知られざる上越の食を丸ごといただきます! 妙高のご当地グルメ『妙高七五三(なごみ)御膳』を食す【グルメ旅後編】/妙高市
真冬の楽しみ方は、雪を眺めるだけではありません。四季折々の自然の中で育まれた食材をいただくのも、妙高市での冬の思い出を色濃くしてくれます。前回は、妙高七五三の湯にちなんだご当地グルメ『妙高七五三(なごみ)御膳』をめぐるグルメ旅に出掛けました。
地のものはその土地で食べるのが一番おいしい。後編では、老舗の宿泊施設『妙高・山里の湯宿 香風館』と『赤倉ホテル』にお邪魔して、それぞれの料理人の腕と個性が光る妙高七五三御膳をいただくグルメ旅に出掛けます。
眺めのいい温泉もセットで 個室でゆったり御膳を堪能『妙高・山里の湯宿 香風館』
妙高高原駅から徒歩15分、妙高温泉街の一角に構える『妙高・山里の湯宿 香風館(以後、香風館)』。香風館は1922年(大正11年)創業、開業以来絶え間なく流れ続ける源泉掛け流しの温泉とノスタルジックな雰囲気が漂う老舗宿です。
しんしんと降り積もる雪と静寂さの中で体を癒したあとはお待ちかねの『妙高七五三御膳』。メニュー開発にあたって香風館の女将である加藤春美さんにお話を聞きました。
「香風館では、春夏秋冬ごとに旬の食材を自家製みそと出汁で煮込んだお汁物、春なら姫竹の竹の子、秋は木野子(きのこ)、冬ですと妙高スキー汁をいただけます。他にも、今回メニュー開発にあたってご協力してもらった料理研究家のレシピを参考にしました」(加藤)
今回は、コロナ禍が落ち着いていた頃に、自身で食材を持ち込んだ料理研究家から伝授されたレシピをもとに、妙高産の素材で仕上げた『ますますポークソティー』、『妙高産きたあかりのかんずりマヨネーズのポテトサラダ』、『2種の季節の果物のかんずりクリームチーズサンド』、『生野菜サラダかんずりドレッシング添え』の4品をご紹介してもらいました。
一度食べると虜になってしまう人が増えているそうです。
それでは、さっそくいただきます!
まずは、メインディッシュから。噛めば噛むほどぎゅっと旨味があふれてくる2重に巻いたポーク。まろやかなクリームソースがあいまってお肉なのにあっさりと、口の中で広がるのは妙高産の木野子の本潤な香りです。
見た目が鮮やかな生野菜は妙高産。ポテトサラダで使用するジャガイモは妙高ブランドの『きたあかり』、甘みが強いのでポテトサラダ特有の油っこさを感じさせない味わいです。
さらに素材の良さをいただく生野菜に、妙高市の発酵食である生かんずりを加えて仕上げたかんずりマヨネーズを一滴、もう箸が止まらない。妙高市でしか食べられない生かんずりは、妙高産の唐辛子を塩麹に3年間漬けて、熱を加えずに生のままいただく。香りと旨味が格段に違っていて、香風館ならではのかんずりドレッシングの作り方といえるでしょう。
おいしい。
何度も何度もそう言葉をこぼしたのがこの一品。旅館ではなかなか見かけない、クリームチーズサンドを一口いただくと「えっ、おいしい。ワインを飲みたい」と一人興奮を隠せませんでした。香風館では、日本のワインの父である川上善兵衛が開いた『岩の原ワイン』をいただけるため、ぜひクリームチーズサンドと一緒にご賞味してほしい。
御膳の7品の内容 |
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使用している 妙高産食材 |
かんずり、妙高産コシヒカリ、妙高産きたあかり(じゃがいも) 妙高産野菜(大根・玉葱・トマト・白菜・野沢菜) |
使用している 妙高産発酵食品 |
かんずり、自家製味噌、鮎正宗の玄米甘酒 |
妙高・山里の湯宿 香風館
住所:妙高市大字関川643-11
営業時間:
入浴 10:30~15:00
七五三御膳 11:30~13:30(事前予約、個室対応、入浴可能)
定休日:なし
駐車場:あり(30台)
席数:20席(4名×5室)
※5~40名の会食場あり
コース形式で一品ずつ提供 ホテルメイドの和洋折衷御膳『赤倉ホテル』
続いて、1816年(文化13年)から続く温泉郷の赤倉温泉街を訪れました。標高1000メートルに位置する赤倉温泉街で開湯当初から構えてきた赤倉ホテル。館内からは、濃淡様々な白い雲で覆われた景色の雲海と出会えます。
「妙高市は複数の温泉郷があって、赤倉温泉街の湯質は特別なんです」と赤倉ホテルのスタッフさんに教えてもらいました。
お湯に浸かると肌がすべすべになる美人の湯、四季を感じられる開放的な空間と合わせてゆったりと過ごすと小さな幸せが見つかる温泉です。
こちらでいただいたのは赤倉ホテルの総料理長がメニュー開発した妙高七五三御膳です。総料理長にホテルならではのこだわりを伺いました。
赤倉ホテルの妙高七五三御膳は、伝統の技術で和洋折衷に仕上げたコース料理。妙高産の素材は良いものが揃っているため、ヘルシーにいただけるようにひと工夫を加えているそう。
「妙高産のコシヒカリと野菜のお寿司は、地元の冬菜であるカブや湯葉を使用しています。もともと、麹漬けの漬物でお寿司を作りたいと考えていたので、今回をきっかけに可愛さを感じられる野菜寿司ができました。また、妙高産の野菜は豊富なため、料理で大切な見た目と素材自体が主張できる色合いを心がけました」
妙高産の素材で心を奪われたのは、ぷるっぷるでクリーミーなおぼろ豆腐。作っているのが、お隣にいる妙高観光局の馬場さんのご両親だそう。
「父と母で営む小さな豆腐屋さんです。地元の皆さんがこうして好んで使ってくれるのはうれしいですね」(馬場さん)
濃厚なおぼろ豆腐と野菜にも相性が良い、総料理長の手作りのサラダ用のドレッシングもおいしい。かんずりと味噌、ビーツ、とうもろこしそれぞれは妙高産のものを使い、副菜の役割に収まりきらない一品です。
口いっぱい、頬張りたい。
メインディッシュは、ゴロゴロの和牛をコトコトと煮込んだシチューです。お箸でホロホロと崩れてしまうほどの柔らかさ、お肉の旨味がシチューと混ざって最後の一杯までおいしくいただけました。
最後にいただくデザートは、見た目麗しい盛り付けと手の込んだ味わい、旬のフルーツが添えられるもの。
「今回、妙高七五三御膳では共通した枠組みで作られてきました。とはいえ、私自身は他にないものを作りたい。そう思えたのも、お客様にはここ妙高市で新しい食の発見をしてほしいからです。
妙高山のふもとで育まれた野菜や山菜、いかに必要な分だけで価値を伝えるのも私たちの役割だと思っていますし。恩恵を受けているからこそ、その幸せを共感できるものを提供したいのです」
御膳の7品 |
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使用する 妙高産食材 |
山菜、野菜、米、豆腐、かんずり、甘酒 |
使用する 妙高産発酵食品 |
かんずり、太田醸造味噌、鮎正宗の玄米甘酒 |
赤倉ホテル
住所:妙高市赤倉486
営業時間 9:00~21:00
七五三御膳 12:00~12:30(事前予約、入浴可能、個室可能)
定休日:なし
駐車場:あり
席数:20席
妙高七五三御膳の味をご自宅でも楽しめる
妙原高原観光案内所では、妙高七五三御膳で提供されたジェラードが販売されています。フレーバーは全5種類(『鮎正宗酒造の玄米甘酒』『かんずり』『MYOKO COFFEEのコーヒー』『太田醸造のみそ』『ミヤトウ野草研究所の野草炭』)、大人気につき売り切れていましたが、現在は購入ができます。合わせてチェックしてみてくださいね。
須弥山の宿 田端屋 妙高七五三御膳:2,888円(税込)
御膳の7品 |
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使用する 妙高産食材 |
お米(つきあかり)、ずいき、根曲竹、かんずり、妙高笹ヶ峰高原産ハチミツ |
使用する 妙高産発酵食品 |
かんずり、鮎正宗の玄米甘酒、妙高笹ヶ峰高原産ハチミツ |
須弥山の宿 田端屋
住所:妙高市杉野沢2468
営業時間:7時~22時
七五三御膳:11時~14時
定休日:なし
駐車場:あり(20台)
席数:40席
空飛ブウサギ 妙高七五三御膳:2,500円(税込)
御膳の7品 |
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使用する 妙高産食材 |
くびき牛、竹の子、コシヒカリ、丸なす、季節の野菜 |
使用する 妙高産発酵食品 |
かんずり、太田醸造味噌、鮎正宗の玄米甘酒 |
空飛ブウサギ
住所:妙高市杉野沢229-2
営業時間:
チェックイン15:00、チェックアウト10:00
七五三御膳 11:00~13:00、17:00~20:00(要予約)
定休日:不定
駐車場:あり(30台)
席数:50席
陶芸の宿エペレ 妙高七五三御膳:2,000円(税込・温泉入浴料込)
御膳の7品 |
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使用する 妙高産食材 |
かんずり、ナス、シシトウ、ふきみそ、玄米甘酒 |
使用する 妙高産発酵食品 |
かんずり、太田醸造味噌、鮎正宗の玄米甘酒 |
陶芸の宿エペレ
住所:妙高市大字関川2275-53
営業時間 10:00~16:00
七五三御膳 11:30~13:30(入浴可能)
定休日:水・木曜日(不定休あり)
駐車場:あり(6台)
席数:7席
姫川原カフェ KOTARO- 妙高七五三御膳:1,500円(税込)個室席のご案内可能(1時間1,000円・税込、最大2,000円・税込)
御膳の7品 |
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使用する 妙高産食材 |
野菜3種、かんずり、甘酒など |
使用する 妙高産発酵食品 |
かんずり、太田醸造味噌、鮎正宗の玄米甘酒 |
姫川原カフェ KOTARO-
住所:妙高市姫川原2921
営業時間 11:00~17:00
七五三御膳 11:00~14:00(事前予約、個室対応可能)
定休日:月~木曜
駐車場:あり(7台)
席数:16席
妙高七五三御膳 モデルコース
新潟県生まれ、東京、沖縄を経て地元新潟にUターン。2021年2月、三条市の中央商店街に本屋「SANJO PUBLISHING」を立ち上げ、“まちを編集する本屋さん”をモットーにまちの魅力を集め、届けています。 まちを編集する本屋「SANJO PUBLISHING」(https://note.com/ncl_sanjo)