柏崎三大庭園紅葉めぐり|朝・昼・夜で味わう静かな秋の旅/柏崎市


2025年11月14日 93ビュー
秋の柏崎は少し特別。

海と山の間に広がるまちは11月になるとゆっくりと色づき、どこか懐かしい静けさに包まれます。

そんな柏崎には秋をしっとりと楽しめる三つの庭園があります。
貞観園、秋幸苑(飯塚邸)、松雲山荘。

それぞれが異なる時代の記憶をまといながら、訪れる人に穏やかな時間を届けてくれます。

朝の光に包まれる苔庭、昼の静かな邸宅、そして夜の灯り。

そのすべてを一日の流れの中でめぐってみたら、柏崎の秋がまるごと心に染みてくる――
そんな旅になりました。

朝-貞観園で静寂の苔庭に出会う

柏崎庭園めぐりの始まりは、まるで時間が止まったような庭園――
貞観園(ていかんえん)へ。

柏崎ICから車で約30分、山あいの小さな集落にひっそりと佇んでいます。
苔むした石段を一歩ずつ上ると、旅の始まりにふさわしい静けさが迎えてくれます。

貞観園は江戸時代後期(天明年間)にこの地の大庄屋・村山氏によって築かれ、昭和12年に国の名勝に指定された柏崎を代表する庭園です。

園内にはスギゴケやジャゴケなど100種類以上の苔が息づき、京都の西芳寺に次ぐ日本屈指の苔庭として知られています。
現在は苔の保護のため建物「貞観堂」からの鑑賞のみ。
屋根の姿が歴史を感じさせる「貞観堂」は、立派な梁や柱が美しく、古民家としての趣も漂います。

※年に数回の特別公開時のみ、歩いて園路や茶室を見学可能。(事前申込・有料)。
江戸幕府の庭師が手がけた池泉回遊式(ちせんかいゆうしき)の庭。

築山の後ろの奥に見える杉林も、借景を守るため村山家が代々手入れを続けているそうです。
手水鉢のそばには濡れると深く色づく佐渡の赤玉石。
飛石として使われている丸い石は、かつて佐渡の鉱山で鉱物を砕くために用いられた鉱山臼。

苔の鮮やかな緑に赤玉石と紅葉が差し色のように映えるのは、秋のこの時期だけの特権。
どの角度から見ても絵画のように美しく、静寂の中で苔が光に呼応するたび、時を忘れてしまいます。
長い年月の中で手入れを重ねながら、当時の姿を守り続けてきた貞観園。

苔を守るために人の出入りまでも丁寧に考え抜かれ、その心づかいがこの穏やかな美しさを支えています。

朝の光に包まれ、苔の緑と紅葉の赤が静かに溶け合う。
柏崎の秋の始まりを感じる、心澄むひとときです。

【貞観園で聞いた撮影のポイント】
  • くもりや雨の日がおすすめ。・・・苔がしっとりと深い緑になり、紅葉の赤もいっそう映えます。
  • 午後は見どころの滝のあたりが逆光になるため、苔と紅葉を撮るなら午前中が◎。
貞観園

貞観園

住所:新潟県柏崎市高柳町岡野町593
電話:0257-41-2100
開園期間:6月1日~11月30日
※強風、強雨時は臨時休園
開園時間:9:00~17:00(受付16:30まで)
休園日:毎週月曜日(月曜が祝日の場合、直近の平日)
入館料:大人500円、小中学生250円
駐車場:あり(無料)

昼―秋幸苑(飯塚邸)で時を忘れるひととき

貞観園をあとにし、車で30分ほど。
山のすそ野に広がる飯塚家の旧邸宅にある庭園「秋幸苑(しゅうこうえん)」へ。

柏崎駅からは車で10分ほどとアクセスしやすい立地です。
重厚な表門が往時の面影を伝えています。

大地主として柏崎のまちを支えた飯塚家の邸宅―飯塚邸。

昭和22年、昭和天皇が新潟巡幸の際に行在所(あんざいしょ)として滞在され、その庭をご覧になり「秋幸苑」と名付けられたと伝えられています。

邸内には当時の面影をそのまま残す部屋もあり、建築から家具にいたるまで時代の品格を静かに伝えています。
当時、天皇が実際に滞在された部屋

取材日(11月6日)は紅葉がちょうど色づきはじめ。
庭の緑に淡い朱がにじみ、秋の訪れを静かに告げていました。
縁側に腰を下ろすと、まるで四季を閉じ込めた屏風絵の中にいるよう。
建物の中からも外からも異なる“静けさ”を味わえるのがこの庭の魅力です。

【期間限定:菓子和咲カフェin飯塚邸】
ちょうど今、柏崎市内の菓子店有志による「菓子和咲(かしわざき)カフェ」が期間限定でオープン。
地元の銘菓と和スイーツを趣ある空間で味わう特別なひとときを過ごせます。
新道柿添えバスクチーズケーキセット950円(税込)/とらや菓子店

【カフェ開催期間】11月6日(木)~24日(月・祝)の木~日・祝のみ
【営業時間】10:00~16:00(L.O.15:30)
※飯塚邸入館料が別途必要です


日常の慌ただしさを忘れさせるような穏やかな時間が流れる秋幸苑。
名のとおり“秋の幸せ”を感じる庭でした。
秋幸苑(飯塚邸)

秋幸苑(飯塚邸)

住所:新潟県柏崎市大字新道5212-4
電話:0257-20-7120
開園期間:4月1日~11月30日(冬季閉園)
開園時間:9:00~17:00(受付16:30まで)
休園日:毎週月曜日(月曜が祝日の場合は翌日)
入館料:大人430円、小中学生210円
駐車場:15台(無料)

夜 ― 松雲山荘で光に包まれる紅葉

一日の締めくくりは赤坂山公園の中にある「松雲山荘(しょううんさんそう)」へ。
秋幸苑(飯塚邸)からは車で10分ほどと、旅の流れにちょうどいい距離です。

柏崎ICから車で約15分、柏崎駅からも徒歩約20分。
アクセスの良さも魅力でどなたにもおすすめしやすい紅葉スポットです。

松雲山荘は大正時代につくられた柏崎を代表する日本庭園。
赤松やつつじ、もみじが重なり合う庭は、四季を通して人々に親しまれています。

訪れた11月初旬は、木々が少しずつ色づきはじめたころ。
池の水面に淡い朱や黄がにじみ、庭全体がやさしい光に包まれていました。
まだ満開前の紅葉も落ち着いた美しさがあり、鮮やかさよりもしっとりとした秋の始まりを感じさせます。

毎年秋には庭園がライトアップされ多くの人でにぎわう人気スポット。

やがて日が傾き庭のあちこちに灯りがともると、昼の穏やかな庭が少しずつ幻想的な世界に変わっていきます。
空の青が深まり、紅葉の赤が浮かび上がる・・・この移ろいの時間が松雲山荘の醍醐味。
薄暮の時間に移ろう光の表情を楽しむのもおすすめです。
11月中旬になると庭一面が炎のように輝く見頃を迎えます。
満開の頃の様子は柏崎市から提供いただいた写真でご紹介します。

※写真提供:柏崎市

灯りに照らされたもみじが池に映り、水と光と紅が溶け合う幻想的な風景。
満開の光景は息をのむほどの美しさで、写真越しでもその迫力が伝わります。

【2025年のライトアップ期間】

11月6日(木)~11月30日(日)/日没(17時ごろ)~21時

期間中は隣接する木村茶道美術館も夜間特別開館され、灯りに照らされた紅葉を眺めながら、茶席で一服を楽しむこともできます。

柏崎ならではのお土産や温かいドリンクを扱う臨時カフェも、入口前に登場。

期間限定の営業なので、訪れた際はぜひ立ち寄ってみてください。
【アクセスメモ:松雲山荘駐車場情報】
・赤坂山公園第4駐車場(有料1台1,000円・約30台)  

ライトアップ期間中17:00〜21:00(平日)9:00~21:00(土日祝)
正門まで徒歩1分。木村茶道美術館の500円割引券つき。

・赤坂山公園第3駐車場(無料・約40台)  
出入り自由。正門まで徒歩7〜8分。

・剣野小学校駐車場(無料・臨時・約100台)  
ライトアップ期間のみ開放。18:00〜21:00(平日)9:00~21:00(土日祝)  
正門まで徒歩2〜3分。
※学校行事等で利用できない場合あり。
静寂の朝に始まり、文化の香りに包まれた昼を経て、 夜の松雲山荘で秋はいっそう深く息づきます。
光と紅葉が描く一夜の風景に心までやわらかく染まるような、忘れられない紅葉めぐりになりました。
松雲山荘

松雲山荘

住所:新潟県柏崎市緑町3
電話:0257-20-7120
開園期間:4月1日~11月30日(冬季閉園)
開園時間:9:00~17:00
※紅葉ライトアップ期間は21:00まで延長(2025年は11月6日~30日)
入園料:無料

エリア

長岡・柏崎エリア

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この記事を書いた人
古川綾子(綺麗道きれいどう)

昔から受け継がれてきた新潟の食や伝統、暮らす人たちの「こころ」を後世に繋ぎたいアラフォーママ。
新潟市秋葉区在住。普段は薬膳・畑の野菜・食を愉しみながらカラダを調えることに情熱を燃やしています。
ブログ: https://note.com/ayafull