自家養鶏場で洋菓子用に開発した卵を使った絶品スイーツ「フェルエッグ」/糸魚川市


2024年12月19日 915ビュー
店名の「フェルエッグ」はスウェーデン語で「たまごのために」という意味。自家養鶏場「渡辺鶏園」の新鮮な卵を使った洋菓子を製造販売するお店です。
オープンは2006年。シフォンケーキ、プリン、ロールケーキなど、卵の美味しさがダイレクトに伝わる生菓子のほか、カステラ、クッキー、玉子サンドなど、卵を使った商品を幅広く扱っています。

洋菓子作りのために開発した「ピュアエッグ」

お菓子作りに使っているのは「ピュアエッグ」という卵。フェルエッグを経営する渡辺鶏園が、洋菓子作りのために独自に開発したものです。エサは遺伝子組み換えでない穀物、海藻、乳酸菌、木酢などを調整して配合したブレンド飼料を使っています。「たまご特有の臭みを抑えた、フルーティーですっきりとした味わいが特徴」と、フェルエッグの代表を務める渡辺洋子さんは話します。「以前、お客様から『うちの子は生卵が苦手なんだけど、ピュアエッグを使った卵かけご飯は、美味しいといって食べてくれる』と言われたときは本当にうれしかった」と笑顔を浮かべました。
お店では渡辺鶏園直送の卵も販売しています。取材時にはピュアエッグ(6個入・430円/10個入・700円)のほか、わたなべさんちの元気たまご(Mサイズ10個入・320円/LLサイズ12個入・370円)、わたなべさんちの朝採りたまご(ミックスサイズ20個入・530円)などが並んでいました。(金額はすべて税込)
ショーケースにはおいしそうな洋菓子がずらり。
開業当初はふわふわプリンプレミアムプリン(いずれも330円)、カリッとあられシュー(210円)の3種類のみだったそうです。半年後にシフォンケーキと、ロールケーキが加わり、さらにプリンアラモードや日持ちのする焼菓子カステラなど、少しずつ種類が増えていきました。
こちらが開店当初から販売していた「カリッとあられシュー」。大粒のあられ糖の食感を楽しめる一品です。
その後、シュー生地をパイシートで包み焼きにした、生地のサクサク食感と香ばしさがたまらない「サクッとパイシュー」(240円)も販売。いずれもカスタードと生クリームの合わせクリームが入っています。
看板商品のプリンがずらり。青いラベルのものは、贅沢たまごプリン(350円)。ほかに和三盆プリン塩キャラメルプリンなどの季節限定品もあります。
こちらは「飲むプリン」。ご年配の方や小さいお子さんなど、誤嚥が気になる方も安心して味わえます。食欲がないときの手軽な栄養補給にもぴったりなスイーツです。夏場は凍らせておくと、携行食として楽しめるそう。通常のプリンと同じく、ふわふわ(480円)、プレミアム(480円)、贅沢たまご(500円)の3種類があります。
看板商品のひとつ、シフォンケーキプレーンのほか、メープルいちごかぼちゃなどを販売。卵以外の素材にもこだわっており、小麦粉は北海道産を使用しているそうです。(カットシフォンはいずれも350円。ホールタイプはプレーンが1,836円、ほかは2,000円)
ロールケーキは、たまごロール(1,512円・ハーフ675円・1/5カット320円)、ひよこフルーツロール(1,728円・ハーフ850円・1/5カット380円)、和三盆ロール(季節限定・価格はフルーツロールと同じ)の3種類を販売。生クリームは甘さ控えめの優しい味で口どけなめらか。生地もふわふわで柔らかく、いくらでも食べられそうなおいしさです。

お日持ち商品も充実

「フェルエッグのカスタードをお土産に」というキャッチフレーズと共に、プリンやケーキなどよりもお日持ちする冷蔵品として販売されているのが、フェルエッグのエッグタルト(295円)です。エッグタルトの本場であるポルトガルでは、パイ生地を使いますが、こちらはたまごの美味しさを最大限に味わってほしいと、シンプルなタルト台に、たまごの風味が濃厚なクリームを合わせています。
お日持ちするお土産といえば、常温で1年保存が可能という、「燻製たまご ジオの石」(220円)もおすすめです。糸魚川市はユネスコが支援する「世界ジオパークネットワーク」の審査を通り、2009年8月、日本初の「世界ジオパーク」に認定された場所。そして翡翠の産地としても知られる石の町でもあります。それにちなんでネーミングしたそうです。
塩と昆布で茹で、7日間燻製しており、酒のつまみにしたり、ポテトサラダやピザなどにトッピングしたり、さらに蜂蜜をかけてスイーツ感覚で食べてみたりと、いろいろな楽しみ方ができる一品なのだとか。それぞれ微妙に色合いが違うのも特徴で、石を探すようにお気に入りのひとつを見つけるのも楽しいですよ!
糸魚川らしい一品をもうひとつ紹介。その名も「ジオの小石」(380円)。糸魚川産のヨモギを使った焼菓子で、ヒスイ海岸で拾える小石をイメージしたショートブレッドです。ヨモギを使った焼菓子はほかに「米粉よもぎのパウンドケーキ」(302円)もあります。いずれも米粉を使用したグルテンフリーのお菓子です。
学生時代は、専門学校で建築を学んだという渡辺さん。インテリア関係の仕事はいつかやりたいことのひとつだったそうです。そのため、店づくりには北欧が好きだという自身の思いを込めたと、話します。陳列棚はまるでおしゃれな雑貨店のような雰囲気になっており、お菓子を選ぶ時間も楽しく感じられます。
お菓子を焼くところが見られるコーナーもあります。実演の時間は特に決まっていないそうですが、そのときには、店内に甘い良い香りが漂うそうですよ。

カフェコーナーでフェルのスイーツをゆっくり楽しむ

店内にはイートインもできるカフェコーナーがあります。こちらは販売コーナーから入って左手側のスペースです。
こちらは右手側のカフェコーナー。もしこちらを利用するなら窓ぎわがおすすめです。なぜなら…
庭をゆっくりと眺めることができるのです。左側に見えるのは、もうひとつのカフェコーナーです。この景色を見ていると、ちょっぴり北欧にいるような気分が味わえます。
カフェでしか提供していないという限定のプリンもあります。それが「もっちりかたいプリン」(500円)。ぜひお試しあれ!
こちらは「シフォンセット」(ドリンク付き、1,200円)。シフォンケーキにかけるソースは、ラズベリー、キャラメル、オレンジ、チョコレートの4種類から選べます。
軽く食事も楽しみたいという人におすすめなのが「HITOIKI(一息)ボックス(ドリンクorスープ付き、1,200円)です。サンドイッチ3種(1/4サイズ)、もっちりかたいプリン、日替わりシフォンケーキ(生クリーム付き)、クッキー1枚がセットになっています。1,080円でテイクアウト(飲み物なし)もできますよ。
カフェコーナーでは店内で買ったものをイートインで楽しむこともできます。ホットコーヒー(400円・セルフサービスおかわり自由)と一緒に、ふわふわプリンと、ひよこフルーツロールをいただきました。フルーツロールは、季節に合わせてその時々で、果物が変わります。
とにかく驚いたのが「生臭さが全くない」ということ。シフォンケーキやロールケーキなどを食べているとき、卵の匂いが美味しさの邪魔をするときがありますが、フェルのスイーツはそれが一切ありません。卵の実力を感じた瞬間でした。

※撮影用にお皿をお借りしました。通常イートインにはお皿は付きません。
コロナ禍で考える時間をたくさん持つことができた…と語る渡辺さん。そこで改めて見えてきたのは、フェルエッグを始めた原点である「自家養鶏場の美味しいたまごを使ったお菓子を多くの人たちに届けたい。自分たちがやりたいことはそれに尽きる」という思いだったそうです。
先日は『フェルの休日』ブランチと称して、町家を改装したイベントスペース「共場糸魚川コモンズ」で、「バイキングでたまごを楽しむ」というイベントを開催。米粉のミニパンケーキやご飯を用意し、お好きな卵をお好きな焼き加減で楽しむ「勝手に焼いて目玉焼き」を行いました。
そこで誰かが卵かけご飯を食べ始めたら、その美味しそうな様子になんと最終的には参加者全員が同じように生玉子を楽しんだそうです。
「具体的にいつ…ということは決まっていませんが、店内で楽しんでいただけるメニューを増やしたり、機会があればフェルエッグのおいしいたまごや洋菓子をツールにして地域の子どもたちの教育に何か関わったりと、やりたいことはたくさんあります」と抱負を語りました。

またフェルエッグは上越市にも店舗がありますが、こちらは近々移転予定とのこと。
直江津ショッピングセンターエルマールの上越店は2025年1月13日で営業を終了し、同じ上越市内のPATIO(パティオ)上越ウイングマーケットセンターのD棟1階で、2月下旬に営業開始予定です。

フェルのプリンを食べ比べ!

せっかくなので、プリンを3種類購入、食べ比べをしてみました。
左からプレミアムプリンふわふわプリン贅沢たまごプリンです。蓋を開けてみると、表面の生地もそれぞれ微妙に違っています。
まずはプレミアムプリンから。これぞまさに正統派のプリンといった味わいです。プリン好きにぜひ食べてほしい一品でした。お次はふわふわプリン。その名の通り優しい食感で、まるでクリームをいただいているような感じです。最後は贅沢たまごプリン。こちらはさらにクリーミーで、濃厚。口に入れた瞬間とろけるようでした。

北欧では、多くの企業がフィーカの時間(おやつタイム)を設けているそうです。忙しい日々を過ごしている人こそ、フェルエッグのスイーツで自身の生活に、フィーカの時間をプレゼントしてみてはいかがでしょうか。

フェルエッグ

店名 för ägg フェルエッグ
住所:糸魚川市平牛2116
TEL:025-550-6680
営業時間:10:00〜18:00(カフェコーナーは11:00〜16:00)
定休日:水曜日・木曜日

フェルエッグ

この記事を書いた人
和田明子

長岡市のリバティデザインスタジオで、夫とともにグラフィックデザインやコンテンツ制作を行う。アート、映画、文学、建築、カフェ巡り、旅行、可愛いものが大好き。ウェブマガジン「WebSkip(https://webskip.net/)」も細々と更新中