180年続く辛口の伝統 麒麟山酒造の酒蔵探検は今がおすすめ/阿賀町


2023年08月11日 2601ビュー
こんにちは
ごっつぉLIFE編集部ANNEXの「もなか」です。

にいがた・あいづの魅力を、そこに暮らすヒトへのインタビューなどによって発信するWEBマガジン「にいがた・あいづ ごっつぉLIFE」。毎週水曜日に更新しています。
 ※"ごっつぉ"とは、食べ物の"ごちそう"だけでなく、大切な場所、時間など、その人にとって"特別なこと"を意味します。

ごっつぉLIFE編集部ANNEXでは、これまで登場したヒトが暮らす地域をもう一度訪ね、本編の"ごっつぉLIFE"とは異なる視点でその魅力を掘り下げ、おでかけ情報を発信していきます。
にいがた・あいづ地域の"ごっつぉ"と言えば、お酒を外すことはできません。
このエリアは酒蔵の数も多く、それぞれの個性を競っていますが、先に"ごっつぉLIFE"に登場した阿賀町の「麒麟山酒造」さんでは、昨年に続き2023年も、酒蔵見学実施中との情報。さっそく伺ってきました。
ちょうど今年、創業180周年を迎えた「麒麟山酒造」の「麒麟蔵」。
阿賀町津川の「とんぼの通り」に面した場所にあります。・・・阿賀町では、雨や風から歩く人を守ってくれる雁木のことを、「とんぼ」と呼んでいます。
酒蔵といえば大きな杉玉がお出迎え。そして今日の「蔵見学」を御案内いただくのは、専務取締役長谷川さん、製造部リーダー伊藤さん、営業部の梅田さんです。
左から、麒麟山酒造の伊藤さん、長谷川さん、梅田さん

酒蔵見学は、昨年からと伺いました。始められた理由は何でしょうか。
長谷川さん
「これからは、感染症の影響で少なくなっていたお客様との直接的なコミュニケーションを、深めていきたいと考えて、仕込みが始まるまでの期間、蔵見学に取り組むことにしたのです。」

なるほど。伊藤さん、梅田さんのご案内でいよいよ酒蔵へ。
 
歴史を感じさせるしめ飾りと、近代的な設備が好対照です。
仕込みに使われる巨大なタンクが整然と並びます。その数、左右に分かれて14基

伊藤さん
「この蔵には、180年分の増改築の歴史が刻まれています。このタンクの中で、お米、麹、水を、一定の温度で、約1か月という長い時間をかけて、じわじわと、ゆっくり溶かすことでお酒を仕込んでいきます。じっくり時間をかけることによって、辛口のお酒ができあがります。」

辛口のお酒は、ゆっくり時間をかけて仕込むことが大事なんですね。
仕込みの工程は、はじめに、精米した酒米の洗米、浸水、そして蒸米をつくるところから

伊藤さん
「お米への水の吸わせ方、水分量の管理がとても大切になります。酒の仕込みは3回に分けておこないますが、その都度、水の吸わせ方を変えていきます。水分量の計測と調節は、大量に仕込むために機械を使いますが、何パーセントに決めるか、そのためにどれだけの時間浸水するかは、年ごとに異なります。米づくりから手がけている麒麟山だからこそ経験、感覚がものを言います。少量生産の吟醸酒などは人の手で仕込み、その年の米の吸水性などを掴んで、機械の設定に反映させたりもします。」
 
続いて、麹室で蒸米と麹菌を使って、麹をつくります。麹は、米のデンプンを分解して糖に変える働きをするそうです。
伊藤さん
「よい麹づくりは、お酒の風味を作り出すためにとても重要です。麒麟山の特徴は、2つの部屋で2つの段階を踏むことです。これにより、突き破精麹(つきはぜこうじ)といって、タンクの中でじわじわと反応が進み、お米の旨みとキレイな余韻のあるお酒をつくる麹になります。できあがると、蒸し栗のような上品な香りが立ってきます。」

 
次に、酒母をつくります。酒母は、麹が分解した糖をアルコール発酵させるための酵母を育てます。

伊藤さん
「酒母は、蒸米、麹、水に、酵母を加え、12日間かけてつくります。麒麟山伝辛のキレを出すため、酵母には、たくさんの泡が上がってくるタイプを選んでいます。今では、この酵母を使う蔵は少なく、県内では麒麟山の他に数社しかありません。」

泡を抑えるために、泡消器を使います。とても手間暇がかかりますが、このおかげで、伝辛のすっきりした辛さが生まれるんですね。
それから、もろみの仕込みに入ります。

伊藤さん
「仕込みのタンクは、高さが約5メートルあって、ここに酒母、麹、さらに蒸米と水を投入して、もろみを仕込みます。先ほどお話ししたとおり3回に分けて、一つのタンクに約4トンの原料を入れていきます。そして約3週間かけて、じわじわと発酵させていきます。仕込みには、温度管理がとても大切で、発酵段階に応じて7~15℃を目安に管理しています。」

一か月近くもの長いあいだ、タンクの環境をずっと見守っていくんですね。なんだか、お酒を育てていくような感覚です。
こうしてできあがったお酒を、板のついた装置で搾り酒粕を分離。その後火入れして、多くのファンの皆さんがお待ちかねの、麒麟山のお酒が誕生します。
 
大変おまちどおさまでした。お酒造りを学んだ後は、いよいよ利き酒タイムです。
伝統的な蔵のその奥に、雰囲気あふれる試飲カウンターと商品ラインナップ
とてもシックなしつらえですね。
商品には、麒麟山180周年をデザインした木升などの器も。
なんとお隣には、玉川堂さんの器!
藤岡染工場さんコラボの手ぬぐいも "ごっつぉLIFE"に登場された皆さんのチカラを感じます!
これで「伝辛」を包んでみたり、注いで、味わったりできたら格別ですね。
伊藤さん
「酒蔵見学を予約いただいた方には、「超辛口」、「伝辛」、そして「やわらか」の3種類を飲み比べていただくことができます。そしてここでは「伝辛」の、とっておきの飲み方をご紹介しています。」

えっ、それは何ですか?
伊藤さん
「「伝辛」は、お燗がとっても合います! 55℃くらいで、ものすごくボリュームがでます。 こちらではこうして、常温と、燗酒の飲み比べもできます。」

そうだったんですね。
伊藤さん
「それだけではありません。こちらの見学には1,000円をいただきますが、最後にお土産として、「伝辛」と「おすすめ商品」、そして今年のみ180周年を記念した「木升」がついてきます。これはヒジョーにお勧めですよ。」

今回取材に伺った時点の「おすすめ商品」は、なんと新商品「麒麟山レモネード」!
「麒麟山レモネード」は、「伝辛」の原酒と瀬戸内レモンの組み合わせ。たくさんの試作を繰り返して、2022年6月に誕生したお酒(※アルコール度数5%)ですって。

これはお勧めです。この他にもお酒の仕込みに使用している水など、ご紹介しきれません。
これは皆さん、もう麒麟山酒造さんを訪ねていただくしかありません!
蔵見学は9月までなのでお早めに。ご予約はインターネットからどうぞ。
お酒が誕生するまでの知識が学べるうえに、麒麟蔵の周辺には、麒麟の姿に似た阿賀町のシンボル「麒麟山」や、その姿を水面に映す「常浪川」、歴史ある温泉など、お酒を育んできた阿賀町の魅力を伝えるポイントもたくさん。
これから緑深まる季節。ぜひ、阿賀町に足を運んで、味わってくださいね。

麒麟山酒造株式会社

〒959-4402
新潟県東蒲原郡阿賀町津川46
電話:0254-92-3511
FAX:0254-92-5166

<蔵見学(麒麟蔵)>
事前予約制となっています
実施期間 5月〜9月上旬
※見学可能日はホームページの蔵見学カレンダーをご覧ください
案内時間 ①10:00〜 ②14:00~ ③15:30~(土曜日のみ)
所要時間 60分(蔵内見学・試飲その他)
見学料金 1,000円(20歳以上お一人当たり。蔵見学お土産付き!)
定員 7名まで
駐車場 あり

この記事を書いた人
ごっつぉLIFE編集部ANNEX

にいがた・あいづの魅力を発信するWEBマガジン「にいがた・ あいづ ごっつぉLIFE」
ごっつぉLIFE編集部ANNEXでは、これまで登場した方のスピンオフ編として本編の「ごっつぉLIFE」とは異なる視点で地域の魅力をご紹介しますのでお楽しみに♪