「新潟5大ラーメン」を食す!【③新潟濃厚味噌ラーメン 編】/新潟市


2021年04月03日 56433ビュー
豊かな食文化を誇る新潟県。
ラーメンも県内外から「新潟はレベルが高い!」と評価されています。

中でも「長岡生姜(しょうが)醤油」「燕背脂」「新潟濃厚味噌」「新潟あっさり醤油」「三条カレー」の5種類のラーメンは「新潟5大ラーメン」といわれているのをご存じですか?

そんな県内各地で愛されてきた5つのご当地ラーメンをご紹介するシリーズ。
第3弾は「新潟濃厚味噌ラーメン」です。

ラーメンこまどり

1店目は、新潟濃厚味噌の元祖といわれる「こまどり」さん。
 
濃厚味噌ラーメンが誕生したのは1973(昭和48)年頃のこと。
居酒屋をしていた渡辺利明さん(現会長)が濃厚味噌の原型となるラーメンをメニューに加えたのが始まりだそうです。
 
お話を伺ったのは、2代目の渡辺光昭社長。
まず、こまどりのメニューは定番の「味噌ラーメン」をはじめ、「味噌五目」や「たんたん味噌」、「ごまだれ味噌」など10種類の味噌ラーメンがあります。
 
しかもそれぞれ味噌だれの味を変えるという、強いこだわりを持っています。
「これでも種類を減らしたんですよ」と笑う渡辺社長。
厨房には新潟産の赤味噌と全国から選りすぐった味噌が入った桶がならび、メニューに合わせて組み合わせや配合を変えています。
 
今回ご紹介するのは、基本となる「味噌ラーメン」です。
キャベツやもやしなどの炒め野菜が中央に。
キクラゲも載っていますね。

スープの味が濃いので、別の丼で「割りスープ(だし)」が付いてくるのが新潟濃厚味噌ラーメンの特徴の一つ。
「はじめはそのまま飲んでみて、お好みで薄めてください」と渡辺社長。
茶色いスープは、それだけで飲むと確かに濃厚ですが、麺と一緒に食べるにはちょうどいい、絶妙な濃さ♪

麺を食べ終わるまではこのままの濃さで、食べ終わったら割りスープをちょっと入れという方も多いようです。

味噌ラーメン用の味噌だれは、新潟産と北海道産の赤味噌をブレンド。
甘さと塩味、辛さなど複雑な味わいがあり、さらに寝かせることで深みを加えたこだわりの味噌です。
 
こちらが割りスープ(=だし)。
色が濃いめでややとろみがあります。
今はつけ麺が広まったので、割りスープは珍しくありませんが、その昔はかなり珍しかったはず。

だしは豚・鶏ガラの動物系のみですっきり力強い感じ。
丁寧に炊いているため、臭みがありません。
麺は太麺。
もちもちの食感で麺自体に味を感じます。

味噌だれの違いに合わせて、麺も使い分けています。
手前の黄色い太麺が味噌ラーメン用です。
 
ひき肉とサッと炒めた野菜も欠かせません。
炒める際にラーメン用のだしも加えているので、スープとの一体感はピカイチ。

また、食べ進むうちに野菜のうま味がスープに溶け込んでいくのも美味♪

「栃尾の味噌と信州みそをブレンドした『中華ごまだれ味噌ラーメン』もおすすめですよ」と渡辺社長。
次回はそれにしてみます!
ラーメンこまどり

ラーメンこまどり

新潟県新潟市西蒲区竹野町2454-1
TEL.0256-72-2827
【営業時間】11:00~14:30、16:30~21:00
【定休日】木曜日


 

東横

続いては、1983(昭和58)年創業の「東横」さん。
 
現在は、紫竹山本店愛宕店(いずれも新潟市中央区)、白根店(新潟市南区)、イオンモール新発田店(新発田市)のほか、姉妹店が新潟市中央区と長岡市にあります。

今回は愛宕店におじゃましました。
 
初代はこまどりの出身とのことですが、東横の濃厚味噌ラーメンはかなりインパクトがあります。
その最たる存在が、大きなチャーシューが鎮座する「元祖新潟濃厚味噌 先代特製」(1,040円/税込)です。
たっぷりの野菜。そして1枚の大きなチャーシューが丼の半分を覆っています!
 
「外食=ごちそうだった時代に、肉を大きく切って、野菜をたっぷり載せたラーメンでお客さんを喜ばそうとしていたんですよ」と先代の想いを語るのは、2代目の安部恭朗社長。
 
見た目もすごいのですが、インパクトがあるのはこのスープ。
ちなみに、このチャーシューではない「元祖新潟濃厚味噌 叉焼(チャーシュー)」(920円/税込)や、ノーマルの「元祖新潟濃厚味噌」(720円/税込)などもあります。
※味噌ラーメン以外もあり

さて、「先代特製」は見た目もすごいのですが、インパクトがあるのはこのスープ。
濃いです…濃厚です! 特濃です!!
麺と一緒にすすっても感じる濃厚さ。

でも、2口、3口と食べていくと様子が変わります。
ファーストタッチはしょっぱいのですが、その後から感じるうま味があります。
後を引くこの濃厚さはくせになりますね!

もちろん割りスープもあります。
こちらでは保温ポットに入った熱々の状態です。
風味豊かな味噌だれ(左)は越後味噌などをブレンド。
ゲンコツと香味野菜で取っただしと合わせることで、コクのある濃厚なスープ(右)が出来上がります。 

そしてこのスープに合わせるのは、こちらの麺。
自家製麺の極太ストレート麺。
コシがあり、スープに負けない存在感があります。
「この方がスープが絡み過ぎないんですよ」と安部社長。
なるほど、濃厚さゆえの仕様です。

麺には新潟産の米粉もちょっぴり入っているそうですが、味や食感よりも、“地元産の食材を少しでも使いたい”という想いの方が強いようです。
新潟愛ですね…スバラシイ!

そして、東横の味噌ラーメンにとっては、野菜の存在も重要です。
スープと具材がお互いにうまくなる相乗効果とでも言いましょうか…特に、さっと炒めたキャベツの歯応えとさっぱりした甘さが特濃スープにとてもよく合います。

最後はチャーシュー。
60~70gはあるであろう特製チャーシューは、肩ロースの中でも特に大きいものを調達して使っています。
先代の頃はとにかく大きさ重視だった向きもあったようですが、研究を重ね改良。
現在はやわらかく、味の染み込み加減も抜群のチャーシューが楽しめます。
 

地元の味噌や米粉を使うことで、「新潟」の魅力を広めたい。
「世界で『MISO』といえば『NIIGATA』と言われるようにしたいですね」と今後の抱負を語る阿部社長。
これからも東横の濃厚味噌ラーメンの進化に期待です!
 

最後におまけ情報を一つ。
東横の濃厚味噌ラーメン(冷凍)は通信販売でも人気があります。
自慢の生麺と濃厚スープ、チャーシューのほか、割りスープも入っています。
野菜をおいしく食べてもらうためのラードも同梱。※実店舗ではラードは使っていません。

ラーメン通販サイトの「味噌部門」では常に上位に食い込む人気のセット。
本格濃厚味噌ラーメンをご自宅でいかがですか?

東横 愛宕店

新潟県新潟市中央区愛宕2-2-3
TEL.025-282-2838
【営業時間】11:00~22:00(L.O 21:30)
【定休日】なし
※紫竹山本店(新潟市中央区)/白根店(新潟市南区)/イオンモール新発田店(新発田市) などもあります


 

麺 東光

最後は、1988(昭和63)年創業の「麺(まるめん) 東光」さん。
※正確には○の中に「麺」
 
店主の樋渡義之さんは、こまどりで修業をされたのちに独立。
東光」の名は、こまどりの先代から付けてもらった名前だそうです。
愛弟子だったんですね。
 
そんな樋渡さんが作るこまどり仕込みの濃厚味噌ラーメンがこちら。
アツアツです!
元祖東光味噌らーめん(800円/税込)
 
じっくり煮込んだだしに、昔ながらの越後味噌を合わせた看板商品です。

やはりキャベツやもやしは欠かせません。アクセントのキクラゲもたくさん載っています。
ちなみにこちらのひき肉は味のよい豚の腕肉を使っているそう。
スープはうま味のある“ライトな濃厚さ”という印象。
「ご要望でもっと濃厚にすることもできます」と樋渡さん。
後から味噌だれを追加することもできるそうです。
味噌だれは、ブレンドした2種類の味噌をさらにブレンドするこだわりの味。
コクと塩味(えんみ)の複雑なうま味が自慢です。

だしは下ごしらえをしたゲンコツ、鶏ガラと香味野菜、日高昆布やイワシなどを煮出す清湯(ちんたん)スープ。
豚の背脂も浮いています。
濁らないように注意を払いながら、2日がかりで丁寧に煮込んでいます。

そして野菜などの具材が入るのですが、東光では炒めた野菜とスープを中華鍋で合わせます。
 
スープと具材を合わせたものを、麺が入った丼に注いでできあがり。
麺は太麺でやや縮れています。
もちもちと弾力があり、スープとよく合います。
 
時代の流れを考慮しながら、濃厚のギリギリのラインを守る東光。
その分、味噌以外のうま味も一緒に感じられる“バランス重視”の濃厚味噌といえるでしょう。
 
東光では、味噌の他にも、煮干しマーボー麺や濃厚煮干ラーメン、味噌つけ麺なども人気です。
麺 東光

麺 東光

新潟県新潟市北区葛塚3325-2
TEL.025-386-7114
【営業時間】11:00~14:00、17:30~21:00(L.O. 20:15)
      ※閉店時間変更の場合あり
【定休日】月曜日


 
今回は新潟濃厚味噌ラーメンのお店を3店ほどご紹介しました。

いずれも味噌や麺へのこだわりが感じられる名店でした。
それぞれの方向性の違いも興味深いですね。
他にもおすすめしたいお店がたくさんありますが、今回はここまで!

その他の4大ラーメンはこちら
①長岡生姜醤油ラーメン編
②燕背脂ラーメン編

④新潟あっさり醤油ラーメン編
⑤三条カレーラーメン編

新潟濃厚味噌ラーメンマップ

この記事を書いた人
ケバブー

長岡生まれ新潟育ち。 ​
郷土料理からラーメン、地酒やスイーツまで新潟の食を広く愛するフォトライター。