河井継之助と酒を訪ねる旅のススメ②〈長岡市・摂田屋編〉/長岡市


2022年04月24日 1964ビュー
こんにちは。
〈深く、濃く、美しく 新潟を伝える保存版観光誌〉『新潟発R』の編集長をしております髙橋真理子です。
新潟県長岡地域振興局さんとのコラボ企画で投稿させていただきます。

映画『峠 最後のサムライ』をきっかけに、河井継之助ゆかりの地と、その地で醸される日本酒を楽しむ〈歴史と酒を巡る旅〉。
幕末を激しく生き抜いた継之助ゆかりの小千谷市、長岡市・摂田屋、見附市・今町の〈歴史と酒を巡る旅〉レポートを3回シリーズでご紹介します!
第2回は長岡市・摂田屋を訪ねました。

しょうゆ醸造蔵を訪ねてから、いざ光福寺へ

摂田屋は、北越戊辰戦争で長岡藩が本陣を構えた光福寺がある地区です。
旧三国街道沿いにある摂田屋は、水質の良さから醸造業が発展し、江戸時代には信濃川の舟運により繁栄していました。幕府が直接治める天領だったことも、醸造業の発展につながりました。
1945(昭和20)年の長岡空襲の被害から逃れた地でもあり、現在でも歴史ある建築物が残り、2つの酒蔵と、3つのしょうゆとみその醸造所が伝統の味を醸しています。
 
最寄り駅は、JR長岡駅から直江津・高崎方面へ1駅目、信越線と上越線の宮内駅です。
 
駅から、所々に雁木が残る風情ある商店街を歩き、約10分で摂田屋地区の入り口に到着。宮内一丁目の信号を左に折れると、竹駒稲荷と、その隣にしょうゆを醸造する越のむらさきがあります。
竹駒稲荷の母子狐。商売繁盛とともに子宝安産祈願に訪れる人も多いそうです。
越のむらさきの前、旧三国街道の分岐点に鎮座する辻地蔵
台座には「右ハ江戸、左ハ山路」と刻まれています。
 
越のむらさきは1831(天保2)年創業。現在の社屋は1877(明治10)年に建てられたものです。工場内の見学は現在休止中ですが、商品の購入は可能とのこと。しょうゆの香りに誘われて、立ち寄ってみました。
 
1970(昭和45)年ころに発売された越のむらさきは、多くのファンをもつロングセラーのだししょうゆです。現在は減塩タイプや昆布しょうゆなど、さまざまなタイプが販売されています。

越のむらさき

長岡市摂田屋3-9-35
TEL.0258-32-0159
営業時間/9:00~17:00(見学休止中、販売のみ)
定休日/ 土・日曜・祝日

越のむらさき左脇の道を入り、約5分歩くと、北越戊辰戦争で長岡藩が本陣を構えた光福寺が左手にあります。
小千谷談判決裂後、軍事総督だった河井継之助は本陣に隊長たちを招集し、開戦を伝え、士気を高めたそうです。
ここには最新鋭のガトリング砲と洋式武装した藩兵が配置されました。
境内に建立された戊辰戦争長岡藩本陣の石碑には、開戦時の継之助の行動と、その思いをしのぶ言葉が刻まれています。
 
光福寺での徹底抗戦宣言後、小千谷の榎峠の戦い、朝日山の戦いを経て、新政府軍は落城を目指し長岡城下へ。このとき継之助は、光福寺に配備していたガトリング砲とともに城下に駆け付け応戦しましたが、それもむなしく、1868年5月19日、250年の歴史を誇った長岡城は、新政府軍により落城しました。

光福寺

長岡市摂田屋1-13-35
TEL.0258-34-2346
境内自由

しょうゆとみそ→日本酒→みそ。醸造蔵めぐり

光福寺から徒歩約1分、一帯に糀のいい香りを漂わせているのは、1846(弘化3)年に「ヤマホシサン」に屋号を定め創業した星野本店。しょうゆ醸造から始まり、その後、みそも手がけるようになりました。
大正時代に建てられた現在の店舗は、当時は事務所と応接室として使われており、現在も応接室に大正モダン建築の趣が残されています。
しょうゆもみそも、品評会で数々の賞を受賞し、その品質の高さが評価されています。
用途によって、きめ細かく造り方を変えており、さまざまな種類のしょうゆやみそを販売しています。
洋食にも使える、人気の白だしつゆを購入。奥さま考案のレシピカードを添えてくれるのも、うれしいですね。
越の天恵のフリーズドライは、フリーズドライの常識を覆すおいしさとの評判も。
長岡野菜のかぐらなんばんを使った越後の神楽南蛮味噌や、越後の大葉味噌はお土産にも最適です。
河井継之助の好物だった桜めしに使われる大根の味噌漬けに似た、味噌漬 きざみも販売しています。大根をメインに、きゅうり、ナス、ミョウガ、ショウガの味噌漬けを刻んでまぜた、ロングセラー商品です。
味噌漬 きざみを混ぜ込んだおにぎりも美味!
敷地内にはかつて衣装蔵だった、土蔵の三階蔵があり、見学も可能です。見学希望の場合は事前に予約をしてから訪ねましょう。

星野本店

長岡市摂田屋2-10-30
TEL.0258-33-1530
営業時間/9:00~17:00
定休日/ 日曜・祝日、土曜は不定休

星野本店から徒歩約2分の場所には、レンガ塀がシンボルの長谷川酒造があります。創業は1842(天保13)年。当時は摂田屋に5軒の酒蔵があったそうです。
代表銘柄は「越後雪紅梅」。
「雪紅梅」は先代社長と親交があった作曲家の遠藤実さんが命名。遠藤さんが書いたラベル文字を使った商品もあります。
冬季の酒造りの繁忙期を除き、事前予約で酒蔵見学も可能です。営業時間内であればお酒を買うこともできます。
酒蔵見学の内容は、その日によって変わります。
 
写真の「四季を旅するシリーズ」は地元イラストレーターのもりとしのりさんが長岡の四季を描いたラベルをまとっています。 「長岡らしい土産を」との思いが込められたシリーズで、季節ごとに使う米や、お酒の種類が違います。4本のギフトセットも登場したので、飲み比べてみるのもいいですね。

長谷川酒造

長岡市摂田屋2-7-28
TEL.0258-32-0270
見学可(仕込み期間を除く、要予約)
販売は平日9:00~16:00

長谷川酒造から徒歩約7分。住宅街を通り、宮内一丁目の交差点から続く県道に出ると、味噌星六があります。
店名の文字は洋画家の中川一政さんによるもの。
1975(昭和50)年に店主の星野正夫さん(写真)が伝統食品の製造販売店として創業。
明治時代に正夫さんの祖父が星野本店から分家し、その時の土蔵を使って、昔懐かしい田舎の手造り味噌を復活させました。
無農薬、無添加の原材料を使い、自然素材にこだわって製造しています。
 
越後みその赤味噌を基本に、米糀をたっぷり使った米味噌や、麦を使った麦味噌、うま味の強い昔造り味噌を1年から3年熟成させた、こだわりの味噌を販売しています。

味噌 星六

長岡市摂田屋4-5-11
TEL.0258-32-6206
営業時間/9:00~18:00
定休日/ 日曜

2つのミュージアムで発酵を体感

味噌星六から徒歩約2分、県道を宮内一丁目交差点方面へ戻ると、右側に摂田屋にあるもう一つの酒蔵、吉乃川があります。
創業は1548(天文17)年。県内で最も古い酒蔵です。
敷地内には2019年秋に吉乃川酒ミュージアム 醸蔵がオープンしました。
大正時代に建築された、国登録有形文化財の倉庫、常倉の骨組みを生かして改装しました。
館内では、酒造道具の展示や定番から限定酒まで楽しめるSAKEバー、売店のほか、酒造りを体感できるゲームも楽しめます。
懐かしいテレビCMの映像も楽しめます。
クラフトビールも醸造しており、ガラス越しにタンクを見ることができます。
摂田屋クラフトはペールエール、ヴァイツェン、IPAの3種類があります。SAKEバーで味わうことができ、瓶ビールも販売しています。
新潟県限定偉人シリーズは3種類。左が新潟県生まれの酒米・越淡麗を使用した「吟醸 継之助」です。映画公開日の決定に合わせて、5月23日に再販予定です。
お洒落なバーカウンターで、自販機でチケットを購入して、地酒の飲み比べを楽しみました。
長岡藩主牧野家の時代から伝わる“戒めの盃”十分盃(写真左)も販売しています。なみなみと注ぐとサイフォンの原理で流れ出てしまうことから、「足るを知る」ことを伝えています。醸蔵オリジナル平盃(写真右)は、燗酒を味わうのにぴったり!
観光客だけでなく、地元の人も気軽に立ち寄れる温もりのある雰囲気が魅力です。

吉乃川酒ミュージアム 醸蔵

長岡市摂田屋4-8-12
TEL.0258-77-9910
営業時間/9:30~16:30(SAKEバーは16:00LO)
定休日/ 火曜(祝日の場合は翌日)

吉乃川酒ミュージアム醸蔵から県道を挟んだ向かい側には、20年秋に摂田屋6番街発酵ミュージアム・米蔵が誕生しました。そちらも訪ねてみることに。
サフラン酒を醸造していた旧機那サフラン酒本舗の米蔵をリノベーション。
醸造の町・摂田屋の発酵文化をさまざまな形で楽しめる空間になっています。
イベントなども開催しているので、公式サイトでチェックしてから出かけてみたいですね。
 
売店では旧機那サフラン酒本舗鏝絵蔵に描かれている干支をモチーフにした地酒のシリーズも販売しています。レトロな雰囲気がすてきですね。

摂田屋6番街 発酵ミュージアム・米蔵

長岡市摂田屋4-6-33
TEL.0258-86-8545
営業時間/9:00~17:00
定休日/火曜(祝日の場合は翌日)

米蔵内のおむすびと汁と茶 6SUBIでは、摂田屋の発酵食品などを使ったおむすびが味わえます。 摂田屋のみその味を比べることができる、ユニークな味噌汁BARもあります。
厳選した新潟県産米を使ったおむすびは定番から創作まで各種あります。写真は6SUBIの塩
店長の米山彩加さんのおすすめは摂田屋天むす
新潟の郷土料理のっぺを洋風にアレンジしたのっぺいチャウダーとともにいただきました。のっぺいチャウダーは一度味わうとやみつきになるおいしさ!
摂田屋にある醸造蔵とコラボしたスイーツのシリーズや、サフラン酒のアルコール分をとばして数種類のスパイスを加えて作った摂田屋サフランコーラ(写真右)なども販売しています。
摂田屋の新たな魅力と出合える、わくわくするお店です。

おむすびと汁と茶 6SUBI

TEL.0258-86-8545
営業時間/10:00~17:00(16:30LO)
定休日/火曜、第1・3水曜

※「摂田屋6番街 発酵ミュージアム・米蔵」内

長岡藩の本陣、光福寺のある摂田屋めぐりは、摂田屋のシンボルともいえる、旧機那サフラン酒本舗鏝絵蔵見学で締めくくりましょう。
1884(明治17)年に吉澤仁太郎が製造を始めたサフラン酒は、養命酒と並ぶ人気の薬用酒だったそうです。現存する10の蔵から、その隆盛を想像することができます。
旧機那サフラン酒本舗はNPO法人による保守活動を経て、長岡市が敷地と建物の一部を購入し、現在は米蔵に続く整備も進められています。
芸術作品ともいえる、鏝絵が施された鏝絵蔵は、2006(平成18)年に登録有形文化財に指定されました。
サフラン酒は現在、吉澤家が創業した小千谷市の酒蔵、新潟銘醸でリキュールとして製造しています。摂田屋6番街 発酵ミュージアム・米蔵でも購入できます。
 
歴史を礎に、醸造&発酵の町として進化を続ける摂田屋。次はどんな出合いが待っているのか、楽しみです。
 
長岡落城後、奪還を目指す継之助ら奥羽越列藩同盟軍と新政府軍との戦いは激しさを増していきました。
1868年6月2日、継之助が率いる長岡藩兵は、新政府軍によって占領された見附市今町に攻め入りました。この戦いの戦跡をたどるべく、第3回は見附市今町の歴史と酒を訪ねます。

旧機那サフラン酒本舗の鏝絵

長岡市摂田屋4-6-33
TEL.0258-86-8545 ( 摂田屋6番街・発酵ミュージアム 米蔵 )
開館時間/【外観】常時公開 【屋内・売店】土日祝日9:00~15:30

撮影:高橋朋子、渡邊久男
写真協力:星野本店、長谷川酒造

河井継之助と酒を訪ねる旅 立ち寄りスポット

この記事を書いた人
長岡・柏崎地域振興局★ふらっと旅を楽しみ隊

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