春の新津川散歩/新潟市


2021年04月16日 2186ビュー

まずはご挨拶

はじめまして。今回から地元ライターの末席に加わることとなりました、ヤマダと申します。性別年齢不詳の40代オッサンです。まあアレです。栄えある「うまさぎっしり」な新潟県観光協会の公式ブログに書かせていただくということで、お上品でアカデミックな記事になるよう心掛けて参りますので、よろしくお願いいたします。

そもそも新津川って何よ?

いうわけで、今回のテーマは「春の新津川散歩」。
そもそも新津川って何よ、っていう人もいるかもしれない。そりゃ、名前を見れば新津を流れている河川に決まっているし。
この川、元々は五泉市(旧村松町)から小阿賀野川に注ぐ能代川の一部だった。
能代川は新津の草水(くそうづ)で取れた石油を蒸気船で新潟に運ぶために利用され、新津の人々に欠かせない川だったけれど、たびたび水害を引き起こすこともあり、昭和58年にバイパス的な流路を建設。それまでの市街地を流れていた方(旧能代川)が平成4年に総延長5.6キロの「新津川」として新たに指定された。そして、市民の憩いの水辺として生まれ変わった新津川は、川沿いに遊歩道が整備され、市民有志らの手で植栽も盛んに行われ、今日に至る。

そこで今回は、下流の新津大橋から上流の能代川分流公園まで、スイセンの花が見ごろになる一番にぎわうタイミングでぶらりと散歩。いわゆる街歩きとも里山トレッキングとも違う、ここでしか味わえない新津川独自の魅力を堪能してきた次第であります。

新津の魅力を堪能できる数々のロケーション

新津大橋から歩いてすぐに右岸に見えるのが、柿の果樹園「柿団地」。八珍柿の原木がある新津の特産品でもあり、今は葉もなく寂しいけれど、秋の収穫シーズンには大玉の実をつけ、県内外に出荷されていく。
新津川は市街地を流れている。そのため、新津駅を降りて、商店街の裏からも手軽に遊歩道に入れる。入り口は橋のたもとにあったり、ショッピングモールの裏手にあったり、あるいは住宅地のつきあたりにあったり。また、新津図書館の裏の水辺の広場にもつながる。
この遊歩道は、旧新津市の自転車道ネットワークの一部にもなっていて、公共施設や商業施設を結び地域の人々が買い物や移動に利用する立派な生活道路でもあるのだ。
また、水辺は野鳥たちの憩いの場でもあり、川沿いを歩けば、鴨や鷺の仲間を多数見ることもできる。地域の人によれば、何年か前にはカワセミもいたのだそう。
案内板も各所に設置されており、迷うこともない。平坦な道なので距離から所用時間も逆算できて快適。
さらに休憩所も各所に充実。木造の橋もいくつも架けられており、自分のペースでゆったり楽しむことができる。

ランチは、新津のランドマーク・ロイヤルコープ内「レストラン・ムッシュ」で。

交通の要衝で、新潟市や県央地域、長岡市のベッドタウンでもある新津の市街地には高い建物はほとんどない。そんな中、新津のランドマークとして地元でおなじみなのが、遊歩道沿いにある12階建てマンション「ロイヤルコープ」。新津市街地の本町と新町の間に位置し、国道403号線新津バイパスあたりからでも見える、まさに新津の摩天楼。
国鉄が健在で新津のまちに活気があった80年代頃までは1階と2階には無数のお店が入っていたらしいけれど、今は空き店舗が多く少々もの悲しい。そんな、かつての栄華を偲ばせる2階フロアにお目当ての「レストラン・ムッシュ」はある。
昭和57年オープンの老舗欧風レストランで、オーナーシェフの谷黒正行さんが手掛けるのは本格フレンチから手軽な洋食まで多彩。その味が新津っ子の胃袋を掴んでいる。
注文したのはステーキランチ(税込1200円)。サーロイン160gに温野菜などがついたボリューム満点のセットメニュー。ステーキは火加減もさることながら、少し酸味の効いたソースとバターの組み合わせが絶品。正直、昼間からこんな贅沢していたら罰が当たりそうっすね、これは。
開店からお客が絶えず、カウンターの向こうでめまぐるしく動き回りながらも気配りを欠かさない谷黒さんの人柄にも感銘を受けつつ、食後のコーヒーまで堪能させていただきました。
夜のコース料理はもちろん、テイクアウトできる本格的な欧風カレーも大人気の名店。
メインエントランスから二階に上がればOK。ロイヤルコープの地下駐車場利用可。

レストラン ムッシュ

新潟市秋葉区新津本町2丁目7-5 ロイヤルコープ2階
営業時間:午前11時30分から午後2時まで/午後5時から午後9時まで
定休日:毎週木曜日
TEL0250-24-5316

見どころは花。新津川への思いを感じて。

そんな新津川沿いの最大の魅力はやはり花。取材した4月3日、遊歩道の至る所に並ぶ染井吉野は満開で土手にビニールシート広げる花見客が多く見られた。
ただ、ここはそれだけじゃない。まずは、昨今、ローカルテレビで取り上げられた水仙。
土手沿いには約8万本が植えられ、この日も鮮やかな黄色い花を至る所で見ることができた。特に柄目木地内は壮観で、足を止めて見入る人も多かった。
それ以外にも枝垂桜や八重桜など見どころ十分。そのどれもが、行政のほか市民有志が植栽・管理しているもの。また、沿線の町内会の花壇などもあり、チューリップなど四季折々の花を楽しむことができる。まさに、新津川の花たちは地域の人々の川への思いそのもの。
 

土手沿いで見つけた意外なお店

柄目木の水仙の群生地近くで見つけた「本場韓国キムチ」の看板。
早速行ってみると、そこは韓国食品の製造・販売所。こちらでは、代表である山下南さんが製造するキムチを20年以上前から販売している。
作っているのは、白菜、大根、胡瓜の3種類のキムチで500グラム500円(税別)から購入することができる。元々、山下さんが自家用に作っていたものを、友人から「とても美味しいから売ってみたら」と言われたのがオープンのきっかけ。今ではファンも多く、常連さんが足繁く買い求めに来るそう。「来るのは、みんな味が分かっている人ですから」と山下さん。
こしらえていた胡瓜のキムチは本当に美味しそう。
こちら以外でも販売を行っており、新津、五泉、水原(現阿賀野市)の定期市のほか、6月から10月の間は新潟ふるさと村で毎週日曜に開かれる朝市に出店。それ以外では、道の駅花夢里にいつの直売所「新鮮組」や下越病院近くの直売所「ベジランドにいつ」でも販売している。

韓国食品

新潟市秋葉区柄目木5810-10
TEL0250-24-1124
営業時間:午前9時から午後6時まで
年中無休
たまに休みがあるので、事前に連絡があれば尚良

市街地を抜けると田園風景に

柄目木を抜け、しばらく花や野鳥を眺めながら歩いていくと、徐々に周囲がひらけてくる。右岸の土手沿いには猫の額のような可愛らしい田畑が見え、その向こう側には昔ながらの大きな庭のある木造住宅が並ぶ。一方、左岸は県道沿いの各商店や民家の裏側が垣間見える。中には廃屋やスクラップの自動車が点在しているあたりにも生活感があり、なかなか味わい深い。
そして、徐々に周囲の田畑は広くなり、ようやくたどり着いたのが、能代川分流記念公園。
昭和58年に新水路ができたときに分流した新津川のスタート地点で、新津屈指の桜の名所。この日も多くの花見客でにぎわっていた。

正直、のどが渇いていたけど、自販機らしきものは見当たらないので我慢我慢。
もしも歩くときには、道中にあるベルシティや、左岸の滝谷側の県道沿いのコンビニを利用するのがいいかもしれない。これも生活道路でもある新津ならでは。

新津の歴史をたどる道

市街地と郊外を結ぶ新津川沿いは、新津の歴史そのものである。
市街地を抜け、滝谷地区では、昭和29年にインドから送られた仏舎利を納めた秋葉山の平和塔を見上げつつ、戦前の産油地であった草水を抜ける。
また、山先橋のたもとにある日揮触媒化成㈱新潟営業所も歴史をたどれば新津の石油産業に大きく関連している。
営業所の裏を抜けると、今度は旧能代川としての治水関連の史跡がいくつか点在している。
今回のゴール地点である分流公園自体が治水を考える上で重要な存在だが、この公園内には新津最古の用水路である一之堰跡がある。天文2(1533)年に、当時の領主・丹波守勝資が澤田半右衛門に命じて造った一之堰の跡は現在も公園の中にあり、現在は橋になっている。当時、能代川をせき止めて建造した一大事業だったことがうかがえる。

でも、新津川散歩の最大の魅力はそこじゃない!

いやいや、これが一番大事。確かに草花はとてもきれいなんだけれども、この遊歩道はただの公園や観光道路とは異なり、前述のように生活道路としての側面が小さくない。新津市街地のガソリンスタンドやレンタルビデオ店の裏手を歩き、市街地のいたるところから出入りできる。
市街地を抜け郊外にいたるまで、いくつもの橋をくぐり、時に土手の上を歩く道から見える景色は、市井の人々の住む民家や団地、田畑など、いずれも新津の日常風景そのもの。まるで水族館で順路から水槽をのぞくような気分になれる。
他の地域の街歩きや里山のトレッキングとは少し違うこの景色こそが、この新津川沿いの最大の魅力なんじゃないかと思うわけです、はい。
この記事を書いた人
ヤマダ マコト

新潟市秋葉区在住。サラリーマンの傍らkindleストアで電子書籍にて地元・新潟を舞台にしたエンタメ小説を発表。インディーズながら一部で熱烈な人気を集め、どっちが本業か分からなくなりつつある中年男。