新潟ガストロノミー おいしさの裏側を求めて④――魚沼のメインディッシュはお米。古民家ホテル「ryugon」で日本一のコシヒカリをいただく/南魚沼市


2023年01月08日 3435ビュー

ryugonが選んだお米農家

坂戸山の麓に抱かれるように豪奢な趣を持つ宿、ryugon(りゅうごん)。

ここは上杉謙信の義兄で旧坂戸城城主、長尾政景公の菩提寺「雲洞庵」の末寺「龍言寺」跡地に建てられたことに由来し、「龍言」と名付けられた温泉旅館だった。

2019年、「龍言」は日本一の豪雪地帯の風土を体感してもらうための宿「ryugon」としてフルリノベーション。
​またここでは食事でも雪国文化を体験していただけるように、雪国ガストロノミーとして雪国文化を色濃く反映した料理を提供している。

そこで出されるお米はもちろん日本一うまいと評判の南魚沼産コシヒカリ。
お米を作っているのは地元塩沢地区の宮田農産業だ。

日本一のコシヒカリができる理由

魚野川の平野に宮田農産業の田んぼが広がる。昔は兼業農家だったが、近所の人から田んぼを請け負うようになり今では専業農家としてお米、さつまいもなどを生産している。現在は65ヘクタールもの田んぼに作付けしているという。

宮田さんに魚沼コシヒカリがおいしい理由を聞いてみた。
「まず、水ですね。山が近く、雪解け水もあり米作りに欠かせないきれいな水が1年中豊富なんです。また中山間地の地形のため昼夜の寒暖差が大きくデンプンの詰まったおいしいお米ができること。そして土壌がコシヒカリに合っていることですかね」 
更においしいお米にするため、毎年試行錯誤しながら改良を重ねているという。

宿も生産者もともに成長する

宮田さんは地元の飲食店に出すお米は特に厳選したお米を出すそうだ。

「おいしいものを食べて欲しいからね。我々生産者としても安定的に買っていただける地元の旅館や飲食店はありがたい」
支配人の小野塚さんも宮田さんのお米を使いながら共に成長してきたという。
「かれこれ15〜16年の付き合いになります。毎年安定した品質と生産量をいただけるので助かっています」

購入する人と生産する人が近く、地域で持続的な経済循環と成長が起こる地域の内発的成長の理想的な姿ではなかろうか。
 ryugonでは「土間クッキング」として地元のお母さんと郷土料理をつくる体験プログラムも行っている。

そこでは昔ながらのかまどでお米を炊く。
参加者からは「炊き立てのお米はおかずがなくてもおいしい」と評判だそうだ。

数々の品種改良ののち生まれたコシヒカリはその生育条件にぴったりあったここ魚沼地域で日本一のお米となった。
この地のお米を食べることは魚沼地域の風土もいただくことなのだ。
ryugon

ryugon

住所:新潟県南魚沼市坂戸1−6
電話:025-772-3470
定休日:不定休
駐車場:あり

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湯沢・魚沼エリア

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NIIGATA GASTRONOMY

「美食学」と訳され、料理と文化の関係性を考察することを指す“ガストロノミー”。
口にすることで地域の風土や歴史を感じられることから、成熟しつつある食文化の中で、注目を集めている考え方。多様な歴史と文化、豊かな自然に恵まれた新潟県はガストロノミーの宝庫。