「酒の宿玉城屋」で味わう極上の温泉とフレンチ×新潟プレミアム日本酒ペアリング/十日町


2025年10月15日 29ビュー
新潟と長野の県境、山あいに佇む松之山温泉。

有馬、草津と並び日本三大薬湯と称される名湯の里に、一生に一度は訪れたい特別な宿があります。

それが「酒の宿 玉城屋」。

米どころ新潟の地酒と雪国の恵みを活かしたフレンチ。
酒匠オーナーが紡ぐペアリングで味わう、ここだけの贅沢。

しかも今回は新プラン「新潟プレミアム日本酒ペアリング」を特別に体験してきました。

松之山の湯とともに楽しむ極上のひとときへご案内します。

日本三大薬湯 松之山温泉とは?

車で新潟市から約2時間、東京方面から約3時間。
山あいにひっそりと湯けむりを上げるのが、日本三大薬湯のひとつ松之山温泉です。

この湯の正体は、なんと約1,200万年前の化石海水。

しょっぱさを感じるほどの濃い塩分とミネラルを含み、療養泉の基準値の15倍という圧倒的な成分量を誇ります。
上流には湯けむりが立ちのぼる湯やぐらが。

肌をやさしく包み込み、湯上がりにはポカポカ感が長く続く。
“効く“温泉として昔から知られてきました。

加えて、美肌成分として注目されるメタケイ酸も豊富。
一度浸かれば、体の芯から温まり、肌もしっとりとうるおう。

まさに「太古の海の恵み」を今に受け継ぐ奇跡のような温泉です。

酒の宿玉城屋で迎える最初のひととき

そんな温泉の里に佇む「酒の宿 玉城屋」は百余年の歴史を刻む老舗旅館。
4代目オーナーの手によって、フレンチと日本酒を楽しめる“美食の宿”として生まれ変わりました。
宿に到着すると、越後薬草蒸留所のオリジナルジンを使ったウエルカムドリンクでお迎え。
旅の始まりを爽やかに演出してくれます。
ノンアルコールのジンも。(写真左)

一息ついたら、いよいよ楽しみにしていた貸切サウナへ。

貸切サウナ「睡夢」でととのう贅沢

玉城屋から徒歩2分。
姉妹館「Ponshu Hotel 睡夢(すいむ)」では昼の2枠(12:00~/14:00~)だけ、特別に大浴場の貸切利用ができます。

玉城屋の宿泊プランには含まれませんが、宿泊の有無にかかわらず予約できる特別なオプション。
温泉とサウナを独占できる贅沢なひとときです。
ふわりと肌に優しいタオルやReFaのドライヤーなど、使い心地にこだわったアメニティも。

まずは奥にある広々とした温泉へ。
濃厚な温泉にゆったり浸かり、体をじんわり温めてからサウナへ。

魚沼杉の香りに包まれながら深呼吸を重ねると、じわじわと汗がにじみ出ます。
火照った体をシャワーで流し、松之山の清流を使った水風呂へ。
肌がきゅっと引き締まり、思わず声が漏れるほどの爽快感。

「はぁ~・・・心地いい。」

しばらく休めば体の力がすっと抜け、頭の中まで澄みわたるよう。
まさに“ととのう”瞬間です。
湯上り処も落ち着く空間です。

仕上げは1階バーラウンジでのオリジナルドリンクを。
貸切プランは嬉しい1ドリンク付き。

ノンアル派には、杉の香りのノンアルコールジンを加えた爽やかなオロポ風ドリンク。
(※オロポ=オロナミンCとポカリスエットを合わせた、サウナ愛好家に人気の定番ドリンク)
サウナ後の喉に心地よく染み渡ります。

アルコール派には、新潟市「LAGOON BREWERY」のクラフトサケ「HOP SAKEほっぺ」をソーダ仕立てで。
軽やかなホップの香りが広がり、まさにサウナ後のご褒美です。

ここでしか味わえない「温泉×サウナ×一杯」の三拍子そろった体験に、心から満たされました。

館内にはサウナアドバイザーさんも。

初めての方でも安心して楽しめるように、入り方やおすすめの過ごし方を気軽に教えてくれますよ。
Ponshu Hotel 睡夢

Ponshu Hotel 睡夢

新潟県十日町市松之山湯本60-1
貸切サウナプラン:1室105分 1万円~
(バスタオル・フェイスタオル・1ドリンク付き)
利用時間:12:00~13:45/14:00~15:45(要予約)

アートとお酒がテーマの露天風呂付き客室「椿」

ととのったあとは、いよいよ玉城屋のお部屋へ。
全8室のうち6室が源泉かけ流しの露天風呂付き。

今回は“アートとお酒”がテーマの「椿」に滞在しました。
十日町在住の織物アーティスト・滝沢梢さんの作品が彩られた広々とした空間。
窓が絵画のように景色を切り取り、ベッドは一流ホテルでも採用されるシモンズ製。
床は伝統の手仕事で細やかな凹凸が刻まれ、やさしい足触りを感じられます。
日本酒モチーフの照明やルームキーも遊び心たっぷりで、思わず写真に収めたくなるかわいさ。

源泉かけ流しの露天風呂は、十和田石と黒御影石を配したスタイリッシュな造り。
アメニティにも心配りがあり、竹製歯ブラシはお持ち帰り可能です。
ウエルカムスイーツのいちじくのタルトにも感動しました。
自然素材や地元作家の息吹を感じながら、ただ過ごすだけで心がほぐれていくようです。

大浴場と湯上り処で味わう癒しのひととき

せっかくなので色浴衣に着替えてから大浴場へ。

1階には色浴衣が並び、自由に借りられます。
飾り帯まで用意されているのが嬉しいところ。
扉を開けると、鮮やかな緑が目の前に広がる大浴場と露天風呂。
松之山温泉の湯は“濃さ”が自慢。

塩分をたっぷり含んだお湯が肌をきゅっと引き締め、湯上がりにはつるつるに。
薬湯と呼ばれる理由を体で実感できます。
冬の雪見風呂は格別だそうで、次はぜひ体験してみたいです。

湯上り処にはマッサージチェアのあるくつろぎスペース。
また、手作りの日替わり焼き菓子とハーブティーが並びます。
部屋に持ち帰ってゆっくり楽しめるのもありがたい心配り。
なんとアイスまで用意されていてビックリ!
ミルクとラムの2種類あり、買ってでも食べたいと思う程の美味しさです。
(睡夢で販売中とのこと)

極めつけは日本酒のフリードリンクコーナー。
時期がずれたものなど開栓済みのボトルが数種類並び、自由に飲み比べできるという日本酒好きにはたまらない仕掛けです。
冷えた酒器も用意されています。
しかもお酒のラインナップは毎日変わるので、新しい出会いがあるかもしれません。

新潟プレミアム日本酒ペアリング|希少な限定酒を味わう贅沢

2階ダイニングに足を踏み入れると、壁一面に並ぶお酒と酒器に思わず圧倒されます。

玉城屋の大きな魅力のひとつが、日本酒と料理のペアリング。
オーナー自らがその日のコースに合わせて一組ずつ仕立てる、ここでしか味わえない体験です。
4代目オーナー山岸裕一さん

利き酒師、酒匠(利き酒師の上位資格)、そしてソムリエの資格を持つ山岸さん。
国際大会で世界ベスト7位に輝いた経歴を持ち、日本酒の魅力を世界に伝えてきたプロフェッショナルです。

今回体験したのは、新潟県内でもごく限られた場でしか出会えない希少酒ばかりを集めた「新潟プレミアム日本酒ペアリング」。

中には一本数万円クラスの銘柄も含まれ、全6〜7杯で16,500円(税込)という贅沢な内容です。

胸を高鳴らせながら・・・特別なペアリングが、いま幕を開けます。

ミシュラン仕込みシェフが織り成す特別なフレンチフルコース

玉城屋のディナーを手がけるのは、東京の星付きフレンチ「リューズ」出身の栗山昭シェフ。
地元で自ら野菜を育て、狩猟免許まで取得するほど、食材の命に真摯に向き合う姿勢が光ります。

その取り組みが高く評価され、玉城屋は新潟ガストロノミーアワード2023旅館・ホテル部門審査員長賞を受賞、シェフ個人としても新潟ガストロノミーアワード2024若手シェフ部門を受賞しています。

旬の素材がシェフの感性によって一層引き立てられる、驚きと発見に満ちたフルコースの始まりです。

一品目 アミューズ×醸す森純米吟醸 カクテル仕立て(ほうじ茶+ハイビスカス+炭酸)

3種の小さなアミューズとともに登場したのは、酒匠オーナーと苗場酒造が生んだ「醸す森」のカクテル仕立て。(写真右)

ほうじ茶やハイビスカスを加えた爽やかなスパークリングで、一杯目から心を掴まれました。

うす黄色のドリンクはノンアルコールペアリングコースの一杯。(写真左)
和梨と洋梨、金萱茶を合わせたスパークリングで、アルコールが苦手な方も楽しめます。
二品目 玉蜀黍(とうもろこしの冷製スープ)
地元産とうもろこしの甘さに思わず驚くひと皿。
素材そのものの力を感じさせてくれます。
三品目 ズッキーニ×あべ十周年記念酒-白-純米大吟醸
ズッキーニのソテーに真鯛の昆布〆マリネ。
小さなまん丸の中にはチーズやトマトが優しく包まれています。

赤しそとトマトの鮮やかなソースが爽やかに絡み合い、目にも舌にも心地よい一皿。

繊細な味わいを引き立てるのが、あべ十周年記念酒-白。

華やかすぎない香りとやさしい余韻と酸で料理になじみ、口の中で心地よいハーモニーを奏でてくれました。
四品目 茄子×①松乃井 純米大吟醸 有機栽培 越淡麗/②吉乃川 睡夢 はりねずみ
大長茄子の焼き茄子をベースにしたなめらかなムースに、揚げや炊きで仕立てた茄子をトッピング。
その下には南蛮海老のマリネと殻だしのジュレが重なっています。

茄子と海老、香ばしさと甘みが交錯する奥行きある一皿。

ここではダブルペアリング。

まずは松乃井 純米大吟醸。
上品で優しく、繊細な料理を優しく包み込みます。

次は、玉城屋監修の吉乃川酒造「睡夢はりねずみ」と一緒に。

新潟ワインコーストを代表するワイナリー「フェルミエ」の白ワイン樽で熟成された一杯です。

料理と重なった瞬間、印象が一変。
まるで料理そのものが一段上のステージに引き上げられたよう。

「これがペアリングなのか!!!」と思わず心が震えました。
焼き立てのパンは温泉水を使用したオリジナル。
器にもこだわりがあり、こちらは玉川堂のもの。
五品目 糸瓜×SAKE HUNDRED弐光
妻有ポークのハムで糸瓜と干しシイタケのジェノベーゼ、西バイ貝のコンフィを包み、貝出汁をきかせたクリームソースで。

合わせるのは、SAKE HUNDREDの「弐光」。

糸瓜のシャキシャキとした歯ごたえが合わさった瞬間、自然と笑顔がこぼれます。
洗練された味わいの中に大人の遊び心を感じさせるようなペアリングでした。
六品目 甘鯛×佐渡金山貯蔵古酒「真野鶴 大吟醸BY2019」
松笠焼きのようにカリカリっと焼きあがった甘鯛のウロコの香ばしさとスパイシーなソース。

合わせるのは佐渡金山の坑道で寝かせた大吟醸の秘蔵古酒。

旨みが強く熟成感があり、料理に寄り添うだけでなく、存在感を放ちながら全体をまとめ上げてくれました。
七品目 鹿肉/またはあがの姫牛×君の井酒造 山廃 純米大吟醸 繋ぐ「祝」
メインの鹿肉は想像していたジビエのクセがなく、黒こしょうを効かせたソースが旨みを引き立てます。

しっとりとした肉質と深い味わいは、特別な夜にふさわしいひと皿。

さらに今回は新潟・阿賀野のブランド牛「あがの姫牛」にアップグレード。
赤身の旨みと柔らかさが際立ち、ワラでほのかに燻された香りが重なって、食べ進めるほどに味わいが深まっていきました。

その一皿に寄り添うのが、君の井酒造 山廃 純米大吟醸 繋ぐ「祝」。
新潟産「越淡麗」を磨き上げ雪中で長期熟成させた、ヴィンテージ2017の希少な一本。
お肉の力強さをすっと受け止め、後味まで心地よさが続きます。

「これは特別だ」と感じさせてくれるマリアージュでした。
八品目 芋茎(ずいき)
新潟では酢の物で親しまれる芋茎が意外にもデザートに。
爽やかな酸味が食後の口をすっと整えてくれます。
九品目 メロン
メロンのエスプーマとバニラアイスが重なる、大人のクリームソーダのようなデザート。
思わず心が躍る〆でした。
小さなお菓子とコーヒー
山椒のショコラやフロランタンなど、最後まで手作りの温もりを感じます。

新潟の素材の力強さとミシュランシェフの技、それをさらに高みへと連れていく酒匠が選ぶプレミアムな日本酒ペアリング。
一皿ごとに驚きと感動が重なり、心に深く残る特別な夜となりました。

飲めない人も楽しめるクラフト・ノンアルペアリング

玉城屋の懐の深さを感じさせてくれるのがノンアルコールのペアリング。

市販品に頼らず一から作り上げるドリンクはアルコールと同じくらい特別感があります。

レモングラスのコンブチャや、菊芋とヒラタケを合わせた一杯など、意外性に富んだラインナップに思わずワクワク。

飲める人も飲めない人も、一杯ごとに新しい発見と物語を楽しめます。

魚沼産コシヒカリと里山の和朝食

朝は、いしざか農園の魚沼産コシヒカリと里山野菜を中心とした和朝食。
炊き立てのご飯とともに並ぶ季節野菜のプレートは、シンプルだからこそ素材の力強さが際立ちます。
左:5種類のドリンク:季節のコールドプレス、ドクダミ茶、雪下人参、吉乃川の甘酒、赤しそ/右:美しい野菜パフェ

彩り豊かで、一日の始まりを爽やかに整えてくれます。
野菜中心でも物足りなさはなく、むしろ心も体も満たされるような朝食。
夜はフレンチと日本酒、朝は和食と里山の恵み。
二つの食文化を味わえるのも玉城屋ならではの贅沢です。

オーナーが描く未来|酒蔵オープンと地域再生

4代目オーナー・山岸さんの信念は「宿が元気になれば地域が元気になる」。

経営が厳しくなった施設を買い取り、新たな命を吹き込みながら、地域の再生にも挑戦しています。

今後はオーナーのご友人デュケット智美さんが、姉妹館「Hotel醸す森」の隣に新しい酒蔵をオープン予定。

仕込みの現場を体験できる酒蔵を加え、松之山エリアを世界中の酒好きが集う拠点にしたいと語ります。

温泉、フレンチ、日本酒、そして里山の暮らし。

そのすべてを融合させた玉城屋は、単なる宿泊施設ではなく新潟の未来を味わう場所へと進化を続けています。

「常に変化する宿なので、そこも楽しみにしていただきたいですね」
松之山温泉「酒の宿 玉城屋」で過ごす一夜は、ただの温泉旅行を超えた体験。

大切な記念日や人生の節目に選ばれるのも納得の特別な時間がここにはあります。

心までほどける温泉と、美食とお酒の出会い。
そんな特別な場所が新潟にあることを つい自慢したくなります。
酒の宿 玉城屋

酒の宿 玉城屋

新潟県十日町市松之山湯本13
TEL:025-596-2057
チェックイン15時/チェックアウト10時
定休日/火・水曜
駐車場/7台
【料金】
2名1室1泊2食付き45,100円~
2名1室1泊朝食付き24,800円~
ペアリングプランは別途

酒の宿 玉城屋

この記事を書いた人
古川綾子(綺麗道きれいどう)

昔から受け継がれてきた新潟の食や伝統、暮らす人たちの「こころ」を後世に繋ぎたいアラフォーママ。
新潟市秋葉区在住。普段は薬膳・畑の野菜・食を愉しみながらカラダを調えることに情熱を燃やしています。
ブログ: https://note.com/ayafull