解説していただけます。

 
800年前の大規模な地すべりで、押し倒されたまま地面に埋没した埋もれ木も展示されています。
こんな太い木まで押し倒される地すべりに、自然の脅威を感じますね。

 
2階には防災のための工夫が、イラストや図解を使ったパネルでわかりやすく展示されています。

 
いろいろな模型を使って、地すべりのメカニズムを体験するコーナーもありました。

 
こちらの模型では、地すべりの様子がわかりやすく伝わります。

 
このコーナーでは、パネルの内容について実験をしながら説明をしてもらえます。
どのように液状化現象が起こるのかを、視覚的に学ぶことができるんです。

 
ひととおり見て回ったら、学んだことが身についたのかクイズコーナーで試してみましょう。

 
資料館の2階には「伝説の部屋」もあります。
板倉区に伝わる「二猿物語」「人柱伝説」など、地すべりにまつわる伝説を紹介しています。

 
「二猿物語」では「猿又川」という名前の由来になった猿の伝説が紹介されています。

 
もうひとつは「人柱伝説」。

地すべりを起こす大蛇たちの生け贄にされようとしていた娘に代わって、ある旅のお坊さんが人柱になったのだそうです。
それ以来、地すべりが収まったという悲しい伝説なのでした。

 
伝説だと思われていた「人柱伝説」ですが、昭和12年に村人が土の中から大きな甕を掘り起こしたことで実話だったことがわかりました。
甕の中には座禅姿の人骨と中国の古銭があったのです。

その後におこなわれた新潟大学の調査で、人骨は鎌倉末期の頃のもので40〜50代の関西男性と判明したそうです。

現在その人骨は、入っていた甕と共に「地すべり資料館」の隣にある「人柱供養堂」に祀られています。

 
埋められる時に入っていた甕と、人柱になった僧だと思われる人骨が祀られています。

実話だとすると、とんでもなく勇気のある行為ですよね。
私にはとても無理なので、少しでも見習えたらと思います。

 
「地すべり資料館」では「すべりどめ」のお守りを販売しています。
自然災害から守っていただく他、受験での「すべりどめ」にもご利益があるとか。

また、マスコットキャラクター「地すべりくん」のステッカーも無料でもらえますよ。

 
「地すべり資料館」と「人柱供養堂」を見学することで、誰もが遭遇するかもしれない自然災害について、それぞれがしっかり考えることが大切だと痛感しました。

 

地すべり資料館

新潟県上越市板倉区猿供養寺401−1
TEL.0255-78-2687

入館料/無料
開館時間/9:30〜16:30
休館日/毎週火曜日、12月29日〜翌1月3日
駐車場/あり

地すべり資料館

この記事を書いた人
田中新之助(たなかしんのすけ)

新潟を愛する万年新米ライターです。持ち前の粘り強さで味わい深い記事を書いていきたいと思ってます。とくに観光ガイドには載っていないような、新潟の珍スポットや変スポットに力を入れて紹介していきたいです。