歴史ある白壁兵舎広報史料館で駐屯地の歴史を学び貴重なグッズを手に入れよう/新発田市


2024年06月15日 3632ビュー
漆喰の真っ白な壁に瓦屋根のエンジ色が映える外観が印象的な、新発田市の「白壁兵舎」。1874(明治7)年に陸軍兵舎として建てられ、2024年の今年で落成150年という歴史的建造物で、現存する国内最古の兵舎を移築改修したものです。

史料館として開放

建物の150年の歴史をざっとひもといてみると、建築当初は陸軍東京鎮台歩兵第8番大隊分屯営の兵舎として使用。その後陸上自衛隊新発田駐屯地の隊舎として活用するかたわら、1969年からは一部を史料館として開放。2002年に保存活用に向けて調査を開始し、2014年に現在の場所に「白壁兵舎広報史料館」として移築・復元された、という流れになります。
開館から今年で10年。2024年4月現在で18万人以上が来館しているそうです。館長の小宮慎之助さんの案内で早速館内を見て回りましょう! 
観覧は2階から1階という順序で、年代順に新発田城白壁兵舎日本陸軍自衛隊と4つのコーナーがあります。まずは2階に上がり、右に曲がったところが最初の「新発田城コーナー」です。1874年(明治7)に、新発田城の城内に白壁兵舎が建築されたといういきさつもあり「土地の歴史に敬意を払って」そもそもの原点である新発田城や藩主などを紹介しています。
写しではありますが、豊臣秀吉、織田信長から送られた朱印状なども展示されており、歴史好きにとって見応えあるコーナーです。

建築好き必見の構造

観賞時には展示品だけでなく、ぜひ天井にも注目を。こちらはフランス風建築様式と日本の伝統的工法の両方を合わせ持つ和洋折衷の建物なのですが、それをダイレクトに見ることが出来るのが骨組みのトラス構造と、それを支える船肘木(ふなひじき)という和式の柱なのです。そのため「歴史的な建築様式を感じていただければ」という配慮から、あえて一部の天井を隠さずに見せているそうです。ちなみにこの木造トラス様式の歴史的建造物としては、世界文化遺産に認定された富岡製糸場などがあります。
2つ目のコーナーは「白壁兵舎」です。白壁兵舎の50分の1スケールの復元模型が展示されていました。半分が白壁、残り半分は骨組みがわかるようにあえてスケルトン状になっています。この模型は新潟職業能力開発短期大学校の学生が卒業制作で作ったそうです。
展示にはなんと、以前の白壁の一部もありました。
白壁コーナーの通路をはさんで向かい側が「日本陸軍コーナー」です。「新発田の第2師団歩兵第16聯隊は、明治以降すべての戦いに参戦してきた勇猛な部隊でした」と小宮館長が紹介してくれました。今村均大将をはじめとする優秀な先人たちを顕彰しつつ、陸軍や部隊の歴史をたどれるようになっています。
新発田の第2師団といえば、漫画家・野田サトル氏が描く人気漫画『ゴールデンカムイ』の登場人物、鶴見中尉(長岡藩)や月島軍曹(佐渡出身)が一時期所属していたという設定で有名ですよね。また宇佐美上等兵も新発田出身として登場しています。
白壁兵舎が実際に宿舎としてどのように使われていたのか。そのときの様子が分かる展示もありました。1つの宿舎でおよそ200人程度の隊員が寝泊まりしていたそうです。
毎年4月から6月にかけての3カ月間は特別展示が開催され、2階の白壁兵舎や陸軍コーナーよりさらに奥のスペースがこの時だけ開放されます。2024年は白壁兵舎ができて150年、史料館として活用して10年という節目の年にちなんで「落成150周年 白壁兵舎10周年特別企画展─白壁兵舎のあゆみ─」が開催(4/2〜6/30)されています。
1階には自衛隊に関する資料が展示されています。年間を通して自衛隊がどのような活動をしているのか、災害派遣ではどのような活動を行っているのかなどを展示。民生支援としてオリンピック、パラリンピック、国体などのイベントに自衛隊が関わっていることは、こちらの展示で初めて知ることができました。2階では白壁兵舎の天井の構造を見ることができましたが、1階では床下の構造が見られました。

映画のロケ地に

また意外な仕事のひとつとして映画への撮影協力もあります。高倉健さん主演の『八甲田山』(1977年)では、物語の時代設定である明治35年当時に近い景観が残されていることから、新発田駐屯地がロケ地として選ばれ、隊員約100名がエキストラとして撮影に参加したという資料も展示されていました。
また2004年の中越地震では、山古志をはじめとする県内の被災地で自衛隊の方たちが救助や支援活動を行いました。当時の実話をベースにした映画『マリと子犬の物語』では、陸上自衛隊も撮影に協力し、毎年震災当日の10月23日には1階のオープンシアターで『マリと子犬の物語』の上映会を行っており、今年も開催予定だそうです。

全国でも珍しいショップ

展示の後はショップへゴー! 他の駐屯地にも売店はあるものの、イベント時を除き一般の人が入るのは難しいとのこと。練馬区の陸上自衛隊広報センターなど、いつでも誰でも立ち寄れるショップは全国でも数えるほどしかないそうで、ここ白壁兵舎広報史料館は貴重な場所のひとつなのです。扱っているものはフード、ドリンク、装備品、アウトドアグッズなどさまざま。
自衛隊ならではの商品!と思ったのがこちらのペットボトルの緑茶です。その名も「整列休め」(税込130円、以下全て税込)。宮崎県の川南町のお茶です。実は宮崎県は茶畑の面積が全国6位で、川南町は宮崎県内でも生産量1位の茶処だそうです。渋みを感じないすっきりとした味わいでした。
こちらは白壁兵舎限定グッズ。今年の春に誕生したばかりという「白壁」にかけた「ましろ」というキャラがあしらわれた缶入りのパンです。5年持つので防災食にピッタリ。試食させていただきましたが、パン生地はふわふわで、メープル味も程よい甘さでした。非常食缶入りパンというとお味はそこそこ…というイメージでしたが「今はここまで美味しくなったのか」と驚きでした。

自衛隊と言えばカレー

こちらのショップのおすすめはカレーです。潜水艦カレー、護衛艦カレーなど実際に隊で作っているレシピを再現しているのだとか。自衛隊のショップでもここまでの種類が揃っているのは珍しいそうです。子どもも食べられる甘口から、ピリッとした辛口まで多数あります。
箱は捨てないで取っておいたほうがいいとショップスタッフからアドバイスがありました。実は護衛艦カレーは、シリーズ購入して並べるとこんな風になるのです。いつかコンプリートしてみたいと思いました。

ヘリコプターも展示

館内を一通り見てショップでお買い物を済ませたら、ぜひ立ち寄ってほしいのが前庭に展示されている、用途廃止した観測用のヘリコプター「OH-6D」です。こちらコクピットに入ることもできるのです(空は飛びません)。希望者は受付までお申し出ください。

カレーを実食!

自衛隊カレーの実食レポです。
「護衛艦くらまビーフカレー」は甘口で辛いカレーが苦手な方やお子さんにおすすめです。「舞鶴海自カレー 護衛艦みょうこう」は中辛で濃厚な味わいでした。
「横須賀海自カレーシリーズ 潜水艦せとしおカレー」はマイルドな味わいで、こちらもお子さんも楽しめるやや甘口のカレーでした。「相浦駐屯地 水陸機動団カレー」は生姜の香りがさわやかな一品。
今回4種類を食べ比べてみましたが、いずれも味わいが違い、そして全部美味しかった!お日持ちもするし、お土産におすすめです。ショップのスタッフに聞くと、どの程度の辛さか教えてくれますよ。
もう1つ面白い商品をご紹介。その名も「炎の大作戦」!全部で12個のまんじゅうが入っているのですが、そのうち2つになんと激辛の唐辛子餡が入っているのです。まさしくまんじゅうのロシアンルーレット!試しに2つ食べてみましたが、セーフでした。いつ当たるかドキドキです。
今回ご案内いただいた小宮慎之助館長です。制服が決まっていますね。小宮さん曰く、最近は『ゴールデンカムイ』ファンの人も多く来ているとか。
新発田駐屯地では、毎年8月上旬に夏祭りを開催しているそうなので、この機会に出掛けてみてはいかがでしょうか。

白壁兵舎広報史料館

住所:新潟県新発田市大手町6-4-16
TEL:0254-22-3151
営業時間:9:00-16:00
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)・年末年始
入館料:無料

白壁兵舎広報史料館

この記事を書いた人
和田明子

長岡市のリバティデザインスタジオで、夫とともにグラフィックデザインやコンテンツ制作を行う。アート、映画、文学、建築、カフェ巡り、旅行、可愛いものが大好き。ウェブマガジン「WebSkip(https://webskip.net/)」も細々と更新中