河井継之助と酒を訪ねる旅のススメ〈番外編〉 電車で『峠』の舞台へ/長岡市
〈深く、濃く、美しく 新潟を伝える保存版観光誌〉『新潟発R』の編集長をしております髙橋真理子です。
新潟県長岡地域振興局さんとのコラボ企画で投稿させていただきます。
いよいよ公開を迎えた映画『峠 最後のサムライ』。
これまで「たびきち」で、河井継之助ゆかりの地と、その地で醸される日本酒を楽しむ〈歴史と酒を巡る旅〉を3回に渡って投稿させていただきました。今回は番外編として、酒旅と相性のよい電車を使って訪ねることができるスポットを、最寄り駅とともにご紹介します。
長岡駅大手口から城跡を歩き、記念館&酒屋へ
長岡城は、継之助が仕えた長岡藩主の牧野忠成が1618(元和4)年に完成させました。築城は牧野家の前に長岡藩を治めていた堀氏の時代に始まり、牧野家が継承。長岡城は北越戊辰戦争で2度にわたって落城し、ほぼ焼失。残念ながら現在はその遺構を見ることはできません。
長岡城はその構造から、「苧引形兜城(おびきがたかぶとじょう)」とも呼ばれています。天守閣はなく、御三階(おさんがい)と呼ばれる櫓がその役割を果たしていたそうです。
2万人もの侍と家族、町人や商人が暮らしたといわれる長岡城を想像しながら、河井継之助の生家跡にある「河井継之助記念館」へ向かいましょう。駅から記念館までは徒歩約8分です。
河井継之助記念館
長岡市長町1丁目甲1675-1
TEL.0258-30-1525
開館時間/10:00~17:00(入館は~16:30)
休館/12月28日~1月4日(臨時休館あり)
入館料/大人200円、高校・大学生150円、小・中学生100円
花と酒 和泉屋
長岡市千手3-10-6
TEL.0258-35-8822
営業時間/8:00~19:00
定休日/不定休
長岡駅東口から、伝統校の2つの資料館へ
北越戊辰戦争に敗れ、焼け野原となった長岡城下に、長岡藩の支藩だった三根山藩(新潟市西蒲区・旧西蒲原郡巻町)から見舞いとして百俵の米が贈られてきたとき、長岡藩大参事の小林虎三郎はその米を売却し、国漢学校設立の資金にしました。この学校が、阪之上小学校のルーツです。
米百俵のエピソードは山本有三の戯曲『米百俵』によって、さらに小泉純一郎元首相が所信表明演説で故事を引用したことから、広く知られるようになりました。
長岡城の復元模型も展示されているので、大手口からの散策前に立ち寄ってみるのもいいですね。長岡城の繁栄から北越戊辰戦争での敗戦、そこからの復興。年齢を問わず長岡市の歴史や、人材育成を大切にしてきた精神を体感できる場所です。
阪之上小学校 伝統館
長岡市今朝白1-11-21
TEL.0258-32-2134
開館時間/9:30~16:00(要予約)
長岡高校の開校は1872(明治5)年。継之助の友人でもあった当時大参事の三島億二郎(戊辰戦争後、川島から改名)が長岡洋学校として設立し、初代校長に就任。
億二郎は江戸在勤中に佐久間象山の教えを受け、吉田松陰とも親交があったそうです。
開校時から英語教育や欧米の歴史などもカリキュラムに組み入れ、国際的な視野を持った人材育成を目指していました。
長岡高校 記念資料館
長岡市学校町3-13-10(長岡高校和同会館内)
TEL.0258-33-5114
開館時間/10:00~15:00
休館日/土・日曜・祝日(団体は要予約)
入館料/無料(維持費協力金任意)
今や新潟県の“名所”ともいえる存在となった、ぽんしゅ館の利き酒コーナー「越後乃酒蔵 唎酒番所」。
店内では地酒の販売のほか、米王国・新潟ならではの米菓や、みそ、しょうゆなどの発酵食品、陶器やガラス器など、新潟が誇る食文化と技が大集合! 見ているだけでワクワクします。
ぽんしゅ館 長岡驛店
長岡市城内町1-611-1(CoCoLo長岡本館2F)
TEL.0258-94-4313
営業時間/9:00~19:30(唎酒番所は10:00~19:00 LO18:45)
休館日/なし
唎酒番所/500円(メダル5枚)
信越本線・前川駅から決意の地へ
宮内駅は長岡藩が本陣を構えた光福寺がある発酵の町・摂田屋の最寄り駅です。
ここは、1868年5月2日に小千谷で行われた継之助と新政府軍の談判が決裂した後、長岡藩軍事総督だった継之助が開戦を決意した地として知られています。
「小千谷談判」翌日の5月3日、この地で継之助は、友人の川島億次郎(後に三島億二郎に改名)と会い、非戦を訴えていた川島に継之助は「もし和するなら、我を切り3万両とともに差し出せ。さすれば戦争は避けられる」と言い、億次郎は「是非もなし。死生をともにせん」と応じました。映画『峠 最後のサムライ』では、榎木孝明さんが川島億次郎を演じています。
神社から信濃川までは徒歩数分。土手まで歩き、のどかな風景の中で川風を受けながら、2人の気持ちに思いを馳せてみたいですね。
前島神社
長岡市前島町226
見学時間/自由
信越本線・来迎寺駅から、酒蔵&グルメ散歩
2001年に朝日酒造の製品倉庫建設の際に曳家で移築。2018年には国指定重要文化財となりました。
松籟閣
長岡市朝日980-1
TEL.0258-92-3181(朝日酒造 平日9:00~17:00)
開館日時/5月16日~11月30日、月・水・金曜(祝日の場合は閉館)、11:00~14:00 ※雨天の場合は施設保全のため休館、イベント開催時臨時休館あり
入館料/無料
かつては、春から初秋に米を作り、晩秋から初春まで、県内外の酒蔵へ集団で酒造りに出ていました。現在は通年雇用の酒蔵が増え、杜氏集団の出稼ぎも消えつつありますが、越路杜氏の伝統の技、米作りに妥協しない姿勢は、今もこの地の酒蔵に受け継がれています。
朝日酒造には2人の杜氏がいます。
酒蔵見学は季節限定で実施する「60分製造工程見学コース」と、通年実施の「20分見学コース」がありますが、現在は「20分見学コース」のみ実施しています。
朝日酒造
長岡市朝日880-1
TEL.0258-92-3181
【酒蔵見学(20分コース)】
予約不要、無料、通年11:00、12:00、13:00、14:00~。
定休日/日曜・祝日、年末年始、ホールイベント時(GWや長岡花火、お盆、もみじまつり時期に実施する場合もあり。詳細は公式サイトで確認を)
同じ建物内には朝日酒造のお酒と、食事や酒肴が楽しめる「あさひ山 蛍庵」があります。
お酒は、「勝保」と、朝日酒造の全銘柄、それらの飲み比べセットなど多彩なラインナップ。里山の自然を満喫した後に、ゆっくりと、地酒と里の幸に舌鼓を打ちたいですね。
酒楽の里あさひ山/あさひ山蛍庵
長岡市朝日584-3
TEL.0258-92-6070(酒楽の里)0258-92-6672(蛍庵)
営業時間/10:00~18:00(酒楽の里) 11:00~17:30(ランチLO15:00、カフェLO17:00)(蛍庵)
定休日/元旦
かつて「ていしゃば通り」と呼ばれていた来迎寺駅前の賑わいを取り戻そうと、地元経営者たちがタッグを組み、設立。
1階にはフードコートがあり、パン屋、カレー&デリ、カフェ、地元岩塚製菓の米菓直売所などが集います。2階はホテルになっているので、片貝の花火大会などイベントに合わせて利用できるのもうれしいですね。
中華ダイニング多礼
長岡市来迎寺字渋田甲2724-10
TEL.0258-86-0208
営業時間/11:00~14:30、17:00~21:00
定休日/水曜(祝日の場合は翌日)
店主が何度も中国に足を運んで研究した中華料理が自慢です。こだわりの中国酒とともに楽しめます。
中華バル 酒鬼
長岡市来迎寺甲2725-5
TEL.0258-86-0882
営業時間/18:00~24:00
定休日/日曜・祝日、月曜不定休
越路ていしゃば交流施設ここらて
長岡市来迎寺甲2602-2
TEL.0258-86-5208
営業時間/9:00~19:00(運営施設)
※営業時間、定休日は店舗は施設によって異なる。詳細は公式サイトを参照
締めくくりは信越本線・押切駅。激戦の地を望む伝承館へ
激戦地となった長岡市新組地域の住民たちから見た北越戊辰戦争の様子が、わかりやすい資料やジオラマなどから伝わってきます。
1868(慶応4)年7月24日の夜、継之助率いる長岡藩兵約700人が八丁沖を密かに渡り、翌日一気に城下に攻め入り長岡城を奪還しました。映画での八丁沖シーンは、新潟市西区の佐潟で撮影されました。
北越戊辰戦争伝承館
長岡市大黒町39-2
TEL.0258-21-2688(または科学博物館0258-32-0546)
開館期間・時間/4月1日~11月30日・10:00~16:00
休館日/開館期間中の月・金曜(祝日の場合は翌日)
入館料/無料
最後に電車旅の強い味方をご紹介します。
JR東日本が発売する「えちごワンデーパス」と「えちごツーデーパス」。
事前に、どんなルートで訪ねると無駄がないかなど、家族や友人とあれこれいいながら、計画を立てるのも旅の醍醐味。2つのパスを使いこなして、より濃密な電車旅に酔いしれてください。
写真協力:阪之上小学校伝承館、朝日酒造、越路ていしゃば交流施設ここらて
河井継之助と酒を訪ねる旅 立ち寄りスポット
地域で親しまれている隠れたスポットや住民ならではの贅沢な時間の過ごし方があります。
初めて訪れた方でもバスや電車でふらりと行けるプチ旅行や時間の過ごし方をレポートします。