【前編】佐渡金山の町がまるごとホテルに?! 「NIPPONIA佐渡相川 金山町」で心に深く刻む旅/佐渡市


2025年02月27日 39ビュー
皆さん、こんにちは。取材ライターのエムコネです。

2024年7月「佐渡島の金山」が世界文化遺産に登録され、歓喜に湧いた佐渡・相川(あいかわ)エリア。ちょうど同じ頃、佐渡金山の麓に位置するこのまちで、佐渡初の分散型古民家ホテルが誕生したことをご存知でしょうか。

その大きな特徴は古民家に宿泊するだけでなく、相川のまちをまるごとホテルにしていること! 金山町の歴史と文化を学び、そこに暮らす人々のあたたかさに触れる、心に深く刻む旅をコーディネートしています。

今回は家族4人で「NIPPONIA佐渡相川 金山町(以下、NIPPONIA)」に宿泊してきました! 1泊2日の旅を前編・後編と2回にわたりご紹介しますので、最後までご覧くださいね。

「NIPPONIA佐渡相川 金山町」とは

両津港ターミナルから車で約50分、佐渡金山を有する相川エリアに到着しました。

この地域は、金山を開発するために日本全国のさまざまな地域から多くの人々が入り混じり、最盛期には5万人もの人が暮らしていたそうです。現在に至るまで、建物や風景に「佐渡金山のまち」としての面影を残しています。

「NIPPONIA」で宿泊するのは、まちなかに佇む4棟の古民家。金山の焼き物である「無名異焼」の窯元を改修した客室や、佐渡金山で働いていた鉱夫たちの住宅「鉱山住宅」の一棟貸しの客室など、個性豊かな歴史ある客室が揃います。
現在提供しているプランは「宿泊(朝食付き)」のみですが、希望すると昼・夕食のお店や相川の見どころ、観光スポット、体験スポットなどを紹介してくれるほか、予約まで段取りしてもらえます。金山の町の歴史や文化、そして地域の町人(まちびと)とふれあう過ごし方をコーディネートし、ここでしか味わえない旅を提案してくれるのです。

それでは、我が家の滞在例をご紹介します。

【1日目の行程表】
  • 「きらりうむ佐渡」でチェックイン
  • 「北村酒店」でウェルカムドリンクを
  • 「史跡 佐渡金山」へ
  • 鉱山町をまち歩き
  • 「居酒屋 おるふぇ」で夕食
  • 「OKESA BAR BUNZO」でお酒とおけさを
  • 鉱山住宅「左門町」で宿泊
今回この旅をコーディネートしてくださった、同館を運営する株式会社相川車座の雨宮隆三さんです。

相川車座は、相川地区を愛する地元の有志で構成された、相川のまちおこしを手掛ける地域団体。だからこそ、町人の行きつけのお店や知る人ぞ知る隠れ絶景スポットなど、ガイドブックには載っていないディープな楽しみ方をご存知なんです。そういう情報こそ、知りたいですよね?!

雨宮さん、どうぞよろしくお願いします!

「きらりうむ佐渡」でチェックイン

チェックインは、宿泊施設の中ではありませんよ~! 佐渡金銀山ガイダンス施設「きらりうむ佐渡」内の総合インフォメーションで行います。受付をすると、地図やガイドブックに加え、有料展示室の入場券とまちなかで使えるドリンクチケットもいただきました。
※特別な許可を得て撮影しています(通常シアター内は撮影不可)

「きらりうむ佐渡」の展示室では、近世から現代につながる佐渡金銀山の歴史をパネルで紹介するだけでなく、4つのシアターで佐渡金銀山の歴史と、金銀の生産がどのように行われていたかがわかる映像を放映しています。

この後、佐渡金山に行く予定だったので、我が家にとっては予習の時間。映像で立体的に表現されており、大人だけでなく子供にもとってもわかりやすいんです! 同館には、佐渡金山に行く前の立ち寄りがおすすめですよ。
佐渡金銀山ガイダンス施設 きらりうむ佐渡

佐渡金銀山ガイダンス施設 きらりうむ佐渡

住所:新潟県佐渡市相川三町目浜町18番地1
電話:0259-74-2215
開館時間:8:30~17:00(展示室最終受付16:30)
休館日:12/29~1/3
展示室観覧料:大人300円 小中学生150円

ウェルカムドリンクはまちなかで

チェックインで受け取ったドリンクチケットは、相川のまちなかの酒屋さんやバーで使うことができます。「きらりうむ佐渡」から徒歩1分の場所にある、佐渡の地酒全般を扱う酒屋「北村酒店」さんにおじゃましました。

同店ではチケット2枚を使い、地ビール1本とソフトドリンク3本を交換。なんと店主さんは佐渡プロレスのキーマンとのことで、店内にはポスターや雑誌が多数ありました。佐渡のお酒とプロレス愛に溢れていておもしろいんですよ! 立ち寄ってみないとわからないことってあるんだなぁ。

せっかくなので残りのドリンクチケットは、夕食後のバーで使うことに。
佐渡の地酒・北村酒店

佐渡の地酒・北村酒店

住所:新潟県佐渡市相川2丁目45番地
電話:0259-74-2256
営業時間:9:00~18:00

いざ、世界遺産の「史跡 佐渡金山」へ!

私も子どもたちもずっと行ってみたかった「史跡 佐渡金山」に到着!

今回は事前にリクエストをして、金山と相川のまちあるきをガイドさんにお願いしました(予約制、有料)。担当してくれたのは、佐渡金銀山ガイド・相川ふれあいガイドの祝(ほうり) 雅子さんです。

佐渡金山の江戸金山絵巻コース「宗太夫坑(そうだゆうこう)」へ、レッツゴー!
坑道内は薄暗く、ひんやりした空気が漂います。

江戸時代の掘削の様子を再現する人形たちを見て「ネットに書いてあった通り寒いね、見たことある人形だ!」と興奮ぎみの長男。やはり実際に足を運んで、自分の目で見て、肌で体感するのは感じ方が違いますね。
そしてガイドの祝さんが、どのような人たちがどのようにしてここに来たのか、それぞれどんな役割を担っていたのかなどを、わかりやすく説明してくださいました。

そこで私の大きな勘違いが判明。金山で働いていた人=島流しの罪人だと思い込んでいましたが、それは全くの間違い(恥)。祝さんの説明のおかげで、正しい歴史と、いかに佐渡金山が素晴らしい史跡であるのかを理解することができました。世界文化遺産に登録された理由にも納得です!

それでは、佐渡金山を見学した後は、鉱山夫たちが暮らしていた相川の町を散策してみましょう。
史跡 佐渡金山

史跡 佐渡金山

住所:新潟県佐渡市下相川1305
電話:0259-74-2389
営業時間:8:00~17:30(4月~10月)、8:30~17:00(11月~3月)
定休日:無休
料金:宗太夫坑 大人1,000円 小学生500円
   道遊坑  大人1,000円 小学生500円
   ガイド付き山師ツアー 2,500円(中学生以上、4月~11月のみ) ※要予約
   アイランド・ミラージュ 大人3,000円 小学生2,550円 ※要予約

ふれあいガイドさんとまち歩き

ふれあいガイドさんによるまち歩きでは、江戸時代の中心地だった「京町通り」などを中心に、相川の歴史ある町並みを散策しながら案内してもらえます(予約制、有料)。引き続き、祝さんに案内していただきました。
天気が良い日は、京町通りから海に沈む夕陽と、オレンジ色に染められたまち並みが広がるそうです。これぞ絶景ですね~!

この日はあいにくのお天気でしたが、もう一つまち歩きじゃないと見られない絶景がありました。
道遊の割戸! 京町通りから1カ所だけ眺められるスポットがあるんです。

定番スポットである高任公園からの眺めだけでなく、違う角度から眺める道遊の割戸も美しくて感動しました。これぞまち歩きの醍醐味ですね。

夕食は町人御用達の居酒屋で

さぁ、お楽しみの夕飯の時間になりました。

「佐渡のものを楽しめて、お子さんが食べやすい食事があるお店がいいですよね」と雨宮さんがおすすめしてくれたのは、「居酒屋 おるふぇ」さん。お刺身、串焼き、揚げ物、焼き魚、ステーキ、麺類、ご飯物とメニューが豊富! 店内にはカウンターと小上がり席があり、おひとりさまから大人数まで楽しめるアットホームな雰囲気です。

大人は3,000円の料理コース、子どもはおまかせで事前予約しました。
すると、予約時間に伺うとお料理がズラ~っと並べられているではありませんか! お刺身盛合せ、秋刀魚の塩焼き、カキフライ、サザエの串焼き、豚のしょうが焼きなど盛りだくさんです。
佐渡の海鮮料理から女将さんの手料理まで、おいしくいただきました。良心価格でボリューム満点とは、さすがは町人御用達の居酒屋さんですね!
居酒屋 おるふぇ

居酒屋 おるふぇ

住所:新潟県佐渡市相川二町目27
電話:0259-74-3851
営業時間:17:30~21:00
定休日:不定休
席数:40(個室あり)
支払い方法:カード不可 
駐車場:2台

相川おけさの生演奏に酔いしれる夜

せっかくだから相川の夜をまだまだ楽しみたい! ということで「居酒屋 おるふぇ」さんから徒歩1分、天領通り商店街にある「OKESA BAR BUNZO(オケサバー ブンゾー)」さんへ。

実は、こちらのバーは「NIPPONIA」のウェルカムドリンクチケットが利用できるんです。
主人はチケット1枚で佐渡の銘酒「北雪」をオーダー。別料金で私はカクテル、子どもたちはパフェを。

そして残りのチケット1枚を使って……
なんと、佐渡おけさの生演奏を!

「おけさ」は北前船によって持ち込まれた民謡で、鉱山の作業歌でもあったそうです。​相川出身の民謡歌手・村田文三さんが「佐渡おけさ」として全国に広めたのだとか。

同店のマスターである岩崎さんは、佐渡おけさを伝承する「BUNZOおけさ会」の代表。その場で篠笛を演奏してくださいました。毎週水曜日に同店で練習会が行われているそうですが、練習日以外でもチケットを利用して佐渡おけさの音色に触れることができるんです。なんてすてきな夜なのでしょう~♪
OKESA BAR BUNZO

OKESA BAR BUNZO

住所:新潟県佐渡市相川一町目32
電話:0259-74-2252
営業時間:19:00~翌2:00
定休日:月曜日

鉱山住宅で旅の余韻に浸る

佐渡金山と鉱山夫たちが暮らした町の歴史と文化に触れた一日目。

我が家が宿泊したのは、京町通りから一本横に入った静かな路地裏に佇む鉱山住宅「左門町(さもんまち)」。
こちらは「NIPPONIA」の中で最も広い一棟貸しの客室。昭和10年代に鉱山関連に従事する方の職員社宅として建てられました。

また、文化庁の指定する重要文化的景観「佐渡相川の鉱山及び鉱山町の文化的景観」の重要な構成要素として指定されています。歴史的価値があるため、保存指定を受けている貴重な建物なんだそうです。
ベッドルームは、セミダブルベッドが2台の寝室とダブルベッドが1台の寝室の2室あり、120cm以上の「SIMMONS」社製ベッドを設置。また、調理器具が揃ったキッチンや、乾燥機能付きの洗濯機も設置してあるため、長期滞在にもおすすめです。

古民家の趣を残しつつ、水回りや睡眠は快適に過ごせるように整備してあります。
「NIPPONIA」は、金山と盛衰を共にした古民家の暮らしを体感し、非日常を味わうホテル。そのためTVの用意がありません。

代わりにあるのは、佐渡島金山すごろく! ゲームの途中で小判やイベントカードをゲットして、歴史的建造物を建設しながらゴールを目指します。まるで復習のようにこの日巡った場所を思い出しながら、家族ですごろくを楽しみました。
佐渡金山と共に歩んだ相川のまちをまるごと楽しむ「NIPPONIA」の旅。

2日目は、絶景を望む朝ごはんにはじまり、通常の旅ではできないような貴重な体験をしてきました。【後編】もぜひお読みくださいね。
NIPPONIA佐渡相川 金山町

NIPPONIA佐渡相川 金山町

住所:新潟県佐渡市相川二町目23番地
電話:050-1720-9976
E-mail:contact@nipponia-sado.jp

【今回の宿泊先】
NIPPONIA佐渡相川 金山町 左門町
住所:新潟県佐渡市相川左門町9-1

この記事を書いた人
エムコネ

富山県生まれ、新潟市在住のママライター。 グルメな夫、子鉄の長男、肉食の長女、リアクション芸人の私、の4人家族。 外食費と娯楽費が家計を圧迫していますが、おいしいモノとたのしいコトを求めて日々開拓中!
Instagram : https://www.instagram.com/maconnect2022/