新たなお出かけスポットが誕生!飲める人も飲まない人も楽しめる、高野酒造「KULABO」/新潟市


2023年06月08日 4204ビュー
こんにちは!フリーライターの竹内ありすです。

酒蔵数日本一の酒どころ、新潟県。

お酒、とりわけ新潟の日本酒が大好きな私のもとに、あるニュースが飛び込んできました!なんでも、日本酒にまつわる新たなお出かけスポットが誕生したというのです。

その名も「KULABO(くらぼ)」。新潟市西区の「高野酒造」で4月29日にオープンした、酒蔵併設のショップです!

買い物を楽しみながら酒蔵見学もできたり、高野酒造のショップなのに他の酒造のお酒がズラリと並んでいたり!?

今回は、実際に訪れて感じた「KULABO」の魅力を大解剖しちゃいます。

高野社長に聞く!高野酒造と「KULABO」のこと

新潟市西区、JR内野駅から車で10分ほどでアクセスできる高野酒造株式会社。

明治32年から120年を超えて酒造りを続けていて、「白露(しらつゆ)」「越路吹雪」「水の都 柳都」などの銘柄でおなじみです。

事務所を訪れ、社長の高野英之さんにお話を伺いました。
ーーこのあたりは、“にしかんエリア”と呼ばれていますよね。

高野社長:そうなんです。ここ新潟市西部から弥彦村あたりの「にしかんエリア」には、日本酒の酒蔵が8軒、ワイナリー6軒、クラフトビールブリュワリーが2軒もあるんですよ。“にしかんエリア”にあたるかつての北國街道沿いは宿場町でしたから、酒の消費量も当時から多かったのだと思います。

ーーなるほど、だから醸造文化が栄えたんですね。今回オープンした「KULABO」のコンセプトも、まさに「小さな宿場町」だと伺いました。

高野社長:“にしかんエリア”には、弥彦神社や岩室温泉などのお出かけスポットが点在しています。このエリアに訪れた皆さんにも、旅人が足を休める宿場町のように、目的地に向かう途中で「KULABO」に寄ってひと休みしていってほしいと思います。

お買い物も、体験も!「KULABO」を楽しみつくす

さて、いよいよ「KULABO」を案内していただきます!
以前から酒蔵を訪れた人向けに事務所で酒を販売し、ECサイトでも酒類を取り扱っていた高野酒造。

「KULABO」のオープンを通して「酒蔵のすぐそばで直売することで、お酒をより身近に感じてもらいたい」と高野社長は話します。
店内は明るく木のぬくもりが感じられ、洗練された雰囲気。
「越路吹雪」「水の都 柳都」……高野酒造で造られる日本酒が豊富に並びます。
こちらは「柳都 純米 無濾過生原酒」。流通に関わる品質管理が難しく、なかなか市場には出回らない貴重なお酒です!
なんとショップに並ぶのは、高野酒造のお酒だけではありません。ワインや、他の酒蔵の日本酒もズラリ!そう、“にしかんエリア”のお酒たちです。
「白」がつく銘柄を集めたコーナーもありました。
さらには、おせんべいやカレー、ジャムなど、新潟県内各地の名産品も揃います。
日本酒を注いで果実ワインのサングリア風に楽しめる「ぽんしゅグリア」に合うミニサイズのお酒も、セットで販売されていました。この組み合わせ、お土産にも喜ばれそうですよね!
そして店の奥には、利き酒体験ができる「角打ちコーナー」も!

550円で3種類の飲み比べができるこちらには、常に6種類のお酒が用意され、その銘柄は随時入れ替わるのだそう。この日は高野酒造の「越路吹雪」を含む“にしかんエリア”の日本酒が揃っていました。
「わりとたっぷり注がれるので、お得だと思います。3種類楽しんだあとにもう3種類と、コンプリートしていかれる方もいらっしゃいますよ」と高野社長。

気になるお酒をその場で飲めちゃうなんて魅力的!私も車の運転がなければ6種類コンプリートしたかったです……
悔しがっていると、高野社長がショップ内の階段をのぼりはじめます。ついていくと…
ガラスの向こうに、蔵の中の工場の様子が見えました!
ここはオープンファクトリーのコーナー。「洗瓶(空の瓶を洗う)」「充填(酒を詰める)」「打栓(栓をする)」「ラベル貼り」の4つの工程をガラス越しに見ることができるのです。
ちなみに、この日詰めていた銘柄は「水の都 柳都 純米大吟醸」!
瓶詰めの工程はもともと敷地内の別の蔵で行っていたそうなのですが、「KULABO」と併設するかたちで今年新設した蔵に瓶詰めの工程を移転。

この作業が見られる酒蔵は、県内でもかなり珍しいそうですよ!
「作業中のスタッフと目が合うと、手を振ってくれます。この場所から工場の様子を俯瞰できるので、私も見回りがしやすくなりました」と高野社長。

瓶詰め作業が行われるのは火曜日から金曜日まで。見てみたい方は、作業が行われることが多い午前中に訪れるのがベターです!

もっと酒蔵を知りたい方におすすめのツアー

最近は見学できる酒蔵も増えてきましたが、高野酒造でも120年の歴史が感じられる見学ツアーが用意されています!
案内してもらったこちらは、創業当時(明治32年)に建てられた貯蔵蔵。
趣のある蔵の中には、できあがった酒を貯蔵するタンクが所狭しとおさまっています。
中には、昭和9年に導入された貯蔵タンクも!戦前のものですが、まだまだ現役なのだそう。
貯蔵蔵の他にも、酒の仕込みを行う場所を工程順に紹介していただきました。
職人が腰を痛めないように作業台の高さが工夫されていたり、休みが取りやすいように効率を考えたスケジュールで酒造りが進められていたり。忙しく厳しいイメージを持たれやすい酒造りの仕事だからこそ、高野社長は「働き方改革」にも力を入れてきたのだと話してくれました。
芳醇な香りに包まれながら酒蔵内を歩いて見学していると、日本酒への愛着がますます高まっていくのを感じるはず。
ちなみに土日には、先ほど「KULABO」のショップでガラス越しに見学できた、瓶詰めの工程を行う場所も間近で見られるそうですよ!

酒蔵見学

所要時間は15分〜20分ほど。
高野社長またはスタッフが案内してくれます。
ミニサイズのお酒をお土産に持ち帰ることができます。

見学:ひとり1,100円
月〜金曜日 11:00〜、14:00〜
土曜、日曜、祝日 11:00〜、13:00〜、14:00〜、15:00〜

※酒の仕込み内容や瓶詰めをする銘柄などにより、
見学できる内容も時期によって異なる可能性があります

「KULABO」への思い

「ひとりでは発揮しきれない力でも、2人、3人と集まることでエネルギーが強まります。ここを拠点に手を取り合い、“にしかんエリア”全体の醸造文化を盛り上げたい」と話す高野社長。

「KULABO」の店名には、酒蔵、蔵と蔵のコラボレーション、酒蔵のラボラトリーという意味が込められているのだとか。

その名のとおり、店内には“にしかんエリア”をはじめとした、他の酒蔵のお酒や新潟県内の産品も充実していたのが印象的でした。
「“にしかんエリア”を観光される方には“行きたいところリスト”のひとつに加えていただいて、楽しんでもらいたいですね」(高野社長)
そしてショップでは、こんな商品も発見!
お猪口のようなデザインのこちらは、その名も「KURA WHITE」。エステサロン「トプカピ」と共同開発した、洗顔後に使う洗い流すタイプのパックなのだそう。

「酒造会社だけど、最近は会社でもお酒以外の話をしていることが多いんですよ」と高野社長。

酒造りで麹に触れるほどに、手がすべすべになると気づいたことが化粧品開発をはじめたきっかけでした。
「“若い人の酒離れ”が問題になっているというけれど、お酒を飲んでもらうことだけが解決の方法ではないと思うんです。これからは酒造りで培ってきた発酵技術を、酒造り以外でも生かしていきたいですね」(高野社長)
「KULABO」を訪れ「にしかんエリア」の魅力を堪能できたのはもちろんのこと、酒造りにとどまらずに進化を続ける酒蔵の未来もますます楽しみになりました。
ちなみに、ショップの上野店長によると「晴れた日には建物横のテラス席でくつろぐのがおすすめ」なのだそう。

さらには6月からコーヒーの提供も始まるということで、「KULABO」は車で訪れた方にとってもお楽しみポイントが増えていきそうです!

みなさんも、魅力の詰まった“にしかんエリア”へお出かけの際はぜひ、「KULABO」でひと休みしてみてはいかがでしょうか。

酒造りを知ることで、晩酌の楽しさも倍増!

今回は車を運転して「KULABO」を訪れたので、泣く泣く角打ちコーナーの試飲を諦めた私。家に帰ってゆっくりとお酒を味わうために、お土産を購入して帰りました!

購入したお酒は、記事でも紹介した「柳都 純米 無濾過生原酒」

無濾過のため流通する際の品質管理が難しく、なかなか市場に出回らない貴重さに惹かれました。

生原酒ならではのフレッシュな飲み口、華やかな香りに濃厚な喉ごし!冷奴や筍の土佐煮とともに、最高の晩酌を楽しみましたよ。
KULABO

KULABO

住所:新潟市西区木山24-1
営業時間:10:00~16:00
年中無休(臨時休業あり)
※オープンファクトリーは火曜〜金曜

TEL:025-239-2046(高野酒造)

駐車場あり

高野酒造株式会社、KULABO

この記事を書いた人
竹内ありす

1995年新潟市生まれ。放送局での番組制作を経て、フリーランスのライター・ディレクターへ。 昭和歌謡と喫茶店、新潟の日本酒が大好き!もの・こと・人にまつわる、魅力あるストーリーをお伝えします。
Twitter→ https://twitter.com/atelier_aliswan