にいがた地酒列車と酒蔵見学の旅/上越市・糸魚川市
今回はイベント列車で酒が飲めるということで、にいがた地酒列車と酒蔵見学のイベントツアーに参加してきました。
燕三条から柏崎~直江津とバスで行き、直江津駅から貸切の特別列車えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインで糸魚川へ行く行程です。
日帰りで丸1日、日本酒に酔いしれる充実日程でした。
普段は子供もいるので基本的にクルマでしか移動しない私、初めての経験にドキドキワクワク。
列車旅の醍醐味は旅の途中でも酒が飲めること。
そして流れていく綺麗な景色を観ながら酒が飲めること。
さてさて行ってみましょー!
たびのはじまり!
今回のツアーの企画・主催はトラベルマスターズさん!(協力:新潟県日本酒振興室)
価値のあるこだわりの旅を演出する新潟県内に会社がある旅行会社さんです。
こちらのバスへ乗車します。
バスに乗り、高速道路で上越方面へ向かいます。
バス車内では添乗員さんが地域の情報や文化・歴史などを案内してくれます。
新潟県民でありながら、知らないことばかり。その地域のいろいろな情報を説明してくれます。
ツアーで添乗員さんがいると、移り変わる景色を眺めながら想像を膨らませる、そういった楽しみもありますね。
全国でも2箇所! 道の駅の酒蔵へ
なんと、ここは道の駅内にある酒蔵なのです。
道の駅に酒蔵があるのは、全国でも2カ所だけ。(筆者調べ)
私は酒はもちろんのこと、クルマで移動することが多く道の駅も大好きなので、ここには酒蔵と道の駅がどちらもあり夢のような場所です!
さらには長峰温泉「ゆったりの郷」、農産物直売所「四季菜の郷」、食事処「くつろぎ長屋」も併設されています。
温泉に直売所にお食事処まで!
今回は酒蔵「よしかわ杜氏の郷」のみの訪問ですが、ここだけで1日中満喫して楽しめそうな空間です。
他の施設はまた次回の楽しみに取っておきましょう!
また、よしかわ杜氏の郷の名称にもなっている「杜氏(とうじ)」とは酒造りの最高製造責任者をいいます。
日本三大杜氏とは、兵庫の丹波杜氏、岩手の南部杜氏、そして新潟の越後杜氏が有名です。
その中でも、新潟の越後杜氏は勉強熱心な方が多かったため、全国各地に誘致され、現代の日本酒造りの基礎があるそうです。
よしかわ杜氏の郷内は見学できるように上記写真のように内部に覗き窓が設置されており、それぞれの工程を順番に見て回ることができます。
大きな甑(こしき)ですね。
甑とは酒米を蒸すための大型のせいろのようなものです。
あと30分ほど早ければちょうど蒸米をしている光景が見れたそうです。ざんねんー!
実際に造っている人からお話を聞けるのは貴重な経験です。
しかしながら、ご安心ください!
案内がなくてもよしかわ杜氏の郷は見学ウェルカムな酒蔵なので、それぞれの工程に説明の看板が設置されています。
酒造りの工程がわからない方にもわかりやすく解説されています。
製麹室も窓越しに見れます。
大きな仕込みタンクがいくつも並んでいるのが見えます。
仕込みタンクでの発酵は種類にもよりますが、一般的に20日ほどかけて行います。
ここで原酒と酒粕に分離されます。
先程の上槽(しぼり)の状態でそのまま瓶詰めされ出荷すると「生原酒」になりますが、一般的な日本酒は出荷前に2回の火入れと加水を行い調整し出荷されます。
ちなみにこの「火入れ」はアルコールは70℃で飛んでしまうので、65℃くらいの温水で行われます。
いくつも酒蔵見学をさせてもらっていますが、この光景は初めて見ました。
まさにこれから瓶詰めが始まる直前なのでしょうか。
以上のような生産ラインで、よしかわ杜氏の郷では1日1升ビン換算で3,000本製造されるそうです。
よしかわ杜氏の郷の酒を試飲!
酒蔵見学のあとの試飲は、ストーリーを直に感じられて格段とうまいですよね。
まずは看板商品の「有りがたし 純米酒」
飲んでみると、、、濃醇な米のコクがガツンと感じられます。
それもそのはず、この酒はなんと精米歩合90%!
こだわりの地元産山田錦をほとんど磨かず10%しか削ってないのです。
逆の発想でほとんど磨かない。だからこそ、この特徴的な濃厚なコクが醸し出せるのです。
飲んでみると100%ゆずジュースかと思うような、飲み口爽やか。
ゆずのみずみずしい甘酸っぱさの中に、純米酒の旨みとまろやかさが追いかけてきます。
ソーダで割ったらゆず純米酒サワー!爽やかなくちあたりが格段とアップしそうな予感。
酒蔵でしぼりたての生原酒はたまりません。
他にもたくさんの種類の酒を試飲でき楽しませてもらいました、道の駅にある酒蔵「よしかわ杜氏の郷」でした!
また次回、温泉や直売所も楽しみに訪問したいと思います。
道の駅 よしかわ杜氏の郷
■〒949-3449 新潟県上越市吉川区杜氏の郷1番地
■TEL.025-548-2331
■営業時間 10:00 ~ 18:00
■定休日 月曜日(月曜日が祝祭日の場合は翌日)
「酒博士」の記念館
坂口謹一郎博士は酵母菌やペニシリン、イノシン酸の研究や国産ワインの醸造など、日本の発酵学を応用化学の広い分野に発展させた、応用微生物学の世界的権威です。
特に日本酒の研究の成果を数々の著書に残しており、「酒博士」として親しまれました。
なんで泡盛?と疑問に思うことなかれ。
ここ坂口記念館と、坂口博士の出身である東京大学の生協でしか販売されていない幻の泡盛を試飲できるのです!
この泡盛は、黒麹菌使用の世界でも希少な酒。
1935年坂口博士が沖縄の造り酒屋を周り、黒麹菌を採取していたそうで。
その後1945年には沖縄戦により首里の酒造所が壊滅し、それに伴い黒麹菌も全滅してしまったそうです。
しかし、坂口博士が東大の研究所で凍結乾燥保存した黒麹菌が奇跡的に残っており、その黒麹菌を1998年に沖縄県の瑞泉酒造が持ち帰り、60年にも及ぶながーい眠りから幻の泡盛を復活させたのです。
話を聞きながら期待感が高まり、さっそく口に含むと、芋焼酎かと思うような豊かな香りが感じられます。
泡盛でもこんなに芳しい香りがするものがあるんだと驚き。
ストレートでいただいたので、水割りにしたら香りがやわらかになり、くちあたりもちょうど良くなりそうです。
アルコール度数は30度なので、かなり重厚感のある飲み口で、この泡盛に一番適した飲み方はロックかなと思います。
ゆったりと贅沢な時間に嗜むのがピッタリです!
昔はほとんどが木で造られていたんだなぁと当時の酒造りの様子をうかがい知ることができます。
廃業してしまい、現在はない酒蔵の瓶があったり、初めて見る昔のラベルや表記の酒瓶があったりで、とても興味深かったです。
坂口記念館を後にし、にいがた地酒列車に乗車のため直江津駅へと向かいます。
坂口記念館
■〒942-0121 新潟県上越市頸城区鵜ノ木148番地
■営業・開館時間 10:00~16:00
■電話 025-530-3100
■休業日 月曜日(休日にあたるときはその翌日)、休日の翌日、年末年始(12月28日から翌年1月4日まで)
例年12月から翌年2月までの間は冬期一部休館を行っており、開館日は以下のとおりとなります。
酒杜り館:土曜日、日曜日、祝日のみ
楽縫庵:利用の予約があった日のみ
※詳細は坂口記念館ホームページをご覧ください。
■料金 〇酒杜り館入館料 310円(中学生以下は無料)、団体(15人以上)は1人230円
〇楽縫庵和室使用料(1時間につき)
中座敷 170円
酒の間 170円
雪椿の間 170円
■交通アクセス(電車)JR、えちごトキめき鉄道 「直江津駅」からタクシー、レンタカーで20分
■交通アクセス(車) 北陸自動車道「柿崎IC」から20分 北陸自動車道「上越IC」から20分
にいがた地酒列車でレッツゴー
貸切特別列車にいがた地酒列車です。
えちごトキめき鉄道のブルーの車体に、海の中を連想させる生き物が描かれています。
海沿いを走る車体ならではのペイントですね。
さらには通路上の看板には本日の日本酒ラインナップ。
貸切列車で、人数確認が完了したので出発です!
ちなみに、このにいがた地酒列車では、行き糸魚川方面で3種類の酒、帰り直江津方面でまた別の3種類の酒がテーブルに用意されるとのこと。
ホテルハイマートさんの駅弁は全国区の賞も受賞しているおいしい駅弁です。
海老にサザエ、ニギスのフライ!海沿いならではの海鮮たっぷりの内容。
まずは「かたふね 本醸造 生貯蔵酒」
かたふねは新潟県上越市にある竹田酒造店の酒。
新潟と言えば淡麗辛口のイメージがありますが、竹田酒造店は米のコクを引き出した旨みがのった酒を醸すのが印象的です。
ちなみにプチ情報として「かたふね」、漢字では「潟舟」と書きます。
「生貯蔵酒」とはしぼった酒を火入れなしで貯蔵・熟成させ、出荷前の瓶詰めの際に加熱処理を行う酒です。
生酒のまま貯蔵した旨みがのった味わいにひんやりとした印象の爽快感が感じられます。
次にいただいたのは「雪中梅 普通酒」
かつて、越乃寒梅、峰乃白梅と並び、越後三梅と謳われた雪中梅。当時は滅多に手に入らなかった極上の酒。
醸すのは上越市にある丸山酒造場。
ふんわりとした印象のまろやかな口あたりの普通酒。
地元の上越産米を使用し、雪中梅ならではの上質な甘みとキレのよさがありました。
行き列車の最後にいただいたのは「君の井 山廃 純米酒」
君の井酒造は新潟県妙高市にある酒蔵。
お家芸ともいえる伝統の山廃を得意とする酒蔵です。
飲んでみると、、、山廃ならではの芳醇で特有の深ーい香りが感じられます。
君の井酒造では、蔵に棲み着く天然乳酸菌の力を活用しています。山廃仕込みの丁寧な造りが浮かんでくるようです。
これは今の時季、温めても表情を変えてうまい酒になる味わいです。
いろいろな酒を楽しみながら、席が一緒になった方達とお話ししているうちに目的地の糸魚川駅に到着しました。
ヒスイの街、糸魚川
お隣にはヒスイ王国館なるものもありますね。
糸魚川はヒスイの街、国石としても糸魚川ゆかりのヒスイが登録されています。
糸魚川のヒスイは約5億2000万年前にできたもので、「世界最古のヒスイ」といわれているそうです。5億、、、とてつもない太古のものなんですね。
次の目的地、加賀の井酒造まで街中を歩いていきます。
初めてヒスイを触ってみました。
とてもひんやりしていて大理石のような感触です。かなり硬度が高そうな石です。
糸魚川大火の復興後に再建された、きれいな雁木通りとなっています。
糸魚川の街中は2016年12月に大火が発生し、147棟もの建物が焼損しました。
それから7年、街の人たちは力を合わせながら街を復興させています。
越後なのに加賀? 糸魚川の名酒「加賀の井酒造」
新潟越後なのになぜ「加賀」?それには由来があるのです。
江戸時代(1652年)に加賀百万石・加賀前田家が参勤交代の際に使用する糸魚川本陣がこの加賀の井酒造内に置かれ、加賀藩の藩主や家老に献上されていたそうです。
そのような繋がりから酒銘「加賀の井」は加賀前田家3代目の前田利常公より命名され、受け継がれたそうです。
全焼の一部だけ残った建物がありました。
他の建物は全て新しく建設されましたが、この建物は保存され、歴史を紡いでいます。
まずは左、純米大吟醸。
日本酒に使用する水としては軟水多いですが、加賀の井では珍しい中硬水の仕込み水を使用しています。
やわらかな味わいと純米大吟醸の上品な香りが感じられます。
次に真ん中、特別純米を飲んでみると、純米大吟醸とは対照的な米の旨みがしっとりとある味わいに仕上がっています。
最後に右、純米酒 超辛口をいただきました。
日本酒度+15度の超辛口。辛口酒といわれる中でも、+15度は滅多にお目にかかれません。キリリとシャープな後味が特徴的です。
加賀の井酒造
■住所 〒941-0061 新潟県糸魚川市大町2-3-5
■電話 025-552-0047
■メール kaganoi@cocoa.ocn.ne.jp
■定休日 不定休(土、日、祝日は事前に要連絡)
■時間 午前10時から午後5時まで(見学所要時間 約30分)
■人数 1名様から30名様くらいまで
■内容 酒造棟外部から製造工程(洗米セクション・仕込室・貯蔵室・瓶詰室)のご案内
■駐車場 あり。大型バス駐車可
■予約 スタッフからの案内及び、試飲希望の場合は2日前までに要予約
にいがた地酒列車たびの帰路につく
加賀の井、謙信、月不見の池の3種類の酒を飲み比べ。
帰りの列車でも、「加賀の井 純米酒 超辛口」をいただきました。
辛口・キレの良さが特徴的に仕上がっているので飲み飽きせずいつまでも楽しめる味わい。
奥にあるのは「謙信 上撰」。
スッキリとした香りが印象的な酒で、どの料理でも合わせやすいオールマイティな優等生のような酒です。
謙信を醸す池田屋酒造は、糸魚川駅の日本海からすぐのところにある酒蔵です。今回訪れた糸魚川駅の方向とは反対側にあります。
謙信はどれを飲んでもうまいおすすめの酒です。
最後は「月不見の池 吟醸 生貯蔵」。
生酒をそのまま瓶詰めし、出荷時に一度だけ火入れをする生貯蔵酒。
飲んでみると、、、生酒のフレッシュさがありながら、熟成された旨みも併せ持っています。今の時季、鍋料理にピッタリな酒です。
月不見の池を醸す猪又酒造は糸魚川市の少し山側、早川沿いにある酒蔵。
猪又酒造には看板猫(あんこちゃん・きなこちゃん)がいて、ネコラベル酒を出しています。
さらにはネコラベル酒の売上の一部は動物愛護団体に寄付されています。ネコ好きは酒を楽しみながらネコを助けることもできる特別な酒ですね。
帰路でも景色と旅仲間たちと共にオール糸魚川の酒で思いを馳せます。
1日まるごと日本酒を堪能できるツアーとなりました。
それぞれの酒蔵にはそれぞれ特徴的な味わいがあり、上越地方の酒を中心に味わい尽くすことができました。
また、たびの醍醐味は初めて会う人たちとの交流でもあります。
初めて会った方たちと、移り変わる景色を眺めながら酒を飲みながら語らいあう。そんな贅沢を体験できました。
さて次はどこの酒蔵を訪問しようか、、、 ご覧いただきありがとうございました。
そして今回の関係者・出逢った方々全ての人へ、楽しいたびをありがとうございました!
エリア
- 妙高・上越・糸魚川エリア
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