新潟は酒蔵だけじゃない!ここにしかないお酒を求めて!そうだ!酒屋に行こう③【(有)板井商店】/新潟市


2023年10月19日 4234ビュー
酒どころ新潟の蔵元の数は全国№1。個性豊かなお酒やお蔵が数多くあり、蔵を見学しながらお酒を買うのも楽しいのですが、それらのお酒を売る町の「酒屋さん」でお買い物するのも、とっても面白いんですよ!
「酒屋さん」にしかないお酒や飲み方など、新しい発見や出会いがあなたを待っています。
 
第三弾となる今回は、新潟市中央区にあります「(有)板井商店」です。

 

場所はここ!新潟県庁のすぐ側

なんと!
板井商店は県庁のすぐ側にあります。
どどーんっとそびえ立つ県庁の、道路を挟んだ反対側に……
昭和を思わせる外観!!
 
目の前には、市内を走るバスや長岡・上越間の高速バスの停留所があります。
……これはお仕事や観光で訪れた方々にも、インパクトあるんじゃないかな???
 
この赤いベンチなんて今じゃお目にかかれません(笑)
聞くところによると、こちらは角打ちがとても人気で、全国からお客様がやってくるのだとか!
 
ちなみに「角打ち(かくうち)」というのは、酒屋さんで購入したお酒をその場で立ち飲みすることを主に指します。
 
角打ちの発祥は北九州。
八幡製鉄所の労働者たちが深夜仕事を終え、帰りの一杯に朝から営業している酒屋でお酒を買い、その店先で飲むようになったのが始まりだそうです。
 
すいません。日本酒女子と言っていましたが、今まで板井商店で角打ちができるって知りませんでした(不覚)
というワケで、さっそく突入してお話をお伺いしてみましょう!
……の、前に。
 
実際に私が角打ちを利用してみたところから。

エモ過ぎる店内で飲んでみた!

こちらが店内の様子。
外観からの期待を裏切らない……まるで昭和にタイムスリップしたかのよう!
角打ち(立ち飲み)といいましたが、テーブルとイスがあり、ゆっくり座って飲むことができます。
10名以上入ることができますが、混み合う日もありますので、どうしても座りたいという時は事前にお電話をされるお客様もいらっしゃるようです。
 
席に座っての、この風景。
エモい!
この扇風機とかエモ過ぎる❤
「まず飲んで~」と、大女将から麦茶のサービス。
この日は残暑もまだ厳しく、来るまでに喉も乾いてしまっていたので嬉しい♪
喉を潤しつつ、頂くお酒をチョイスします。
 
新潟県民だけでなく、おそらく県外の方でも耳にしたことがあるに違いない新潟の地酒。
久保田、寒梅、〆張、八海山、麒麟山などはやはり外せないか?
と、思いきや……
地元でコアなファンが多い鶴の友発見❤
私的に、コスパ最強と思う白鳥蔵もあるーッ!!
他にも日本酒ベースの美味しい梅酒や新潟のワイン、焼酎、ビールもあります。
店頭に並んでなくても取り寄せ可能なものもあるそうなので、お気軽に聞いてみてください。
 
迷いに迷った結果……
麒麟山レモネード
 
阿賀町にあります麒麟山酒造が発売している、日本酒ベースのレモネードです。
昨年からの新商品。
 
レモンの酸味と程よい甘さで飲み易く、アルコール度数も5%。
冷蔵庫で冷やされていたこの子を、最初にぐびーっと喉に流し込むに良き!
 
 
おつまみも店内から。
缶詰や新潟の美味しい米菓、カップ麺などもあり、電子レンジやお湯も使えます。
そういえば、〆にカップ麺食べていたお客様がいました。
私が好きなのはこれ!
豆天。
ビールにも日本酒にも、お茶にも合います。
一度食べ出すと止まりません。
 
レジでお会計を済ませて席に戻ると、紙コップと広告で折ったゴミ入れをご用意していただきました。
私が子どもの頃は、やっぱりおばあちゃんが折っていて、いつもテーブルの上にあったものです。
(懐かしいなぁ…)
 
では。午前中からお一人様女子、乾杯❤
 
罪悪感?そんなものはありません!
むしろ、午前中からお酒飲めてサイコー!!
です(笑)
昼間のお酒って、夜とは違う美味しさを感じる。

レモネードは炭酸やサイダーで割るのもおすすめ。

 
「これも食べてー」
と、今度はちょうど近所の方が持ってきてくれたブドウが出てきました。
 
酒屋さんで角打ちっていうより、休日自宅のテーブルで、キッチンに立つお母さんとおばあちゃんに話を聞いてもらいながら、のんびり寛いでいる感じ。
なんだろう「お酒を飲みに来た」というより「そこ(楽しい時間)に自然とお酒があった」というような……絶対的安心感!
訪れるお客様が近所の方より、単身赴任や観光で訪れた方の方が多いそうなのですが、実際体験してみて、それが分かった気がしました。

全国からお客様がやってくる!教えたいけど教えたくなかった板井商店の角打ち

板井商店は創業80年以上。現在の女将さんで4代目になるそうです。
お話を伺いに行った日は17時頃だったのですが、すでに2組のお客様がいらっしゃいました。
そして店内奥には大女将と女将さん、週2回いらっしゃるという常連さんがご一緒に。
せっかくなので、常連さんに通い始めたきっかけなどを聞いてみました。
 
常連さん「帰るバス停のすぐ近くにあって、座って飲めて煙草も吸えたこと。お店の人が気楽に喋ってくれるし、僕らの要望に応えて商品も入れてくれるしね(笑)」
 
それはかなりポイント高い!
 
常連さん「そして何があっても7時には帰るから、僕らも非常に良いんですよ。お店の人がきっちり帰る時間をコントロールしてくれるんです(笑)」
 
そう!板井商店の閉店時間は19時なのです。

仕事帰りに疲れた身体と心を癒し、そして明日の活力の為にサッと飲んでサッと帰る!
深酒しない(たぶん)
だから週2でも…いや、毎日でも(休肝日も必要?)通うことができるというわけですね!!!
また、ここで0次会をしてから古町や万代に行く方もいらっしゃるようです。

――しかし、この角打ちはいつ頃から?始められたきっかけがありましたら教えてください。

「お仕事帰りのお客様が店の前のベンチで飲んでいたんだけど、寒くなってきたから中へどうぞ……と言ったのがきっかけです。関東の方へ転勤で行っていたというお客様は“あっちの方は立ちながら飲むところがいっぱいだから外でもベンチで飲めるだけで十分だ”と言っていたのですが、やっぱり寒くなってきたから中にテーブルを出しました。それが15、6年前で、今でもそのお客様は来てくれます」
 
おお!まさに九州で角打ちが発祥したのと同じ経緯。
その頃から、お客様とたくさんお喋りをしていたのだとか。
 
「皆様で賑やかにしているなら喋りませんけど(笑)そうでない時は、せっかく来てくださったのだから無言じゃ楽しくないもんね。本当はもっと商品があったんだけど、店にあってもしょうがないな…という商品を撤去してテーブルを置けば、皆様がゆっくり飲めるかなと思ってなくしたんです」
 
常連さん「お店にとっては有益ではないかもしれないけど、人と人との繋がりを大事にしているんですよ」
常連さん、熱く代弁!
うんうん、分かります❤
 
お酒のことだけでなく、新潟のおいしいものやおすすめスポットについてもたくさん教えてもらえますよ!
少しお聞きしてみたところ、特におすすめなのはやはり「枝豆」
これから迎える冬から春は「女池菜」「赤ひげ」とのこと。
 
女池菜は新潟市中央区鳥屋野(とやの)地区を中心に栽培されている小松菜の一種で「とう菜」とも呼ばれています。
甘味があってアクが少なくとっても美味しいんですよ!
赤ひげはサクラエビ科の「アキアミ」のことで、体長の2倍ほどある触角(ひげ)が赤いことから赤ひげと呼ばれています。
晩秋に信濃川や阿賀野川の河口付近で獲れ、塩辛にしたり天ぷらにしたりして食べられていますが、希少なので地元の私たちでも頻繁には食べることができません。
「新潟の人、そうじゃない人も……お盆や暮れに実家へ帰る時、お酒を買いに来てくださるんですよ。今はどこからでも、安くも買えるのに、わざわざ来てくださるのは非常にありがたいことです」

と、しみじみ語ってくださった大女将と女将さん。
お店で飲んている人たちを温かく見守ってくれている、まさに新潟のおばあちゃんとお母さん❤
そうそう!
こんなに素敵な場所なのに、これまでなかなか広まらなかったのは、それ故に、秘密にしておく人が多かったから、なんだとか!?
でも、その気持ちもすごく分かります(笑)
 
日が暮れた頃……店頭からは温かい時間と光、お酒を酌み交わすお客様の笑顔がこぼれていました。
皆様もぜひ板井商店で新潟の美味しいお酒と、あったかい時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?

有限会社 板井商店

〒950-0962
新潟県新潟市中央区出来島1-5-47
025-283-6400
営業時間:8:30~19:00
定休日:日曜日・祝日
角打ちも営業時間内でご利用いただけます。
※前払い現金

この記事を書いた人
おくちゃん

WEBライター/日本酒ナビゲーター/スイーツコンシェルジュ 新潟市南区出身。
美味しいもの大好き!
油ものとお腹周りがキツくなってきたアラフォー・2児の母。