秋に巡る、道具の美しさ 実行委員長に聞いた「燕三条 工場の祭典」の楽しみ方/燕市・三条市


2023年10月25日 2030ビュー
金属製品や木工製品、布製品、食品、金属加工、金属材料、布加工、包装資材、リサイクル。これらのジャンル、それぞれを普段から使っていても、どんな人たちがどの地域でつくっているのかを知るまでにハードルが確かにあります。

2013年から続く「燕三条 工場の祭典」では、燕三条地域及びその周辺地域の企業がKOUBAを開放し、ものづくりのまちの現場を見学・体験できる大型イベントを開催し、そんな壁を取り払ってきました。
※2021年に開催された展覧会「燕三条 ファクトリーミュージアム」の様子。
※2022年に開催された「燕三条 工場の祭典 2022」の様子(撮影:ヤマトキ製作所)。

10周年を迎える今年、祭典で大きな変化があります。「燕三条 工場の祭典 2023」の運営チームとして「任意団体 KOUBA」が新しく発足され、KOUBAを"知ってもらう"から"使ってもらう”へ。”参加する”から”作る・学ぶ”へ。工場見学や体験からさらに一歩、多様な視点で地域のものづくりと関われる祭典になります。

そんな「燕三条 工場の祭典 2023」の実行委員長は、去年から引き続き齋藤和也さん。「燕三条 工場の祭典 2023では、お祭りから日常化すること。それが今年、祭典に関わってくれた人たちとより実感してもらいたい」と語ります。その魅力を伝授してもらいに、JR東日本 燕三条駅構内にある『燕三条 こうばの窓口』にお邪魔しました。
「燕三条 工場の祭典 2023」実行委員長を務める齋藤和也さん。

どこをどう見ればいい? 「燕三条 工場の祭典 2023」の楽しみ方

©️「KOUBA」

「燕三条 工場の祭典 2023」では、燕三条地域にある企業87社が工場を開くオープンファクトリーのほか、この地域を熟知したガイドと共に巡るKOUBAツアー、オフィシャルのトークショーを開催。まず、どんな祭典なのかを公式サイトからおさらいしましょう。
©️「KOUBA」

CONTENTS 1:OPEN FACTORY
刃物をはじめ、工具やキッチンツール、鋳物、機械部品、金型など金属加工関連の工場や、精密機械、木工、パッケージ、生活用品、アパレル、食品など様々な業種の工場のほか、燕三条のものづくりの成り立ちや特色を紹介する資料館など、燕三条地域の87の企業が参加します。
©️「KOUBA」

CONTENTS 2:TALK SHOW
事業者やクリエイターなど、様々な立場の方々が登壇し、地域におけるデザインと経営の関係や、クリエイティブを活用する効果などをテーマにしたトークショーを開催します。

1、「クリエイティブを活用した事業づくり」
燕三条地域の企業の質問などをトークテーマに、日本全国からクリエイティブを活用し事業を成功・成長させてきた登壇者たちのこれまでの失敗談やクリエイティブにまつわるお金の話なども交え、事業への活かし方をトークセッションで紐解いていきます。
日時:10月26日(木) 18:00〜19:30
会場:燕三条 こうばの窓口
登壇者:堀田将矢(堀田カーペット)、内田徹(漆林堂)、米津雄介(THE)

2、「地産地匠」のものづくり 〜地元デザイナーとつくる、KOUBAの未来〜
ものづくり企業が求めるクリエイター像とクリエイターが求めるものづくり企業との関係性を、各産地のデザイナー・クリエイターと、ものづくり企業とのマッチング事例に触れながらトークセッションの中で探っていきます。両者に必要な考え方やスキルについて具体的に対話することで、両者の積極的な関係性の構築を促し、その後の交流会を通じて実際に交流を深めていきます。
日時:10月27日(金) 18:00〜19:30
会場:三条ものづくり学校 105号室
登壇者:千石あや(中川政七商店)、坂本大祐(オフィスキャンプ)、堅田佳一 (工場の祭典 全体監修)

3、「産業観光と燕三条のこれから」
福岡県八女市を拠点とする「うなぎの寝床」と新潟県燕市・三条市を拠点とする「つくる」。それぞれが得意とする産業観光における、地域特性や「産業観光」という事業の役割に触れながら、実例をもとにしたそれぞれの事業展開などを紹介します。本質的な産業観光のあり方を考察し、行動し続ける両者にヒントをいただきながら燕三条にとって必要な産業観光のカタチを議論していきます。
日時:10月28日(土) 10:30〜12:00
会場:三条市立大学
登壇者:富永潤二(うなぎの寝床)、山田立(つくる)

4、「全国のものづくり産地と、燕三条」
2013年からはじまった全国の産業観光の先駆けである『燕三条 工場の祭典』。これまで歩んできた10年と新たな歩みについて、両全体監修がお互いの想いをセッションします。工場の祭典を支える、参加工場の皆さん、行政、クリエイター、市民の皆さんとどう作り上げ、『工場の祭典』が燕三条にとってどのように進化していくことが地域にとってより良いカタチとなるのかを考察していきます。
日時:10月28日(土) 14:00〜15:30
会場:三条市立大学
登壇者:山田遊(method)、堅田佳一 (工場の祭典 全体監修)

5、ものづくり企業の今と、「これから」に必要なこと
日本の工芸を元気にするため、全国各地800社を超えるメーカーとものづくりをしてきた中川政七商店の中川氏とともに、燕三条地域のものづくり企業にとってこれから必要になる視点や考え方を議論していきます。
日時:10月29日(日) 11:00〜12:30
会場:三条市立大学
登壇者:中川政七(中川政七商店)、堅田佳一 (工場の祭典 全体監修)
©️「KOUBA」

CONTENTS 3:PARTY / MEET UP
会期中、事業者や職人と直接コミュニケーションをとってもらえる、パーティーや交流会を開催します。

1、オープニングパーティー
トークショーのゲスト、燕三条のものづくり事業者、工場の祭典実行員のメンバーなど、祭典に関わる様々な人が一堂に会し、祭典開幕を祝います。4日間にわたって開催される祭典の盛会を願って、共に楽しいひとときを過ごしましょう。
日時: 2023年10月26日(木) 18:00 - 21:00
※18:00-19:30 トークショー/19:00-21:00 オープニングパーティー
会場: 燕三条 こうばの窓口(燕三条駅内2階)
参加方法: 事前申し込み制
参加費: 5,000円(ファーストドリンク付き、2杯目以降はキャッシュオン500円)

2、交流会
祭典中日に開催される、どなたでも参加可能な交流会。参加企業同士やトークショーゲストとの交流を深め、新たなつながりを築く絶好の機会です。パーティー前半に行われる無料のトークショーのみの参加も可能です。
日時: 2023年10月27日(金) 18:00 - 21:00 ※18:00-19:30 トークショー/19:00-21:00 交流会
会場: 三条ものづくり学校 105号室 (新潟県三条市桜木町12−38 )
参加方法: 事前申し込み制
参加費: 3,500円(ドリンク キャッシュオン)

3、アフターパーティー
祭典の締めくくりとして、4日間を振り返りながら感想や課題を共有し、未来に向けての展望を語り合う場としてアフターパーティーを開催します。オープニングパーティーや交流会同様、当日開催のトークショーゲストも出席予定です。
日時: 2023年10月29日(日) 18:00 - 21:00
会場: 燕三条 こうばの窓口(燕三条駅内2階)
参加方法: 事前申し込み制
参加費: 5,000円(ファーストドリンク付き、2杯目以降はキャッシュオン500円)
CONTENTS 4:KOUBA TOUR
テーマに沿ったKOUBAを、地域を熟知したガイドと共に巡るツアー。会期中オープンファクトリーを実施していない事業所や普段は立ち入りできないKOUBAも見学できます。

1、燕の大正時代産業ツアー
日時:10月26日(木) 9:45 - 14:30
昔から燕を支えてきた産業である銅器、鑢(やすり)、煙管(きせる)の工場を巡ります。歴史背景、文化などガイドの説明を交え、燕の街並みを楽しみながらまわります。
※まち歩きツアーになりますので、歩きやすい格好でお越しください。

集合場所:燕三条駅2階 こうばの窓口
参加費:7,000円/1名様 (工場案内料 、ガイド料 、昼食代、保険料)
申し込み先:https://tsubamesanjo.net/pickup/koubafes-tour1/

タイムスケジュール(予定)
9:45/燕三条駅2階 こうばの窓口集合
10:04 – 10:08/移動(JR弥彦線 燕三条駅 – 燕駅)
10:20 – 11:20/石駒(やすり)
11:35 – 12:30/太閤(昼食)
12:40 – 13:40/六張煙管 (きせる)
13:50 – 14:30/玉川堂(銅器)
玉川堂にて解散

2、Deep KOUBA@三条
三条に拠点を構えるものづくりの重鎮たちが手がける傑出した製品の製造工程に深く没入し、製造現場の瞬間を体感するツアーです。
日時:10月27日(金) 13:00 - 16:45
集合場所:燕三条駅2階 こうばの窓口
参加費:10,000円/1名様 (マイクロバス代、工場案内料 、ガイド料 、保険料)
申し込み先:https://tsubamesanjo.net/pickup/koubafes-tour2/

タイムスケジュール(予定)
13:00/燕三条駅2階 こうばの窓口集合
13:25 – 13:55/梅心子(切出)
14:10 – 14:55/大石碁盤店(将棋駒)
15:15 – 16:15/三条製作所(和剃刀)
16:45/燕三条駅にて解散

3、金属製品を支える産業ツアー
製品誕生の舞台裏を探求するツアーです。メインの製品を副産業のエキスパート達がどのように支えているのかを探ります。
日時:10月28日(土) 13:00 - 16:50
集合場所:燕三条駅2階 こうばの窓口
参加費:10,000円/1名様 (マイクロバス代、工場案内料 、ガイド料 、保険料)
申し込み先:https://tsubamesanjo.net/pickup/koubafes-tour3/

タイムスケジュール(予定)
13:00/燕三条駅2階 こうばの窓口集合
13:20 – 14:10/山崎抜型(ダンボール、抜型)
14:30 – 15:20/株式会社ほしゆう(印刷)
15:40 – 16:30/有限会社いづみ商会(ビニール、パッケージ)
16:50/燕三条駅にて解散



全体監修の堅田佳一がおすすめするKOUBA巡りコース
テーマや地域、目的に合わせて活用いただける、全体監修の堅田がおすすめするKOUBA巡りコースを公式SNSにて順次紹介して参ります。下記、一部紹介します。

4、初めての燕三条工場の祭典コース
燕市の産業の礎とも言える鎚起銅器から発展した洋食器を知るコース。玉川堂のヤカンから、世界的に有名な柳宗理のヤカンの比較をしてみても楽しい学びに。また、洋食器作りから派生した燕の刃物作りと、鍛治の文化が色濃く反映されている三条の刃物作り。実際の製造現場を見ることでより深くご理解いただけるコースです。この他、大工道具の産地でもある三条市で、その大工道具を支えてきた木工加工を背景に、世界に通じるブランドにまで仕上げたマルナオの挑戦も必見です。

玉川堂(鎚起銅器・燕)→日本洋食器 (洋食器、お鍋・燕)→藤次郎(包丁・燕)→三条特殊鋳工所(お鍋・三条)→相場産業(工具・三条)→マルナオ(お箸・三条)→諏訪田製作所(爪切り・三条)

5、デザイン・ものづくり好きに巡って欲しいコース
こだわりのものづくりとクリエイティブ・デザイナーが高次元で調和したキッチンツールや理美容製品の開発製造を行なっている会社を中心に巡るコース。燕三条の主要産業である、洋食器や鍛冶製品も含まれており、多様な視点から地域の産業への理解が深まると思います。このほか、箪笥作りをベースとした木製家具、精度が求められるはかりや、金属と樹脂の加工を一手に行うメーカーなど、デザイナーの目線で事業者とのコミュニケーションの取り方のヒントになるコースです。

大泉物産(洋食器・燕)→一菱金属(キッチンツール・燕)→朝倉家具(家具・新潟)→田中衡機工業所(はかり・三条)→マル ト長谷川工作所(工具、爪切り・三条)→シマト工業(金属製品・三条)→E&E(メガネ・三条)

6、燕三条ベテランの皆さんへ。もうここ行きました??コース
全国的にも珍しい抜型や、表面加工、精度が求められる測定器、金属から樹脂製造まで燕三条のあらゆるKOUBAを支える工機を製作する会社など、ものづくりの川上に近づくコースです。

ワークスサイマツ(お菓子型・分水)→笹川メッキ(表面処理・三条)→松井精密工業(金属加工・三条)→三条工機製作所(金属製品・三条)

「年に一度、ものづくりのお祭り」から「ものづくりの聖地」へ

これは、燕三条地域周辺だけで起きるフェスティバル。目を凝らすとあちこちにこれまでの祭典との違いが見えてきます。その変化の兆しを、実行委員長の齋藤さんに教えてもらいました。

「これまでは、“「燕三条 工場の祭典」といえばピンクストライプ"というデザイン力を入り口に地域の工場を訪れてもらう。ここ10年間は、この祭典を知ってもらうために、大きな役割がありました。

今年から次のフェーズとして、"知ってもらう"から"使ってもらう”へ。”参加する”から”作る・学ぶ”へを掲げているので、キービジュアルを一新し、製品を基調としたものに変更しました。期間内にお目当ての工場を見学して終わりではなく、「この製品を見てみたいな」「この製品を作っているところに触れて、自分も使ってみたいな」と思ってもらえるような体験型の先を心がけています」
「そのために行うのがトークショー。他県で取り組んでいる方たちを招いて、他の地域では製品を使ってもらうためにどうやっているのか、燕三条地域ではどんな取り組みがあるのか、お互いの重なりや違いを対談中での化学変化として楽しんでもらえると思います。

なぜなら、コロナ禍で開催した展覧会「Tsubame-Sanjo Factory Museum」などで私たちなりの工場を知ってもらうための取り組みは十分に果たしてきました。ものづくりのまちとして、燕三条地域がお客さんにまた来たいと信用されるために同じことの繰り返しから脱皮しないといけませんから」


工場の祭典をきっかけに、燕三条地域に一度訪れて終わりではない。祭典を含めた365日、この地域を訪れたいと思えるものづくりの日常化がテーマだと齋藤さんはいいます。燕三条地域の窓口であるJR東日本 燕三条駅構内をはじめとする展示も、その一環。
「私は燕三条地域に何度も訪れたい、住みたい、職人に会いたい。そう思ってもらえるまちにしたいと昨年度からは変わらずにいい続けています。そのために、KOUBAツアーの常設であったり、日常化を促すためのセクションを多数用意しています。「燕三条 工場の祭典」以外の361日、地域を開放するための大きな足掛かりになるはずです」

ものづくりへの聖地に向けて地域が団結できる場は、地域の企業で大きな波を起こしています。祭典以外にも、それぞれの企業がオープンファクトリーを独自で始めたりと、燕三条地域に住んでいるとそのうねりを感じています。ものづくりの聖地に向けて、仲間となれる場「燕三条 工場の祭典 2023」に是非訪れてみてください。
燕三条 工場の祭典 2023

燕三条 工場の祭典 2023

開催期間:2023/10/26(木)~2023/10/29(日)
時間:9:00~17:00(12:00~13:00を除く)
休館日:会期中無休
入場料:詳細は公式ホームページをご覧ください
会場 :新潟県燕市・三条市全域、及び周辺地域
交通アクセス:会場によって異なる
駐車場:会場によって異なる

【問い合わせ先】
任意団体 KOUBA

燕三条 工場の祭典 2023

この記事を書いた人
水澤 陽介(みずさわ ようすけ)

新潟県生まれ、東京、沖縄を経て地元新潟にUターン。2021年2月、三条市の中央商店街に本屋「SANJO PUBLISHING」を立ち上げ、“まちを編集する本屋さん”をモットーにまちの魅力を集め、届けています。 まちを編集する本屋「SANJO PUBLISHING」(https://note.com/ncl_sanjo