古民家の老舗だんご屋で味わう革新の味「江口だんご本店」/長岡市


2022年05月06日 5417ビュー
創業明治35(1902)年。今年で120年を迎える長岡の老舗団子店「江口だんご」。
本店は里山の豊かな自然が広がる長岡市宮本にあります。国道から目に入る大きなお団子のオブジェが目印。1500坪の敷地には古民家2軒を再生して作られた店舗兼喫茶と、蔵を改装したカフェを展開し、昔懐かしい笹だんごやちまきから、和風のテイストを生かしたプリンやピザまで幅広い商品を揃えているのが特徴。一歩足を踏み入れるとさながら和菓子のテーマパークような空間が広がっています。

店舗に入る前から物語は始まる

お店の入り口までのアプローチはふたつ。冠木門をくぐり雁木の下を歩いて行くのがまずひとつ。まるで一昔前の街並みを体感しているような気分が味わえます。
そしてもうひとつが店舗正面にある長屋門をくぐって庭を通り抜けていくアプローチ。こちらはまるで時代劇に出てくるVIP待遇の登場人物気分でお店に向かうことができますよ!
お店に入る前に、天井の低い路地のような廊下を抜けて…
店内に入ると吹き抜けの大空間が眼前に広がります。おいしい和菓子を買う前から心躍る楽しい体験の始まりですよ。古民家を再生したこちらの店舗がオープンしたのは2005年のこと。そこには社長の江口太郎さんの、新潟の住文化に対する熱い思いがありました。
江口さんは20代の頃、大分県の由布院で菓子作りの修業をしていました。そこで古民家を再生した茶寮に出会ったのです。古い建物でも照明や調度品など見せ方を演出したり、現代に合わせて設備を整えたりすることで魅力的な空間になることに衝撃を受け、その空間に一目惚れしたのです。さらにそれが新潟県から移築されたものだったことにも驚きました。「本来なら地元の人たちが、その土地の住文化の価値に気づき守っていくべきものではないか」。太郎さんは「地元に帰ったら古民家を再生した店舗でお客さまをもてなしたい」と考えるようになったのです。
江口だんご本店の1階店舗部分は、旧長岡藩家老の屋敷を再生した空間です。ホームページには「二尺近くある欅の差し鴨居を商い処の吹き抜けを囲む梁として再生」と紹介されています。江口さんは「このお店を訪ねた方にはぜひ空間そのものも楽しんでほしい」と話します。古民家好きの私にとっては訪れるたびに「古民家ワンダーランド」を堪能しています。
庭は散策もでき、和菓子を買った後にお店のまわりをゆっくり歩くだけでも気持ちが和やかになり、癒やされます。
店舗の2階は甘味喫茶になっています。こちらは十日町市の農家のかやぶき古民家を再生した空間です。
桜の季節は窓が額縁効果をもたらし、まるで1枚の絵画を見るようなビューを楽しむことができます。桜の見頃は例年4月中旬から下旬にかけてだそうです。
店内にはお抹茶のお手前ができるようなしつらいがあります。毎日お茶の先生がいらっしゃって、抹茶をオーダーした人に点ててくれるのだとか。先生が不在のときも「きちんとお稽古に通って先生からOKをもらったスタッフ」が点てて提供してくれるそうです。

あの映画監督も絶賛!江口だんご自慢の和菓子ラインナップ

江口だんごはAKB48のミュージックビデオ『So long !』のロケ地としても使われました。MVの監督を務めたのは大林宣彦さん。映画『この空の花 −長岡花火物語』の撮影の際にご縁ができたことで江口だんごを気に入り、長岡に来ると「あのお団子が食べたいねえ」と、何度も訪れていたそうです。巨匠を魅了した「あのお団子」こと「五色だんご」(5本入り・915円)がこちらです。
お持ち帰りして自宅でお皿に並べてみました。左からこし餡・抹茶・胡麻餡・みたらし・海苔になります。監督は特にみたらしがお気に入りだったようです。お団子はすべて1本から買えます。みたらし3本、抹茶2本などのように、自分のお好みでオーダーすることもできますよ!
※以下金額はすべて税込
和菓子の定番のひとつ、ぼたもちです。その名も「里宮大正餅むかしぼたもち
消えかかっていた幻の餅米「大正餅」を復活させて作ったお餅は、程よいコシとなめらかな口当たりが特徴。あんこは北海道産の大粒の小豆を使っています。一口食べてびっくり!まるでつきたてのお餅のようです。素朴な美味しさは世代を超えて愛される一品という印象を受けました。(6個入り・864円)
こちらも定番商品の笹だんごちまきです。すぐに食べないときは冷凍保存が出来ますよ。この笹だんごは平成15年6月に天皇・皇后両陛下がご巡幸で長岡に宿泊された折に、献上してご賞味を賜った一品だそうです。(笹だんご5個・860円/ちまき5個・きな粉2袋付き・860円)

老舗が挑戦する革新の味、みたらし3部作

江口だんごは新しい味にも挑戦しています。江口さんが「みたらし3部作」と語るシリーズをご紹介。まず最初に開発したのが「だんご屋プリンみたらし」です。
プリンのカラメルはほろ苦い味わい。甘塩っぱいみたらしのタレもプリンと合うのではないか…そんな思いから誕生しました。これは一口食べて驚愕の美味しさ!見た目も可愛らしくお持たせにも最適です。
ほかに餡をきめ細かくした「あずき味」「ごま味」があります。(いずれも324円)
次に開発したのは、甘味喫茶で提供するかき氷の「みたらしミルク」です。こちらは5月上旬頃から提供予定です。
みたらしと乳製品の相性が良いことに気づき、さらに挑戦したのが何と「みたらしベーコンチーズ」の冷凍ピザ!米原料で作ったもちもちのピザ生地の上に、みたらしソースを掛け、そこにチーズと、山桜でいぶした添加物不使用の県産ベーコンを乗せてあります。甘さと塩辛さのループが口の中で広がり、ほかでは味わえない美味しさです。
ほかにりんごをバター、砂糖、ラム酒、シナモンで煮詰めて国産マスカルポーネチーズの上にのせた「りんごとマスカルポーネ」なども販売しています。いずれもミニサイズで食べやすく、ちょっとしたおやつや夜食にもピッタリですよ。(1枚・324円)

月をテーマにしたカフェ雪甘月

古民家を用いた本店を開店してしばらくした頃、江口さんは里山の夜空に浮かぶ月を見て「いつか月をテーマにした商品を扱う店を造ろう」と思いました。その思いが形になったのが、2009年にオープンした本店の奥にある「カフェ雪甘月(ゆきかんげつ)」です。こちらは上越市にあった蔵を移築改装したそうです。
1階の店舗では雪甘月ロール(440円)、雪甘月シュークリーム(187円)、雪甘月プリン(385円)などを販売しています。
カフェスペースは1階と2階にあります。1階がシンプルモダンな内装なのに対し、2階は和のテイストあふれる空間が広がっています。
丸い月をイメージしたロールケーキ「雪甘月ロール」はプレーンなタイプ(手前)と、日本最北の茶処・村上市の「冨士美園」の特別仕上げ番茶を使用したものと、2種類があります。分厚くカットされており、ふわふわの質感がたまりません。

お土産にぴったり!長岡名物の醤油赤飯をお手軽に味わおう

2020年のコロナ禍では県外往来を控える人が多かったですよね。ゴールデンウィークやお盆などの帰省時に食べようと楽しみにしていた人たちから「江口だんごさんの醤油赤飯が食べたい」という声が多く寄せられました。
その声になんとか応えたいと開発した商品が「郷土Cooking」です。餅米2合、金時豆、しょうゆダレ、白ごまがセットになっており、1ヶ月程度お日持ちするため、お土産や贈答にピッタリの商品です。もちろん地元の方が家で手軽に炊きたての醤油赤飯が食べたいというときにも便利な一品です。(左から醤油赤飯・900円/五目醤油赤飯・1,296円/鮭醤油赤飯・1,296円)
作り方はいたって簡単。餅米をとぎ、10時間以上水につけておいた金時豆と醤油だれを加え、2合分の水を入れたら、炊飯器のスイッチを入れるだけ。それでおいしい醤油赤飯を炊きたてでいただくことができるのです。

休日限定の焼きたてだんご

土日祝日の午前10時から午後4時限定で、焼きたて串だんごの販売も行っています。
場所は長屋門の駐車場側になります。
2本で190円。手焼きで仕上げており、お焦げが香ばしく、とろりと温かいみたらしのタレが口の中に広がり、美味しさにウットリしました。
現在はコロナ禍を受けてお休みしていますが、日本の伝統行事を次世代に伝えていきたいと、観桜会や月見会、七夕などのイベントも行ってきました。こちらは状況が落ち着き次第、また再開したいと考えているそうです。

また7月には醸造の町・摂田屋に新店舗もオープン予定。こちらも由緒ある古民家を改装したお店で、摂田屋のものを使った商品も考えているとのこと。今から楽しみですね!

■江口だんご本店
 住所:新潟県長岡市宮本東方町52-1
 TEL:0258-47-4105
 営業時間:午前9時から午後6時(喫茶は午前10時から午後5時30分・ラストオーダーは午後5時)
 定休日:元旦のみ

■カフェ雪甘月(江口だんご本店敷地内)
 営業時間:喫茶は午前10時から午後5時・ラストオーダーは午後4時30分)
 定休日:水曜日(祝日は営業)

江口だんご本店

エリア

長岡・柏崎エリア

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グルメ
この記事を書いた人
aco-akko

アート、映画、文学、建築、カフェ巡り、旅行が大好き。 日常にあるキュートなものを見つけるべく日々アンテナを巡らせています。