新津に誕生した「泊まれる劇場スロウプハウス」宿泊記/新潟市
2024年04月05日
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こんにちは!ライターの竹内ありすです。
昨年11月、新潟市秋葉区新津にゲストハウスが誕生しました。
昨年11月、新潟市秋葉区新津にゲストハウスが誕生しました。
秋葉山の麓の住宅街、坂の途中にある、その名も「泊まれる劇場 スロウプハウス」です!
素敵な古民家を舞台に過ごす、感性が研ぎ澄まされるひととき。ゲストハウス初心者が泊まってみました!
坂をのぼってたどり着く「スロウプハウス」
新津駅から歩いて20分ほどで、やって来ました!
趣のある古民家に、爽やかなグリーンののれんが目印のこちらが「泊まれる劇場 スロウプハウス」です。
建物に入ると広々とした空間。入口奥にある、カフェスペースを兼ねたカウンターでチェックインを行います。
カウンターの両側には、小上がりのスペースが。部屋の片隅に並ぶ本やレトロな雰囲気のキッチン…… どんな時間が待っているのか、わくわくしてきました。
さて、そもそも「スロウプハウス」とはどのような建物なんでしょう?
さて、そもそも「スロウプハウス」とはどのような建物なんでしょう?
もともとは江戸時代の武家屋敷を80年前に移築したというこちらの建物。新津で栄えた石油産業の関係者の邸宅でしたが、4年ほど前から空き家になっていました。
宿泊施設がない状態が続いていた新津エリアに「気軽に泊まれる場所を」と、地元のまちづくり会社・パッチワークAKIHAが購入したこちらの建物。リノベーションをしてオープンしたのが「スロウプハウス」なのです!
建物を詳しく見せてもらいました
せっかくなので、建物内の宿泊者のためのスペースを見せてもらいました。
こちらは和室。邸宅の雰囲気をそのまま残してあります。
宿泊者のためのリビング。キッチン設備が完備されていて、自炊もできます。
湯船のある広い浴室のほか、シャワースペースもありました。
そして2階へ……客室のエリアです!
落ち着いた雰囲気のダブルルーム。
部屋にあった柱を生かした機能的なツインルーム。
そして、今回私が宿泊するのはダブルルームでもツインルームでもなく、ドミトリールームです。
「ゲストハウスのドミトリー」というと、相部屋で二段ベッドのイメージがありませんか?
私はゲストハウスに泊まるのがほぼ初めてだったこともあり、ドミトリーでの宿泊はちょっとドキドキ。でも、こちら「スロウプハウス」は私のようなドミトリー初心者を優しく後押ししてくれるような空間でした!
「ゲストハウスのドミトリー」というと、相部屋で二段ベッドのイメージがありませんか?
私はゲストハウスに泊まるのがほぼ初めてだったこともあり、ドミトリーでの宿泊はちょっとドキドキ。でも、こちら「スロウプハウス」は私のようなドミトリー初心者を優しく後押ししてくれるような空間でした!
じゃじゃん!
ベッドが3台同じ部屋にあるのですが、それぞれ木の板でしっかりと区切られているんです。
中に入ってみるとこんな感じ。絵本が飾ってある!
まさに幼い頃から憧れていた、秘密基地みたいな雰囲気なんです。照明の雰囲気も優しくて、とっても落ち着く。荷物の整理をするついでにぼーっと座っていたら、うとうと一眠りしたくなっちゃいました。
私は大人一人で宿泊しましたが、家族で一緒にドミトリーを利用するのも楽しそうです!
近くの温泉「花水」であったまる!
「スロウプハウス」には2つの浴室があり、さっぱりと汗を流すことができます。さらに、少し足を伸ばしたところに素敵な温泉もあるので、今回はそちらで温まることにしました。
東新津駅から徒歩1分、大人気の日帰り温泉「花水」です。
ここのお湯はとろりとしていて、ちょっと石油の香りも。「石油の里・にいつ」らしい温泉です。とっても温まります!
私はのぼせるくらい温まってしまったので、休憩スペースでしっかり休んでから「スロウプハウス」に行きました。
「花水」から「スロウプハウス」までの道も里山の雰囲気が心地良いです。
ちなみに付近には「花水」の他にも、石油の香りが濃い!と温泉ファンの間で名高い「新津温泉」もありますよ。
ちなみに付近には「花水」の他にも、石油の香りが濃い!と温泉ファンの間で名高い「新津温泉」もありますよ。
オーナー夫妻に聞く、「スロウプハウス」に込めた思い
「スロウプハウス」のオーナーである、土田貴好さん・小倉藍歌さんご夫妻です。
二人は舞踊家としてダンスカンパニーを主宰し、新津商店街にダンススタジオを持ち、秋葉区内外でさまざまな芸術のイベントやステージを開催しています。活動を行う上で大切にしているのは、「職業としての芸術家ではなく、営みとしての、生き方としての芸術家を増やしたい」という思い。
二人は舞踊家としてダンスカンパニーを主宰し、新津商店街にダンススタジオを持ち、秋葉区内外でさまざまな芸術のイベントやステージを開催しています。活動を行う上で大切にしているのは、「職業としての芸術家ではなく、営みとしての、生き方としての芸術家を増やしたい」という思い。
「もともと私たちはゲストハウスが好きで、旅行のときはよく利用していました」と話すのは、藍歌さん。様々な土地で暮らすように滞在してきた経験からも、「街の風情と自然とがほどよく共存する秋葉区を盛り上げたい」という思いが生まれたといいます。
新津エリアに宿泊施設を作るプロジェクトを進める地元のまちづくり会社・パッチワークAKIHAとの思いがリンクし、「スロウプハウス」のオーナーを任された二人。
新津エリアに宿泊施設を作るプロジェクトを進める地元のまちづくり会社・パッチワークAKIHAとの思いがリンクし、「スロウプハウス」のオーナーを任された二人。
「地元の大工さんが工事を進めつつ、壁は地元の子どもたちに塗ってもらったり。インテリアや食器も秋葉区で作られているものや売られているものを探したり。ドミトリーの仕切りは、いつも私たちのダンスの公演で舞台芸術を担当してくださるデザイナーさんが設計して作ってくれたものです」(貴好さん)
「スロウプハウス」に到着してから何気なく「素敵だな」と思って見てきた景色は、一つ一つの要素にこだわりを詰め込んだ唯一無二の空間だったのです!
「スロウプハウスの壁を塗ってくれた子どもたちが学校帰りにここに寄って、“ここ私が塗った場所!”と誇らしそうにしています」と笑顔を見せる二人。多くの地元の方が建物づくりに関わったからこそ、「スロウプハウスを訪れた方にとって、この街のみなさんが案内人です」と表現します。
「スロウプハウスの壁を塗ってくれた子どもたちが学校帰りにここに寄って、“ここ私が塗った場所!”と誇らしそうにしています」と笑顔を見せる二人。多くの地元の方が建物づくりに関わったからこそ、「スロウプハウスを訪れた方にとって、この街のみなさんが案内人です」と表現します。
さらに最も舞踊家の二人らしいポイントが、こちらの小上がりのスペース!ここは劇場と呼ばれる場所で、「泊まれる劇場」の名前の由来にもつながります。
このスペースがパフォーマンスを披露するステージになる日もあるし、広い壁を生かして設置したプロジェクターを使って会議や映写会を行うこともできるのです。
このスペースがパフォーマンスを披露するステージになる日もあるし、広い壁を生かして設置したプロジェクターを使って会議や映写会を行うこともできるのです。
ドイツ・ベルリンでダンスの研鑽を積んだ経験を持つ二人。現地では市民にとって身近な存在だったという劇場の光景はとても印象的だったと振り返ります。
二人が「スロウプハウス」を訪れた方に託す願いは、「感性のスイッチをONにしてもらう」こと。
二人が「スロウプハウス」を訪れた方に託す願いは、「感性のスイッチをONにしてもらう」こと。
その思いは、燕市のブックカフェ店主に選んでもらったという館内の蔵書にも、「食べたものが身体を作っている」という食養生の考え方をもとにしたカフェメニューのラインナップにも現れています。
チェックイン前のカフェタイムにいただいた手作りのコーラとよもぎケーキも、味わい深くておいしかったです!
「ダンスカンパニーのメンバーの中にはお菓子づくりが上手な方がいるんです。「スロウプハウス」のスイーツメニューを担当してもらっています」と、貴好さん。
「ダンスカンパニーのメンバーの中にはお菓子づくりが上手な方がいるんです。「スロウプハウス」のスイーツメニューを担当してもらっています」と、貴好さん。
生産者からのメッセージを感じる「ナイトカフェ」
「スロウプハウス」にはナイトカフェタイムがあります。
夕食をこちらでいただくかどうかは、チェックインの時に希望を聞いていただけます。(さらにリクエストも聞いてくださったので、野菜とお米をしっかり食べたいとお伝えしました)
夕食をこちらでいただくかどうかは、チェックインの時に希望を聞いていただけます。(さらにリクエストも聞いてくださったので、野菜とお米をしっかり食べたいとお伝えしました)
腕をふるうのは、オーナーの貴好さん。作っていただいたのがこちらのプレートです。彩り豊かで見るからにおいしそう!ドリンクメニューも充実していたので、にごりの日本酒もオーダーしました。
驚いたのは、プレートの玄米や野菜、味噌などはほとんどが秋葉区で作られていること。
さらに、生産者について知ることができるコンテンツも用意されていました。一口一口、大切に噛み締めながら味わいたくなりますね。
この日は、近所に住む方が晩酌をしにナイトカフェを訪れていました。
この日は、近所に住む方が晩酌をしにナイトカフェを訪れていました。
「近くにあった食堂がなくなっちゃってね。ここができてから、また飲みに行く場所ができて嬉しいよ」(近所に住む方)あまりにおいしそうに日本酒を飲んでいるので、私ももう一杯……
さらに「スロウプハウス」のプロジェクトを立ち上げたパッチワークAKIHAの代表・馬場一也さんと、プロジェクトのメンバーであるタカツカ農園の髙塚俊郎さんともお話しすることができました。
「なんでも便利になってきた世の中だけど、昔から地元にあるものに目を向けたり、一つ一つの生活の営みを大切にしていく生き方も素敵だよね」というメッセージが心に響きます。
目の前にあるものをしっかり味わうことでもONにできるのが、「感性のスイッチ」なのかも。
「なんでも便利になってきた世の中だけど、昔から地元にあるものに目を向けたり、一つ一つの生活の営みを大切にしていく生き方も素敵だよね」というメッセージが心に響きます。
目の前にあるものをしっかり味わうことでもONにできるのが、「感性のスイッチ」なのかも。
お腹も心も満たされ、ドミトリーでゆったりと休むことができました。(読書もすごくはかどった!)
名残惜しいチェックアウト
「早起きして、近所を散歩するのもいいですよ」とおすすめされていたのに、気付けば朝8時!ドミトリールームのカーテンを開けると、「スロウプハウス」の前の坂を歩いてのぼる通学中の学生の姿が見えました。
身支度を整え、荷造りをして一階へ。あたりにはコーヒーの良い香りと、薪ストーブが醸し出すあたたかい気配が漂っていました。
身支度を整え、荷造りをして一階へ。あたりにはコーヒーの良い香りと、薪ストーブが醸し出すあたたかい気配が漂っていました。
オーナーの藍歌さんが淹れてくださったコーヒーを朝食に。ドイツ・ベルリンで親しまれる栄養豊富なお菓子、ブリスボールと一緒にいただきます。
私は普段から朝にコーヒーを飲むことが多いのですが、「スロウプハウス」で迎えた朝のコーヒーは格別でした。コーヒーの香り、舌ざわり、やわらかく立ちのぼる湯気など、一つ一つが大切に見えてきたのです。感性が研ぎ澄まされるって、こういうことなのかもしれません。
私は普段から朝にコーヒーを飲むことが多いのですが、「スロウプハウス」で迎えた朝のコーヒーは格別でした。コーヒーの香り、舌ざわり、やわらかく立ちのぼる湯気など、一つ一つが大切に見えてきたのです。感性が研ぎ澄まされるって、こういうことなのかもしれません。
「ここはまだ、まっさらなキャンバスなんです」と話す、藍歌さん。
ダンスのこと、音楽のこと、このまま時間を忘れて語り合いたくなります。
「今後も“泊まれる劇場”としてできることを増やしていきたいです。海外からアーティストを招いて劇場スペースで公演をしたり、体験ができたり。ここを拠点の一つとして、いつか秋葉区で芸術祭を開きたいですね」(藍歌さん)
ダンスのこと、音楽のこと、このまま時間を忘れて語り合いたくなります。
「今後も“泊まれる劇場”としてできることを増やしていきたいです。海外からアーティストを招いて劇場スペースで公演をしたり、体験ができたり。ここを拠点の一つとして、いつか秋葉区で芸術祭を開きたいですね」(藍歌さん)
「スロウプハウス」へ、みなさんもぜひ感性のスイッチをONにしに訪れてみてはいかがでしょうか。
泊まれる劇場 スロウプハウス
新潟県新潟市秋葉区秋葉1-6-20
TEL:090-8137-9023
宿泊
宿泊料金:ドミトリー1名 7,000円〜、
そのほかダブルルームとツインルームあり
チェックイン:16:00-21:00、チェックアウト10:00
※予約はホームページ、お電話、もしくは来館で可能。
※朝食を希望する方は予約時にお伝えください。
カフェ
ランチ:11:00〜14:00(水〜日営業)
カフェ:14:00〜18:00(水〜日営業、ラストオーダー17:30)
ナイトカフェ:18:00〜21:30(金〜日営業、ラストオーダー21:00)
※ナイトカフェの食事はフードロス削減のため予約制となっています。
今回訪れたスポット
この記事を書いた人
1995年新潟市生まれ。放送局での番組制作を経て、フリーランスのライター・ディレクターへ。 昭和歌謡と喫茶店、新潟の日本酒が大好き!もの・こと・人にまつわる、魅力あるストーリーをお伝えします。
Twitter→ https://twitter.com/atelier_aliswan