秋山郷結東温泉かたくりの宿でグランピングとアートを楽しもう。大人も子どもも夢中になる大地の芸術祭作品「妻有双六」/津南町


2021年09月04日 1042ビュー
十日町市と津南町で3年に一度開催される「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」。2021年、今夏がその開催年でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大により延期となりました。私も大地の芸術祭を楽しみにしていた一人としてとても残念です。

ただ本祭は延期となりましたが、リニューアルした施設や新しい作品も実は発表されています。さらに7月には2022年夏の開催を目指すとの方針も出て、来年に向けてワクワク感が募っています。

そこで今回はこの夏に発表された作品の一つで、大人も子どもも楽しめる一押し作品「妻有双六」と新しい滞在の形としてグランピングを始めた「秋山郷結東温泉かたくりの宿」を体験レポートします。秋まで楽しめるので、混雑を避けて楽しんでくださいね。

宿に生まれ変わったのは、地域の思いのつまった学校

「秋山郷結東温泉かたくりの宿」は大地の芸術祭エリアの中でも最南端に位置します。 「越後妻有里山現代美術館 MonET」や、まつだい「農舞台」などの主要施設からも距離があるので、足を運んだことがない方も多いかもしれません。しかし、わざわざ行くだけの価値がある!と私が自信を持ってお薦めするのが、秋山郷であり「秋山郷結東温泉かたくりの宿」です。

津南町の中心地から車を走らせること20分。右も左も山に囲まれた谷間のくねくね道を登っていった先に「秋山郷結東温泉かたくりの宿」は佇んでいます。 
こちらの宿は見ての通り、元々は学校でした。1992年(平成4年)に閉校となったこの学校には108年の歴史があります。

その間、極僻地のために義務教育免除地に指定され十分な教育を受けられなかった期間もあり、この地の人にとっては学校があるということは希望であり、心のよりどころでした。

そんなふうに地域の中で大切にされてきた学校が今は外の人を受け入れる宿泊施設として生まれ変わっています。

体育館に巨大スゴロクが出現

そんな宿の体育館に、今回ご紹介する作品「妻有双六」はあります。

この作品を作ったのはインスタレーション作家の原倫太郎さんと画家の原游(はらゆう)さんによるアーティスト・ユニット。大地の芸術祭をはじめ、瀬戸内国際芸術祭でも体験型の作品を発表しています。

体育館に入った瞬間、カラフルなスゴロク場にワクワク。 とにもかくにも、まずは体験!入り口に貼ってある「遊び方」と「注意事項」をしっかり読んで、やってみましょう。
まずはコマ(キャラクター)を選びます。コマになっているのはクマやヘビなど、この地域に住んでいる生き物やスキーヤーやマタギなどのこの地に暮らす人。

好きなコマを選んで、ゴロゴロと引っ張りながらスゴロクを進みます。サイコロを振ってスゴロクのスタート!

止まったマスに書かれている文を読むと……
その内容は芸術祭にちなんだものだったり……
この地域の暮らしや人が想像できるものだったり……
さらにはイベントが書かれているマスも!

そのイベントは学校内に残っていた楽器や道具を使って行うもの。卓球対決をしたり、合奏したり、子どもの頃に戻ったように楽しんじゃいました。
終わった頃にはみんな汗だく(取材時は8月中旬)。でもなんだかさわやかな気持ちになって、体育館を後にしました。

また、スゴロクで芸術祭のこと、地域のこと、学校のことを体感したからか、大地の芸術祭の里を回るのがより楽しみになりました。

注意事項にも書いてありますが、所要時間の目安は30分。かなりじっくり遊べる作品なので、時間には余裕を持って出かけることをお薦めします!

快適性重視で気持ちよくグランピング

さて、宿の外に出ると目に入るのは涼しげな白いテント。かつてグラウンドだった宿の庭ではグランピングも楽しむことができます。

今回は少しだけグランピングを体験させていただきました。
案内してくれたのは、グランピングを運営する太島吉秋さん。

キャンプ場の運営などアウトドア業界に15年以上携わってきた経験を生かし、過ごしやすさにこだわったグランピングサイトを作っています。
ポイントの一つがこのタープ。遮光性が高く、とっても涼しい!私もキャンプ経験がありますが、その違いを体感することができました!めちゃくちゃ快適です。

テント自体も通気性のよいコットンテントなので結露しないそう。キャンプの朝、結露のない快適さは経験者なら想像できるはず! 

女子会にピッタリ!

またテントの中は白を基調としたシンプルなデザインに、乙女心をくすぐるおしゃれな小物。同行していた女子たちも「わ〜かわいい〜」と大はしゃぎでした!

思わず写真を撮ってSNSに投稿したくなっちゃいますね。実はこのミニ三脚もテントに置いてあるので、気軽に記念撮影ができちゃいます。

虫対策もバッチリ!

さらに、女子にはうれしい虫対策も万全。虫除けや虫とり網はもちろん、こんなものも。

「虫電撃ネット」なんか強そうです……!もしもの際はお試しあれ。

またそれぞれの付属設備には使い方のメモが貼ってあります。「こういう心遣いうれしい」と女子たちも大喜び。

自動チェックインなど、コロナ対策も実施している中で、こういった人の温かさを感じられるのはうれしいポイントですね。

温泉は校長室で

(写真提供:秋山郷結東温泉かたくりの宿)

入浴は「秋山郷結東温泉かたくりの宿」の温泉を利用できます。

かつて校長室だった部屋を改装した温泉は、国内でわずか4%と言われる希少な泉質の「芒硝泉」。血管を拡張させて血液の流れを良くし、動脈硬化の予防に効果があると言われています。

食事はかたくりの宿の「秘境から生まれる料理」

(写真提供:グランピング かたくりの宿)

こちらのグランピングプランは1泊2食付き。朝夕の食事は「秋山郷結東温泉かたくりの宿」のメニューを味わうことができます。

こちらはもうお馴染みの方も多いと思いますが、地域の食材・調理法を使った和風創作料理です。

宿の管理人・渡邊泰成さんに料理にかける思いを伺いました。
(写真提供:グランピング かたくりの宿)

「できるだけ地元のもの、宿に近いものを使うようにしています。春は山菜、夏前に木の実を摘み、夏は野菜、秋はきのこ。この地域の食材は素材そのものがおいしい。重視してるのは地元の食材、地元の料理の仕方をベースにして自分たちなりのやり方でアレンジしていくこと。そうやってこの秘境秋山郷を料理に詰め込んで楽しんでもらいたいと思っています。

例えば春に採れる山菜は大量に保存し、1年間さまざまなメニューに登場。それも山の恵みと雪国の人々の保存の知恵があってこそ。料理をいただくことで、「おいしい」だけでなく、地域の素材や人々の暮らし、生き様まで感じられるところが「秋山郷結東温泉かたくりの宿」ならではの魅力です。

また、目にも美しい創作料理は外から入ってきた若いスタッフのアイデアが重なったもの。私も何度かいただいたことがありますが、地元に住んでいても「これなに?味付けは?」と興味津々。都会の方はもちろん、新潟県内の方にとっても新しい発見があり楽しめます。

その地にあるもの、そして新しい視点。この二つが共存する「秘境から生まれる料理」はぜひ一度味わっていただきたいものです。
 

よりダイレクトに秋山郷を感じてもらいたい

こちらのグランピングはかたくりの宿とは別に太島さんが運営しています。かたくりの宿は場所と料理、温泉の提供という形で関わっています。そもそも、なぜそのようなコラボが実現したのでしょうか。その経緯と思いを「秋山郷結東温泉かたくりの宿」管理人の渡邊泰成さんとグランピング運営者の太島吉秋さんにお話を聞きました。

「もともとグラウンドはお客様に自由に使ってもらっていたのですが、あまりうまく使えていなくて。キャンプとかできたらいいんだろうなと思っていたんです。それに、料理も本当は外で食べたら気持ちいいだろうなと。」

そう話す渡邊さん、太島さんからグランピングの提案があったとき、ぜひやりましょうとお返事したと言います。 
太島さんはグランピングを薦める理由をこう教えてくれました。

「リアルな自然を感じてもらいたいんです。夏の朝、蝉が一気に鳴き始める瞬間とか、山から雨がザーッと降ってくる瞬間とか、そういった自然の移り変わるときの音やその時間に触れてほしい。宿に泊まるよりもより自然を近くに感じられる場所です。」

実感を込めてそう話す太島さん。実は子どもの頃、よく秋山郷に遊びに来ていたと言います。

「釣りをしたり、山を歩いたり。妻と結婚する前も、よく一緒に来ていたんですよ。」

子どもの頃の楽しかった思い出、そして家族との思い出、そのそばにあったのは秋山郷の移りゆく大自然だったのです。 
そんな太島さん、実は津南町の隣の旧中里村(現十日町市)出身。現在も十日町市内に住んでいます。出身地でも居住地でもない津南町のことをなぜそんなに好きなのでしょうか。太島さんは少し考えた後に、こう話しはじめました。

「僕は津南の高校に通っていたんです。在学中に、全国高校駅伝競走大会に出たんですよ。そのとき、地域の皆さんにすごく応援してもらって。うれしかったですね。そのことが強く記憶に残っています。」

津南町への思いの根底には、多感な学生時代に触れた地元の人たちの温かさがありました。

秋山郷の自然や人々の温かさが、一人ひとりの人生にどのような影響を与えるのか。太島さんは、それを身をもって知っている一人。 だからこそ、もっと多くの人に秋山郷を体験し、新しい旅のスタイルを提案していきたいと語ってくれました。

五感で楽しむアートな旅を

私たち人間を大きな力で包み込んでくれる大自然、そのもとで生きてきた人たちの暮らしや知恵、秋山郷をかたちづくるそれらをさまざまな表現方法で体現するのが、「妻有双六」であり、かたくりの宿の料理であり、グランピングです。

ぜひ五感を研ぎ澄ませてお楽しみください。


※グランピングとかたくりの宿の運営は別になります。グランピングのお問い合わせは下記「グランピング かたくりの宿」まで。
グランピング かたくりの宿

グランピング かたくりの宿

住所:新潟県中魚沼郡津南町結東450-1
TEL:090-8255-2891
happycompany.smile@gmail.com

料金:17,800円(1泊2食付き、1名様)
※基本の土日料金です。料金は変動しますので、詳しくは公式サイトをご確認ください。

定員:2名(キャンプエアーマット追加で最大5名様まで利用可能)

秋山郷結東温泉かたくりの宿

秋山郷結東温泉かたくりの宿

住所:新潟県中魚沼郡津南町結東450-1
TEL:025-761-5205 (9:00~16:00)
FAX:025-761-5206

秋山郷結東温泉かたくりの宿

この記事を書いた人
諸岡江美子

千葉県出身。津南町と妙高市の二拠点居住。一児の母。 築150年の古民家を民泊として開きながら、フリーで編集・執筆をしています。雪国の暮らしの知恵が大好きで、地域のじいちゃんばあちゃんから教わったことを日々研究中。