おいしさのその先へ、五感を満たす新潟の美食旅「たわい」/出雲崎町
2024年10月29日
いいね
2413ビュー
皆さん、こんにちは。取材ライターのエムコネです。
なんだかまた一つ、新たな扉を開いたような、知らない世界を知ったような体験がありました。
私がこのお店に初めて訪れたのは、昨年の2月頃だったでしょうか。丁寧に作られた空間、凛とした落ち着いた雰囲気、そして何よりもお料理のおいしさに心から感動! 「なんて素敵なお店なんだろう」と思うと同時に、なんとも不思議な余韻に包まれたのです。
「おいしい」とか「素敵」という言葉では言い尽くせない……。その理由を知りたくて、改めて取材に伺わせていただきました。
今回は、新潟県三島郡出雲崎町にある「たわい」をご紹介します。
なんだかまた一つ、新たな扉を開いたような、知らない世界を知ったような体験がありました。
私がこのお店に初めて訪れたのは、昨年の2月頃だったでしょうか。丁寧に作られた空間、凛とした落ち着いた雰囲気、そして何よりもお料理のおいしさに心から感動! 「なんて素敵なお店なんだろう」と思うと同時に、なんとも不思議な余韻に包まれたのです。
「おいしい」とか「素敵」という言葉では言い尽くせない……。その理由を知りたくて、改めて取材に伺わせていただきました。
今回は、新潟県三島郡出雲崎町にある「たわい」をご紹介します。
歴史文化が息づく「妻入りの街並み」へ
新潟市内から車を走らせること1時間余り。日本海に面し約10kmもの海岸線を持つ、海と山に囲まれた自然豊かなまち、出雲崎町にやってきました。なんだかちょっと旅行気分!
お店があるのは道の駅「越後出雲崎 天領の里」から徒歩3分ほどにある、旧北国街道の「妻入りの街並み」沿い。推定築140年の歴史ある町家をリノベーションして、2024年1月にオープンしました。
新潟の地元の食材を中心に、季節の恵みを活かしたお食事を提供しています。
新潟の地元の食材を中心に、季節の恵みを活かしたお食事を提供しています。
大きな看板はなく、あるのは控えめな文字で「たわい」と書かれた表札のみ。歴史ある街並みに溶け込むように、ひっそりと佇んでいます。
腰をかがめて入る引き戸の奥に広がるのは、町家の風情ただよう趣深い空間。
「店内の写真撮影はご遠慮いただき、撮影する場合はお手元のみでお願いします」とのこと。実際に伺ってその空気感をお楽しみくださいね。
「店内の写真撮影はご遠慮いただき、撮影する場合はお手元のみでお願いします」とのこと。実際に伺ってその空気感をお楽しみくださいね。
メニュー
席の利用は2部制(席予約可)。
その他、甘味や自家製ドリンクなどもあります。メニューはおおよそ月替りで内容や構成が変わり、月の途中でも旬とともに少し変化していくこともあるそうです。
今回は、お料理と甘味が付いた「水」と、食後にお茶をオーダーしました。取材に伺った9月のおしながきをご紹介します。
- 11時スタートから12時45分まで
- 13時スタートから(お食事ラストオーダー14時30分)
- 水 みず(季節の料理と甘味)…3,000円
- 土 つち(季節の料理)…2,500円
- 種 たね(日替わりご飯)…1,650円
その他、甘味や自家製ドリンクなどもあります。メニューはおおよそ月替りで内容や構成が変わり、月の途中でも旬とともに少し変化していくこともあるそうです。
今回は、お料理と甘味が付いた「水」と、食後にお茶をオーダーしました。取材に伺った9月のおしながきをご紹介します。
滋味あふれる、旬のおいしさに浸る
始めの茶
お食事が始まる前にいただく食前茶。リラックスし、心地よいお食事へといざなってくれます。この日のお茶は、背高泡立ち草。
お食事が始まる前にいただく食前茶。リラックスし、心地よいお食事へといざなってくれます。この日のお茶は、背高泡立ち草。
先付け
葛粉から練り上げ焼き目をいれた、焼き葛豆腐。
ふっくら香ばしく、中はねっとりもっちり葛の甘みが広がります。ナッツが食感と風味のアクセントに。お皿の黒、葛の葉の緑、焼葛豆腐の白にいちじくのピンクが映え、見た目にも美しい一品です。
葛粉から練り上げ焼き目をいれた、焼き葛豆腐。
ふっくら香ばしく、中はねっとりもっちり葛の甘みが広がります。ナッツが食感と風味のアクセントに。お皿の黒、葛の葉の緑、焼葛豆腐の白にいちじくのピンクが映え、見た目にも美しい一品です。
前菜
豆腐の白あえをアレンジした、ぶどうの白掛け。
みょうがの甘酢漬けと合わせて。見た目の色鮮やかさもさることながら、見事に食材の味わいがマッチしています。ぶどうとみょうが、お豆腐が合うなんて、想像できますか!? 私にとっては、初めての組み合わせでした。
もう一品は白味噌を使った茄子田楽。青柚子の皮を振り、爽やかに仕上げられています。
豆腐の白あえをアレンジした、ぶどうの白掛け。
みょうがの甘酢漬けと合わせて。見た目の色鮮やかさもさることながら、見事に食材の味わいがマッチしています。ぶどうとみょうが、お豆腐が合うなんて、想像できますか!? 私にとっては、初めての組み合わせでした。
もう一品は白味噌を使った茄子田楽。青柚子の皮を振り、爽やかに仕上げられています。
揚げ物
粗みじん、すりおろし、その中間と、3段階に粗さを変えた蓮根餅。外はカリッ、中はむっちり、そして海苔の風味がふんわりと鼻を通ります。
横に添えてあるのは梅醤油。昨年漬けた青梅の醤油漬けをペーストにし、醤油麹と合わせてあるそうです。梅の爽やかな酸味が、料理に変化をもたらしてくれます。「自分たちで作れるものは作りたい」と、調味料に至るまで手間を惜しみません。
粗みじん、すりおろし、その中間と、3段階に粗さを変えた蓮根餅。外はカリッ、中はむっちり、そして海苔の風味がふんわりと鼻を通ります。
横に添えてあるのは梅醤油。昨年漬けた青梅の醤油漬けをペーストにし、醤油麹と合わせてあるそうです。梅の爽やかな酸味が、料理に変化をもたらしてくれます。「自分たちで作れるものは作りたい」と、調味料に至るまで手間を惜しみません。
御飯
なんと、ご飯ものは土鍋炊きビビンバ! 和梨を使った料理を考えたところ、韓国料理で梨をよく使うことから、9月のメニューにビビンバを取り入れたそうです。
甘辛く味付けをした県産牛のしぐれ煮に、きゅうりや空芯菜など数種のナムル、そして切り干しなますに和梨、お好みで自家製コチュジャンをつけて。土鍋で炊いた新潟県産米のご飯と混ぜていただきます。
このビビンバの旨味たるや……!! 口の中が大渋滞。しばらく時が止まるほど、一人そのおいしさを噛み締めていました。
なんと、ご飯ものは土鍋炊きビビンバ! 和梨を使った料理を考えたところ、韓国料理で梨をよく使うことから、9月のメニューにビビンバを取り入れたそうです。
甘辛く味付けをした県産牛のしぐれ煮に、きゅうりや空芯菜など数種のナムル、そして切り干しなますに和梨、お好みで自家製コチュジャンをつけて。土鍋で炊いた新潟県産米のご飯と混ぜていただきます。
このビビンバの旨味たるや……!! 口の中が大渋滞。しばらく時が止まるほど、一人そのおいしさを噛み締めていました。
汁物
ホクホクにふかした紅芋、香ばしく焼いた舞茸、ピンク色が美しい食用菊かきのもとと、秋の味覚満載のおすまし。舞茸の旨味と風味がお出汁にじんわりと染みでています。思わず「はぁ・・・」と幸せのため息が。
ホクホクにふかした紅芋、香ばしく焼いた舞茸、ピンク色が美しい食用菊かきのもとと、秋の味覚満載のおすまし。舞茸の旨味と風味がお出汁にじんわりと染みでています。思わず「はぁ・・・」と幸せのため息が。
菓子
信州伊那高原で育てられた「ぎたろう軍鶏」の生みたて卵のプリンに、栗のクリームを添えて。
柔らかすぎず固すぎず、焦がしカラメルを効かせたクラシックなプリンに仕立ててあります。栗のクリームには実の食感を楽しめるように、少し粗めにした渋皮煮を忍ばせて。
信州伊那高原で育てられた「ぎたろう軍鶏」の生みたて卵のプリンに、栗のクリームを添えて。
柔らかすぎず固すぎず、焦がしカラメルを効かせたクラシックなプリンに仕立ててあります。栗のクリームには実の食感を楽しめるように、少し粗めにした渋皮煮を忍ばせて。
そして食後にはこの日おすすめのお茶をいただきました。
実は2つの顔を持つ同店。季節の食材を使った食事を提供するのが「たわい」。そして、全国から選りすぐりのお茶と甘味を提供するのが喫茶「茶に逢う(さにおう)」。1つの店舗の中で食事時間と喫茶時間それぞれを楽しむことができ、食事時間にも「茶に逢う」の店主・竹部さんが淹れたお茶を味わうことができるんです。
「茶に逢う」では、店内にある土蔵の茶室で予約制の茶会も開催しています。詳しくはInstagramをご覧ください。
実は2つの顔を持つ同店。季節の食材を使った食事を提供するのが「たわい」。そして、全国から選りすぐりのお茶と甘味を提供するのが喫茶「茶に逢う(さにおう)」。1つの店舗の中で食事時間と喫茶時間それぞれを楽しむことができ、食事時間にも「茶に逢う」の店主・竹部さんが淹れたお茶を味わうことができるんです。
「茶に逢う」では、店内にある土蔵の茶室で予約制の茶会も開催しています。詳しくはInstagramをご覧ください。
先付けから甘味に至るまで、一品一品が滋味深くぬかりない仕上がり。「おいしい」とは言うまでもなく、感動の連続でした。
彩りやあしらいなどの見た目、目の前に運ばれてきた瞬間から感じる香り、食べたときの食感から伝わる音と歯ざわり、味わって感じるおいしさ……「たわい」には、このすべてが揃っているんです。まさに五感を満たすとはこのこと!!
どうしてこんなにも感動するのか理由を紐解くため、店主の岩田さんにお話を伺いました。
彩りやあしらいなどの見た目、目の前に運ばれてきた瞬間から感じる香り、食べたときの食感から伝わる音と歯ざわり、味わって感じるおいしさ……「たわい」には、このすべてが揃っているんです。まさに五感を満たすとはこのこと!!
どうしてこんなにも感動するのか理由を紐解くため、店主の岩田さんにお話を伺いました。
おいしいのその先にあるもの
(ご提供画像)
岩田さんは、新潟県長岡市出身。東京の調理師専門学校でフレンチを学んだ後に、都内でカリフォルニアキュイジーヌ、アジアン、フレンチなどのレストランやカフェバーで経験を積みました。
「いつか自分の店を持ちたい」と、独立を夢に掲げていた岩田さん。その後、結婚、出産などを経て人生のライフステージが変わるとともに、料理人としての働き方も変わっていったと言います。
子育てのしやすさを考えたときに、自然豊かな新潟に戻りたいと考え、9年前に家族で東京から出雲崎町に移住。そして数年後、たわいの前身となる弥彦のカフェで料理を提供し始め、2024年、念願叶って自身のお店を開業しました。
岩田さんは、新潟県長岡市出身。東京の調理師専門学校でフレンチを学んだ後に、都内でカリフォルニアキュイジーヌ、アジアン、フレンチなどのレストランやカフェバーで経験を積みました。
「いつか自分の店を持ちたい」と、独立を夢に掲げていた岩田さん。その後、結婚、出産などを経て人生のライフステージが変わるとともに、料理人としての働き方も変わっていったと言います。
子育てのしやすさを考えたときに、自然豊かな新潟に戻りたいと考え、9年前に家族で東京から出雲崎町に移住。そして数年後、たわいの前身となる弥彦のカフェで料理を提供し始め、2024年、念願叶って自身のお店を開業しました。
洋食を中心に東京で経験を積んできた岩田さんですが、お店を始めるときに作りたかったのは、日常的に自分が食べたいものや、家族や友人など身近な人に食べさせたいもの。そこで、ご飯を主として、それに合うおかずを提供するという今のスタイルになりました。
そして、岩田さんが新潟に戻って感じたのが"季節の恵みのありがたさ”。
東京には全国や世界中からありとあらゆる食材が集まるけれども、新潟には季節の恵みがすぐ身近にあり、新鮮かつ安価で手に入れることができる。その光景が宝の山のように感じたと言います。
そして、岩田さんが新潟に戻って感じたのが"季節の恵みのありがたさ”。
東京には全国や世界中からありとあらゆる食材が集まるけれども、新潟には季節の恵みがすぐ身近にあり、新鮮かつ安価で手に入れることができる。その光景が宝の山のように感じたと言います。
(ご提供画像)
そのことから、たわいのお料理に欠かせないのが季節の手仕事。
味噌、青唐辛子麹、柿酢などの調味料をはじめ、梅干し、山椒、らっきょう、新生姜など、旬の食材に手を加え、食材を活かし切ります。思わず「手間じゃないんですか?」とお聞きしてしまいましたが、「季節の食材が身近に手に入り、自分の手を加えられる。これってとっても贅沢なことだと思うんです」と岩田さん。なんと、冬は納豆も手作りするというから驚きです。
思い起こせば手仕事による恵みは、この日いただいたお食事にも。旬の食材をふんだんに使うのはもちろん、自家製の調味料が至るところに使われています。
そのことから、たわいのお料理に欠かせないのが季節の手仕事。
味噌、青唐辛子麹、柿酢などの調味料をはじめ、梅干し、山椒、らっきょう、新生姜など、旬の食材に手を加え、食材を活かし切ります。思わず「手間じゃないんですか?」とお聞きしてしまいましたが、「季節の食材が身近に手に入り、自分の手を加えられる。これってとっても贅沢なことだと思うんです」と岩田さん。なんと、冬は納豆も手作りするというから驚きです。
思い起こせば手仕事による恵みは、この日いただいたお食事にも。旬の食材をふんだんに使うのはもちろん、自家製の調味料が至るところに使われています。
(ご提供画像)
たわいのお料理は、一朝一夕で作られたものではありません。手間暇かけて、長時間熟成させた調味料の深い旨味が加わり、感動のおいしさを生み出しています。
そして、「おいしい」という言葉では言い尽くしがたい理由は、料理・器・空間が調和した、五感が研ぎ澄まされた特別なひとときにありました。たわいで味わったのは、おいしさのその先にある、かけがえのない“時間”なのかもしれません。
わざわざ足を延ばして訪れたい、これぞ新潟の美食! 心からおすすめしたい一軒です。ぜひ一度伺ってみてください。
たわいのお料理は、一朝一夕で作られたものではありません。手間暇かけて、長時間熟成させた調味料の深い旨味が加わり、感動のおいしさを生み出しています。
そして、「おいしい」という言葉では言い尽くしがたい理由は、料理・器・空間が調和した、五感が研ぎ澄まされた特別なひとときにありました。たわいで味わったのは、おいしさのその先にある、かけがえのない“時間”なのかもしれません。
わざわざ足を延ばして訪れたい、これぞ新潟の美食! 心からおすすめしたい一軒です。ぜひ一度伺ってみてください。
たわい
新潟県三島郡出雲崎町尼瀬77-1
0258-80-1247(受付/10:00~16:00)
不定休
営業時間/10:00〜16:00
食事は二部制①11:00〜②13:00〜(L.O14:30)
駐車場/4台(満車の場合は道の駅天領の里の駐車場へ)
※詳細はたわいInstagramの営業日カレンダーをご確認ください
※今回のお料理は2024年9月のおしながきです
この記事を書いた人
富山県生まれ、新潟市在住のママライター。 グルメな夫、子鉄の長男、肉食の長女、リアクション芸人の私、の4人家族。 外食費と娯楽費が家計を圧迫していますが、おいしいモノとたのしいコトを求めて日々開拓中!
Instagram : https://www.instagram.com/maconnect2022/