新潟県民のソウルフード「イタリアン」、新潟市発祥の「みかづき」と長岡市発祥の「フレンド」。その誕生のきっかけ、知ってる?(新潟市/長岡市)
2025年06月01日
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皆さん、こんにちは!取材ライターとして活動させていただくことになった、槻本みのりと申します。
自分自身が生まれ育った自然豊かな新潟の魅力について、こちらのブログで発信できることを嬉しく思います!
私がこれまでの取材活動を通して感じていることは、新潟には長年愛され続ける名物グルメや伝統のあるものなど、素晴らしい「食文化」があり、それに携わる熱い思いを持った方が多いということ。
新潟の食にまつわることを中心に、食べることが大好きな私自身が気になったこと、面白いと思ったことをご紹介できたらと思っています。
さて、今回は新潟県民が愛してやまない「イタリアン」がテーマです。
新潟で「イタリアン」といえば、ソース味の焼きそばにミートソースをかけたあのソウルフードを思い浮かべる方が多いのでは?
そして!ここで質問です。皆さんは新潟県内で2つの「イタリアン」を食べられることをご存知でしょうか。
実は、イタリアンを販売するお店には、下越地区・新潟エリアを中心に店舗を展開する「みかづき」と、中越地区・長岡エリアを中心に展開する「フレンド」があります。そして、ここで疑問がひとつ。なぜ、別の地域の異なるお店で、似て非なる「イタリアン」が存在するのか・・・。
その理由や誕生のきっかけが気になったので、早速、「みかづき」「フレンド」の両店舗でお話を聞かせてもらいました。
自分自身が生まれ育った自然豊かな新潟の魅力について、こちらのブログで発信できることを嬉しく思います!
私がこれまでの取材活動を通して感じていることは、新潟には長年愛され続ける名物グルメや伝統のあるものなど、素晴らしい「食文化」があり、それに携わる熱い思いを持った方が多いということ。
新潟の食にまつわることを中心に、食べることが大好きな私自身が気になったこと、面白いと思ったことをご紹介できたらと思っています。
さて、今回は新潟県民が愛してやまない「イタリアン」がテーマです。
新潟で「イタリアン」といえば、ソース味の焼きそばにミートソースをかけたあのソウルフードを思い浮かべる方が多いのでは?
そして!ここで質問です。皆さんは新潟県内で2つの「イタリアン」を食べられることをご存知でしょうか。
実は、イタリアンを販売するお店には、下越地区・新潟エリアを中心に店舗を展開する「みかづき」と、中越地区・長岡エリアを中心に展開する「フレンド」があります。そして、ここで疑問がひとつ。なぜ、別の地域の異なるお店で、似て非なる「イタリアン」が存在するのか・・・。
その理由や誕生のきっかけが気になったので、早速、「みかづき」「フレンド」の両店舗でお話を聞かせてもらいました。

新潟市が発祥の「みかづき」と長岡市が発祥の「フレンド」。2大イタリアン誕生の背景には大きな共通点!?
まずは新潟市の中心街・万代エリアにある「みかづき万代店」さんへ。
「創業は1910年。元々は古町通りに面した創業者の自宅で喫茶店からはじまったそうです」と話してくれたのは営業部長の小林さんです。
「創業は1910年。元々は古町通りに面した創業者の自宅で喫茶店からはじまったそうです」と話してくれたのは営業部長の小林さんです。
創業当初はおしるこやホットケーキ、夏はかき氷といった喫茶メニューを提供していたのだとか。喫茶メニューが中心だったお店に新しい風を吹かせたのは、3代目社長の三日月晴三さんでした。「イタリアン考案のきっかけは、食事メニューも提供し、より客数を増やしたいというのが目的でした。いろいろな食事メニューを試し、試行錯誤していたそうです。一時期は押し寿司を提供したいと、当時の三日月社長が自ら、石川・金沢まで習いに行ったと聞きました」。そのように試行錯誤を繰り返しながら、新メニューを考案する日々を送っていたそうです。三日月晴三社長の熱い思いが伝わってきます!
続いて、長岡市にある「フレンド喜多町店」さんへ。
国道8号線沿いで、長岡ICから車で約3分の場所。フレンド本部と「イタリアン」や「ぎょうざ」の工場を併設するフレンドの本拠地でもあります。「創業は1958年。お饅頭屋さんとしてスタートして、その後は甘味喫茶に変わっていきました」と取材に応じてくれたのは、喜多町店の店長・堀澤さん。創業がお饅頭屋さんだったとは・・・意外な事実です!
国道8号線沿いで、長岡ICから車で約3分の場所。フレンド本部と「イタリアン」や「ぎょうざ」の工場を併設するフレンドの本拠地でもあります。「創業は1958年。お饅頭屋さんとしてスタートして、その後は甘味喫茶に変わっていきました」と取材に応じてくれたのは、喜多町店の店長・堀澤さん。創業がお饅頭屋さんだったとは・・・意外な事実です!
この創業当初の話をお聞きする時点で両店ともに「イタリアン」という言葉が登場していないことが気になりつつも・・・(汗)、話を聞いていくと、「イタリアン」誕生へとつながる新たな展開が!
「みかづき」さんと「フレンド」さんにある大きな転機が訪れたそうです。
その転機とは、1950年代後半に東京で飲食業界向けの勉強会が行われ、「みかづき」の三代目・三日月晴三さんと「フレンド」の創業者・木村政雄さんが新潟県から参加したことでした。
「みかづき」さんと「フレンド」さんにある大きな転機が訪れたそうです。
その転機とは、1950年代後半に東京で飲食業界向けの勉強会が行われ、「みかづき」の三代目・三日月晴三さんと「フレンド」の創業者・木村政雄さんが新潟県から参加したことでした。
「三日月晴三さんとフレンド創業者の木村政雄の仲がとても良く、関東での研修帰りに一緒に東京のお店に立ち寄ったそうです。そのお店でソース焼きそばを食べたことで新たな食事メニューの考案に向けて、インスピレーションが湧いたそうです」とフレンドの堀澤さん。
みかづきの小林さんも、当時のエピソードについて三日月晴三社長から話を聞いたことがあったそうです。
「当時、東京での勉強会にフレンドの創業者・木村政雄さんも参加されていたことが交流につながって、仲良くなったそうです。木村政雄さんと一緒に立ち寄った東京のお店で一番人気という焼きそばを食べた時、上に何かタレのようなものがかかっていたようでそれが面白い!と。焼きそばだけど洋食のスパゲティをイメージしてトマトソースをかけて、箸じゃなくてフォークで食べさせ、名前は“イタリアン”としたらどうだろうと、色々なイメージやアイデアが湧いてきたそうです」。
そのような出来事を経て、中太麺のやきそばにミートソースをかけた2つの「イタリアン」が、新潟市の「みかづき」と長岡市の「フレンド」で誕生したのだそうです。
その勉強会でのおふたりの出会いこそが、新潟県民が愛するソウルフード「イタリアン」誕生のきっかけだったとは・・・。子どもの頃から「イタリアン」に慣れ親しんできた身としては感慨深く、貴重なエピソードをお聞きすることができました。
素敵なお話を聞けたところで独自の魅力を持ちつつ、似て非なる「イタリアン」。ご存知の人も多いかと思いますが、改めて、それぞれの魅力をご紹介します!
「当時、東京での勉強会にフレンドの創業者・木村政雄さんも参加されていたことが交流につながって、仲良くなったそうです。木村政雄さんと一緒に立ち寄った東京のお店で一番人気という焼きそばを食べた時、上に何かタレのようなものがかかっていたようでそれが面白い!と。焼きそばだけど洋食のスパゲティをイメージしてトマトソースをかけて、箸じゃなくてフォークで食べさせ、名前は“イタリアン”としたらどうだろうと、色々なイメージやアイデアが湧いてきたそうです」。
そのような出来事を経て、中太麺のやきそばにミートソースをかけた2つの「イタリアン」が、新潟市の「みかづき」と長岡市の「フレンド」で誕生したのだそうです。
その勉強会でのおふたりの出会いこそが、新潟県民が愛するソウルフード「イタリアン」誕生のきっかけだったとは・・・。子どもの頃から「イタリアン」に慣れ親しんできた身としては感慨深く、貴重なエピソードをお聞きすることができました。
素敵なお話を聞けたところで独自の魅力を持ちつつ、似て非なる「イタリアン」。ご存知の人も多いかと思いますが、改めて、それぞれの魅力をご紹介します!

新潟市発祥、「みかづき」のイタリアンとは?
1960年の発売当時から、「基本的な味は変えていない」という「みかづき」さんのイタリアン(普通盛り・単品440円)。1人前は約260グラム。「小腹が空いたときにちょうどいい量なんです。おやつにもなるし、食事にもなるし、そういう用途の便利さ、使い勝手の良さがファストフードの良さだと思っています」とみかづきの小林さん。小林さんから「イタリアン」を作る過程も見せてもらいました。
キャベツ、モヤシを野菜の食感が残る程度に、中太麺と一緒に炒めていくのだそうです。そのフルーティーなウスターソースを絡めたもちっとした中太麺に、鶏ひき肉と大豆ミート、タマネギをたっぷりと使った甘めのトマトソースがよく合います。焼きそばということで、あえて白い塩漬けのショウガをアクセントとして付け合わせにしたのだとか。
また、「みかづき」さんといえば、定番のほかに、ホワイトイタリアンやカレーイタリアンなど、バリエーションが豊富なのが特徴です。季節限定品を含め、常時7種からその時の気分に合った味を楽しめるのが嬉しいですよね。
そして、ほかに力を入れているのがアイス。「割とシャイだけど、内に強い思いを持っていて、好奇心旺盛な方」という3代目社長・三日月晴三さんがこだわった自家製のアズキアイスは、お店で一番初めにヒットした商品。そのアズキアイスの上にソフトクリームとナッツの組み合わせが楽しめるチーフナッツ(290円)はファンの多い商品です。
ほかにも創業当初を彷彿とさせる喫茶メニューがそろう「みかづき」さん。愛され続けるメニューには開発に携わった方の熱い思いがあるのだと改めて感じました。素敵なお話をありがとうございました。
ほかにも創業当初を彷彿とさせる喫茶メニューがそろう「みかづき」さん。愛され続けるメニューには開発に携わった方の熱い思いがあるのだと改めて感じました。素敵なお話をありがとうございました。

長岡市発祥、「フレンド」のイタリアンとは?
豚ひき肉のうま味とスパイスを感じるミートソースが特徴の「フレンド」さんのイタリアン(普通盛り・単品390円)。
こちらが誕生したのは1964年頃。中太の蒸し麺はキャベツとモヤシとともにラードで炒めることでコクのある味わいに、ややスパイシーなソースが後を引くおいしさです。「焼きそばのソースはいろいろなうま味が凝縮しています。僕自身も小さい頃から食べていますが、そんなに味が変わったというイメージはないですね。県外に出ている人も帰ってきて食べるとほっとする味になるんでしょうか」とフレンドの堀澤さん。
こちらが誕生したのは1964年頃。中太の蒸し麺はキャベツとモヤシとともにラードで炒めることでコクのある味わいに、ややスパイシーなソースが後を引くおいしさです。「焼きそばのソースはいろいろなうま味が凝縮しています。僕自身も小さい頃から食べていますが、そんなに味が変わったというイメージはないですね。県外に出ている人も帰ってきて食べるとほっとする味になるんでしょうか」とフレンドの堀澤さん。
そして、「フレンド」さんといえば、忘れちゃいけないのが、もちっとした皮が特徴のぎょうざ(8個入り・390円)です。この大きさと香ばしさ、絶妙な焼き加減がたまりません!
豚肉のうま味と野菜の甘みがたっぷりのこちらの商品。実はイタリアンよりも先に発売されたメニューなのだとか。しかし、ニンニク臭い餃子は当初、女性客に受け入れられなかったそうです。なんとかしたいと一念発起した創業者の木村さんが自らの足で情報収集し、ついに東京の名店の餃子に巡り合います。そこで「ニンニクなしでもおいしい」ということを発見。それをヒントに工夫を重ね、フレンドの「ぎょうざ」が完成したのだそう。「当時、餃子が珍しくて、人気が出て行列ができたそうです。“お客さまの健康第一”をコンセプトに掲げて、ファストフードでも手を抜かずにという思いで、素材や調味料を合わせて30品目の食材を使い、手作りだからこそ健康面にも配慮してこだわっています」。フレンド本部の十文字さんが教えてくださいました。ニンニク不使用という点でも気軽に食べられるのが良いですよね。フォークでなく、箸で食べるスタイルなのもぎょうざがあるからという理由だそう。
豚肉のうま味と野菜の甘みがたっぷりのこちらの商品。実はイタリアンよりも先に発売されたメニューなのだとか。しかし、ニンニク臭い餃子は当初、女性客に受け入れられなかったそうです。なんとかしたいと一念発起した創業者の木村さんが自らの足で情報収集し、ついに東京の名店の餃子に巡り合います。そこで「ニンニクなしでもおいしい」ということを発見。それをヒントに工夫を重ね、フレンドの「ぎょうざ」が完成したのだそう。「当時、餃子が珍しくて、人気が出て行列ができたそうです。“お客さまの健康第一”をコンセプトに掲げて、ファストフードでも手を抜かずにという思いで、素材や調味料を合わせて30品目の食材を使い、手作りだからこそ健康面にも配慮してこだわっています」。フレンド本部の十文字さんが教えてくださいました。ニンニク不使用という点でも気軽に食べられるのが良いですよね。フォークでなく、箸で食べるスタイルなのもぎょうざがあるからという理由だそう。
また、1976年にオープンしたフレンド喜多町店は、日本で初めて、ドライブスルーを導入した店舗といわれています。
「創業者が研修に訪れたアメリカ視察でヒントを得て、日本もいずれは車社会になることを見越して導入したそうです。当時、国道の開通とほぼ同時期で周囲はまだ田んぼだらけだったと聞いています」。現在、イートインと同じくらいドライブスルーの利用者も多く、地域の方にはなくてはならない存在だそうです。
将来を見据え、先見の明をお持ちだった創業者・木村政雄さんの素晴らしさがうかがえるエピソード、ありがとうございました。

今後大切にしたいことなどについて聞いてみました。
最後に「みかづき」さんと「フレンド」さんに、今後目指したいことや大切にしたいことなどについて聞いてみました。
「これまでのスタイルも守り続けながら、その時代にあったイタリアンの種類やサービスの提供など、今後もよりイタリアンを成長し、発展させて、よりお客さまの要望に添うような形にできればと。お客さまの声に真摯に耳を傾けていけたらと思っています」とみかづきの小林さん。
「これまでのスタイルも守り続けながら、その時代にあったイタリアンの種類やサービスの提供など、今後もよりイタリアンを成長し、発展させて、よりお客さまの要望に添うような形にできればと。お客さまの声に真摯に耳を傾けていけたらと思っています」とみかづきの小林さん。
フレンドの堀澤さんは「新潟県民にとってのイタリアンは普段使い、日常に溶け込んだ味であり、子どもの頃の僕にとってもそうでしたが、ごちそうだと思っています。最近、モバイルオーダーも始めましたし、ちょっとずつ時代に合わせてアップデートしていけたらと。でも、この喜多町店でいえば、この“昭和”のような店内の雰囲気を崩したらいけない、今の言葉でいう“エモい”感じを残すことが大事だと感じています」。
新潟と長岡、それぞれの地域を中心に愛されてきた「イタリアン」は、今から60年以上前、「みかづき」の3代目社長・三日月晴三さんと、「フレンド」の創業者・木村政雄さんによる温かな交流がきっかけとなり、誕生したソウルフードだったのです。「目の届く範囲で」「地域に根付いた“食文化”を大切にしたい」という思いから、「みかづき」は新潟エリアを中心に、「フレンド」は長岡エリアを中心に店舗を展開しているとのこと。
新潟が誇る名物グルメは、時代の変化に柔軟に対応しながらも変わらない味で、これからも私たちを懐かしくも温かな気持ちにさせてくれるに違いありません。1人のファンとして・・・引き続きお世話になります!
おでかけが気持ちいい季節。2つのイタリアンを味わいに、お店に足を運んでみてはいかがでしょうか。
新潟が誇る名物グルメは、時代の変化に柔軟に対応しながらも変わらない味で、これからも私たちを懐かしくも温かな気持ちにさせてくれるに違いありません。1人のファンとして・・・引き続きお世話になります!
おでかけが気持ちいい季節。2つのイタリアンを味わいに、お店に足を運んでみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
新潟生まれ、新潟育ち。地域情報誌の編集者を経て、フリーランスの編集・ライターとして活動中。
新潟の食文化やグルメに加えて、毎日が楽しくなるようなコトを発信したいです。コーヒーと焼き菓子、アイスが好き。
Instagram:https://www.instagram.com/minori.tsukimoto