越後妻有 大地の芸術祭2022 ~企画発表会に行ってきました! 編~(十日町市/津南町)


2022年04月15日 6388ビュー
2000年(平成12年)の第1回から3年に1度開催されてきたアートトリエンナーレ「越後妻有 大地の芸術祭」。
本来は2021年の開催でしたが、コロナ禍のため延期。満を持しての2022年の開催となります。
 
いよいよ今回の概要が発表されるということで、3月下旬に開催された「企画発表会」におじゃましてきました♪
 
今回はその模様をレポートしながら、「越後妻有 大地の芸術祭2022」の注目ポイントなどをご紹介します!

十日町市と渋谷で同時開催

企画発表会は、東京(渋谷)と十日町市で行われるとのことで、私は十日町市の方へ行ってきました。
新潟市にはもう雪のかけらもない時期なのですが、十日町市内は道路に雪は無いものの、まだご覧の残雪。
さすが豪雪地帯…。
企画発表会は、越後妻有文化ホール「段十ろう」と渋谷ヒカリエを中継を結んでの同時開催。また、その様子はオンラインでも配信されました。

「越後妻有 大地の芸術祭」とは?

越後妻有地域(十日町市、津南町)を舞台に2000年(平成12年)から開催されている、世界最大級の国際芸術祭。現在、日本各地でさまざまな地域芸術祭が開催されていますが、そのパイオニアでもあります。
野外に展示されるさまざまな作品をはじめ、廃校や空家、トンネルなどを丸ごと活用した作品や、イベントやツアーなども開催され、アートを道しるべに里山を巡る新しい旅は国内外から注目を集めています。

前回(2018年)開催時は約54万人の来場者を記録しました。

今回は4月末~11月までの長期開催!

まずは実行委員長である関口芳史十日町市長のご挨拶。
“トリエンナーレ”という名称を外すなど、「新たなチャレンジをする決断をした」と関口市長。関口市長のお言葉をお借りしながら、まずは今回の概要をご紹介します。
 
これまでの芸術祭は、夏をメインとした50日程度の開催期間でしたが、今年はなんと4月29日(金・祝)~11月13日(日)と6カ月以上におよぶ開催。期間中は火・水曜日が休み(一部作品を除く)になるとのことで、それもこれまでと異なる展開です。
休みを除き計145日の長期開催となります。
夏を待たずに田植えシーズンの春から楽しめる…そして稲刈りシーズンの秋まで!

新型コロナウイルス対策も万全に

ここからは事務局長の樋口さんによる説明から。

開催期間を長期にしたというのもコロナ対策の一環のようですが、今回は「検温スポット」を各方面16カ所に設置。鑑賞する日のスタートには必ず立ち寄ってもらい、検温で問題が無ければリストバンドが支給されます。(リストバンドがないと鑑賞できません)

検温スポットは越後湯沢駅などにも設置するそうなので、新幹線からの乗り換え時などにも簡単にできそうですね。

今年は新作を含む合計333作品!

続いては渋谷ヒカリエから、総合ディレクターの北川フラムさんが登場。
今回の概要と注目の新作などを紹介していただきましたよ。
今回は、新作および新展開の123点を含む計333作品というラインナップ。
作家は38の国と地域から263組が参加。

春にはまだ鑑賞できない作品もあり、これまでの開催期間である夏場が最も充実するそうですが、春や秋にしか楽しめないものもあるそうです。

注目の新作をご紹介!

それでは、ここからは北川フラムさんによる作品紹介の中から、特に注目の作品を駆け足でご紹介!
たくさん紹介していただいたのですが、ここではほんのちょっとだけ…(^^;)

●越後妻有里山現代美術館 MonET(モネ)
越後妻有里山現代美術館[キナーレ]から越後妻有里山現代美術館 MonET(Museum on Echigo-Tsumari)に改称し、2021年7月にリニューアルオープンした、芸術祭の拠点でもある美術館。
常設作品の入れ替えが行われたので、以前訪れたという人もフレッシュな気持ちで楽しめそう。
期間中の展開については、北川さんいわく「夕方はぜひ見ていただきたい」とのこと。「世界的にも相当美しい空間、(他では)ちょっと見られない美しさ」…気になります!
 
また、期間中は2週間ごとの特別企画展「大地の芸術祭2020-2022 追悼メモリアルシリーズ ー今に生きる越後妻有の作家たち」も開催されます。
これは、これまでの大地の芸術祭とゆかりが深い作家たちのいわゆる追悼展で、4/29~のジャン=リュック・ヴィルムート展を皮切りに2週間ごとに作家を変えて、11月まで12名の作家の企画展が開催されます。

コロナ禍でこの2年間、お別れの会ができなかったので」という北川さんの言葉通り、作品を鑑賞しながら故人を偲ぶことができる企画展ですね。


●布施知子(日本)【十日町:うぶすなの家】
(写真:作家提供)
新潟県出身で、世界的に知られる折り紙作家。
日本では(まだ)あまり知られていないとのことですが「世界一の折り紙作家。とにかく超絶技巧」と北川さんも激押しです。


●パノラマティクス/齋藤精一(日本)【十日町:美佐島駅】

Photo by Nakamura Osamu
トンネル内にホームがある珍しい駅として知られる、ほくほく線 美佐島駅での強烈な光を駆使したアート。
乗車しないと見ることができない作品となっています。


●マ・ヤンソン/MAD アーキテクツ(中国)【中里:清津峡渓谷トンネル】

Photo by Nakamura Osamu
 
人気の清津峡渓谷トンネルは、終点のパノラマステーションが有名ですが、昨年、途中の第2見晴所にて新作が公開されました。
※パスポートで入坑料金が割引になります。
※入坑には事前予約が必要な期間があります。
 (4/29~5/8、7/30~8/21、10/29~11/6)


●イリヤ&エミリア・カバコフ(旧ソビエト連邦/アメリカ)【松代:手をたずさえる塔】
Photo by Nakamura Osamu
 
ウクライナ出身のカバコフ夫妻は2000年の芸術祭から参加している最も縁の深いアーティストの一組。名作≪棚田≫や≪人生のアーチ≫はご存じの方も多いのでは?
昨年の12月に完成し、お披露目となった≪手をたずさえる塔≫は、コロナ禍において世界が分断されていく中で、世界中の人々が国や民族、階層、地域、年齢を超えて手をたずさえ、平和な世界の実現を祈るモニュメント。(昨今のウクライナ侵攻が始まる前に既に完成していました)
 
発表会ではカバコフさんからのビデオメッセージが流されるとともに、夜のライトアップの様子も生中継されました。
ライトアップ期間は既に始まっていて、日によって照明の色が異なるそう。
(色にも意味があるようです)

多彩なパフォーマンスにも注目!

●カン・タムラ(アメリカ)【津南:越後妻有「上郷クローブ座」】
Photo by Kioku Keizo
 
さまざまなパフォーマンスが鑑賞できる劇場、そしてレストランが併設の越後妻有「上郷クローブ座」では、二十四節気が楽しめる映写室を新設。
過去に大好評だった地元の女衆(おんなしょ)によるパフォーマンスレストランも夏からオープン予定です。

●田中泯(日本)【十日町:越後妻有里山現代美術館 MonET】
©Madada Inc. (Sayaka Shimada撮影)
 
夏に期間限定でMonETに登場する中谷芙二子さん(日本)の≪霧の彫刻≫での田中泯さんのパフォーマンス(舞踏)は3日間で5回を予定。
 
他にも、昨年の東京オリンピックでのパフォーマンスが記憶に新しい森山未來(日本)や、大地の芸術祭ではおなじみの鬼太鼓座(おんでこざ・日本)など盛りだくさんで、「いつ行けばいいの!?」と今から迷ってしまいますね( ̄▽ ̄;)
 
今回ご紹介したのはほんの一部です。
注目の作品はまだまだたくさんあります!
なにせ新作だけで123点もあるんだから~!!
 
詳細はぜひ大地の芸術祭のホームページをチェックしてみてください。

食も、宿も、日帰りバスツアーもあり!

旅の楽しみとして欠かせない「食」も感染症対策を行いながら各所で展開。「何とか提供できるようになった」と北川さん。

また、泊まれるアート作品もおおむね4月29日~オープンします。
※一部、雪解け後や6月からという作品もあり
 
そして、オフィシャルバスツアーもおすすめ。
越後湯沢駅発着のガイド&ランチ付きの日帰りバスツアーで、春・夏・秋でそれぞれ2本ずつの定期コースがあり、他にも「オール津南」や「アーティストメモリアル」などをテーマにしたツアーも企画しているそう!
 
詳しくは大地の芸術祭 公式HPを…!


北川さんによる怒涛の作品紹介の次は、再び十日町会場から。
ほっかむりをした女衆がステージに登場。食事が楽しめる「TSUMARI KITCHEN」と「うぶすなの家」のスタッフの方々です。
※うぶすなの家は宿泊も可能
皆さんで「エイエイオー!」(会場の参加者は心の中で)と気合を入れました。
 
最後は、副実行委員長の桑原悠津南町長のご挨拶。
万全なコロナ対策のもと、来場者と地域の人々の両方がたくさんの笑顔を咲かせることができるよう、お待ちしています!」と締めくくりました。
 
雪解けの季節からいよいよ始まる今回の芸術祭。

開幕後も引き続き芸術祭の様子をお伝えしたいと思いますので、どうぞお楽しみに!
ツアーなんかも参加してみたいなぁ…(´ω`)
 

今ならパスポートが早期割で購入可能

お得な作品鑑賞パスポートは、通常料金が一般:4,500円高校・専門・大学:3,500円(いずれも税込)(中学生以下は無料)ですが、なんと7/29までは「早期割」で、それぞれ1,000円オフ(いずれも税込)で購入できます。
長く楽しめる上にお得という、いいことづくめの料金設定♪ これは早めに買うしかないですよね!!

しかも、MonETなどいくつかの主要な施設は、パスポートがあれば3回まで入館でき、その他の施設も2回目以降はパスポート提示で半額で入館できるという優れものです。
※清津峡渓谷トンネルなど、パスポートだけでは鑑賞できない(パスポート提示で割引になる)場合もあります

★ちなみに、パスポートはこの「にいがた観光ナビ」でもオンライン販売していますよ。

おまけ:第2部にもおじゃましました

企画発表会の後は、会場をMonETに移して、大地の芸術祭サポーター「こへび隊」のキックオフ会が開催されました。(こちらも渋谷と映像を結んで同時開催)
こへび隊」とは、作品制作のサポートやさまざまな会場運営のお手伝いをするボランティアのこと。

キックオフ会では、大地の芸術祭を盛り上げようとしている津南中等教育学校の生徒6人のグループ「LINKS」の活動紹介や、サポーター同士がこれまでの関わりや芸術祭に対する想いなどを語り合う時間が設けられました。
芸術祭は、こうしたこへび隊の皆さんによる活動にも支えられているんですね。
サポーターとして関わるという参加の仕方も…アリですね!
 
繁忙期には、東京からもボランティア用の「こへびバス」が運行されるようです。
「宿泊とか、どうすればいいの?!」など、こへび隊に興味がある方は、ぜひこへび隊HPでチェックしてみてください。
越後妻有 大地の芸術祭 2022

越後妻有 大地の芸術祭 2022

開催日程/
2022年4月29日(金・祝)~11月13日(日)全145日
※ 全期間を通じて、火・水曜日は休み(一部作品施設は通常営業)
※ 5月3日(火)・4日(水)は祝日のため開催
開館時間/
●4/30~9/30…MonET、農舞台 10:00~18:00、通常作品10:00~17:00
●10/1~11/13…MonET、農舞台 10:00~18:00、通常作品10:00~16:00
※一部例外作品・施設あり

この記事を書いた人
ケバブー

長岡生まれ新潟育ち。 ​
郷土料理からラーメン、地酒やスイーツまで新潟の食を広く愛するフォトライター。